トヨタ・ソアラとは、トヨタ自動車が1981年~2005年(レクサス・SCとしては2010年まで)に製造をしていた高級クーペ型の乗用車である。
概要
車名の由来は、英語で「高級グライダー」から。
それまで日本のメーカーの高級車では重視されていなかった高速走行性能を重点に設計され、今までの日本車になかった高級感と高性能を両立させた本格的車種として、初代と2代目は日本で大ヒットを果たした。
三代目以後は海外にも販路を広げ、トヨタの高級チャンネル・レクサスでSCとして販売をされる。四代目はオープンモデルとなるが、2005年に日本でレクサスチャンネルの開始に伴い、SCとして移行をし、ブランドは廃止となった。
歴代共通なのが、2ドアのクーペのみで、駆動方式もFRとなる。パーソナル感が強い高級車としてブランドが確立された。当時のBMW6シリーズなどの西ドイツ(現ドイツ)製高級車を意識していたと見られる。
初代や二代目モデルが登場をしていた頃は、自動車教習所によっては、高速教習用の教習車として導入を
していたところもある。
また、トヨタ自動車が提供の刑事ドラマでも覆面パトカーとして劇中に登場をしていたこともある。有名な番組としては『太陽にほえろ!』や『刑事貴族2』で登場をしていた。実際に警察車両でも高速道路交通隊に主に採用をされていた。
初代と二代目モデルは、伝説の経営者・白洲次郎からアドバイスを受けて開発をされていた。そのため晩年の白洲の愛車としても知られていた。
開発秘話としてベストカー2015年2月26日号にて当時の開発主査のインタビューが掲載され初代の車名候補として「メキラ」「フェニックス」「ソアラ」の3つがあったという。「メキラ」は仏教界の薬師如来の迷企羅(めきら)が由来だがゴジラやモスラなどの怪獣をイメージさせるとしてNG、「フェニックス」は不死鳥が由来だが死という文字が車名には不適切としてNG、最後に残った「ソアラ」もSUZUKIが「ソーラー」という名前を特許庁に先に先願しており類似名ということでダメになりかかったが結局相場の約3倍のお金を支払いSUZUKIから譲ってもらったという。(大きなサンルーフ付きの軽4ワンボックスにソーラールーフと付けるつもりだったらしい)
シンボルマークの「フライングライオン」(空飛ぶライオン)も元々空飛ぶ馬をモチーフにしたかったが、ガソリンスタンドのモービルで使用された「ペガサスマーク」にどうしても似てしまう為ボツになり、たまたま自分の系列のトヨタ自販が商標登録していた羽の生えたライオンのマークを使用したという。
初代(Z10系、1981年~1986年)
1981年に登場。2ドアクーペのみのボディであった。エンジンは直列6気筒で、2000ccと2800ccが用意されていた。2800ccはGTエクストラ、GT。2000ccはVX、VR、VII、VIというグレードが設定された。ミッションは全グレードで5速MTと4速ATのいずれかが選択可能。
特に2800ccはDOHC(ツインカム)エンジンのフラッグシップとして高性能さをアピール。また、当時では斬新なスタイリングが話題を呼び、これがソアラ=高級車としての地位を確立した。同年には2000ccにターボエンジン搭載車(VRターボ、VIIターボ)も登場する。
エポックメイキングだった点の一つは、「スーパーホワイト」というボディカラーが初採用されたことだ。これは、塗装工程の工夫によって従来の「白」に比べて明度が大幅に上がり、それまでのなんとなくくすんだ「白」ではなく、まさに「真っ白」であった。このカラーリングは、後のハイソカーブームにおいてマークIIやクラウンも含んだトヨタ高級車の象徴となる。
1982年に一部改良。最廉価グレードVIが廃止をされ全グレードにデジタルメーターが標準装備となった。また、本革シートを始めとする各種豪華装備が施された2800GTリミテッドが新たな最上級グレードとして追加された。
1983年にマイナーチェンジ。内外装のスキンチェンジとなった。2000ccにもツインカムモデルの2.0GTが追加され、ターボモデルは単に「2.0ターボ」に統合された。この時、水冷インタークーラー装備が実現。ボディサイドには誇るように「Turbo With Intercooler」のデカールが貼られていた。そして2800ccではGTエクストラが廃止されている。
1985年に一部改良。2800ccの排気量が3000ccとなった。
二代目(Z20系、1986年~1991年)
1986年に初のモデルチェンジ。好評だった先代のデザインをリファインをし曲線を利かせたデザインとなった。特にドアのヒンジが凝った構造になっており、少し前にずれながら開くことで、乗り降り時の足の出し入れをしやすくするようになっていた。
エンジンは、1G-EU(2000cc NA)/1G-GEU(2000cc ツインカム24)/1G-GTEU(2000cc ツインターボ)/7M-GTE(3000cc ターボ)が選択できた。7M-GTEは当時としては国産車最強の230PSを発生する。グレードは、VZ/VX/2.0GT/2.0GTツインターボ/3.0GT/3.0GT-LIMITEDの6種類。
1987年に3000ccのターボ車に5速MTが選択できるようになった。
1988年にマイナーチェンジ。内外装のリファインがメインとなる。廉価モデルのVZを廃止、2リッター最上級モデルとなる2.0GTツインターボLが追加された。
1989年にVXのエンジンが1G-E(シングルカム)から1G-FE(ハイメカツインカム)に変更され、同年には限定500台の電動折りたたみ格納式メタルトップ採用のエアロキャビンが発売される。3000ccをベースにしている。
この二代目は、バブル景気に沸いていた時代に発売をされていたので、歴代ソアラの中では大ヒットをしたモデルでもある。
三代目(Z30系、1991年~2000年)
1991年にモデルチェンジ。この代よりボディが3ナンバー幅となり、デザインはアメリカ側(CALTY)でデザインされた。
アメリカでは、新たに構築した高級車ブランド、レクサスにてSC(Sport Coupe)の名で販売された。
エンジンは直6 2500ccのターボ付き(1JZ-GTE)とV8 4000cc(1UZ-FE)が用意された。ミッションは4速ATが基本であるが、2500ccに5速MTも用意されていた。
このモデルでは「アクティブサスペンション」と呼ばれるハイドロニューマチックサスペンションが最上級モデルのみに設定されていたが、ひとつ下のモデルとなる「4.0GT-LIMITED GPS付WMV仕様車」の545万円からから200万円アップの745万円で販売されていた。さすがにこの高額なオプションを装着する人はほとんどおらず、現在の中古車市場でも見かけることは少ない。(一概に比較することはできないが、745万円ならポルシェ944が新車で買えた価格である)
1994年にマイナーチェンジ。
テールランプのデザインが変更され、直6の3000cc(2JZ-GE)が追加される。
1996年にマイナーチェンジ。
グリルの追加やリアバンパーのデザイン変更など、大がかりなデザイン変更となる。また、1JZ-GTEはVVT-i化され、出力が向上した。そして、当時のトヨタの方針であった安全装備の全車標準化に伴い、ABSとデュアルエアバッグが全車に標準装着された。
1997年に4000ccが廃止となる。
この時点で一番高額なモデルとなったのは3リッターモデルではなく、「2.5GT-T Lパッケージ」であった。
1999年に小変更。
日本ではクーペ型乗用車の需要低下やアメリカ車みたいなマッチョなデザインが敬遠され、ユーザーが逃げるという事態となった。そのためモデルライフが10年というロングライフとなった。
四代目(Z40系、2001年~2005年)
2001年にモデルチェンジ。この代よりクーペから一転をして2ドアコンバーチブルとなる。エンジンもV8気筒4300ccが採用された。これは同時期のセルシオと同じエンジンとなる。ミッションも5速ATのみとなった。
この型は「贅の極み」を追求をしたモデルとなった。
2005年日本でのレクサスブランド開始により、日本でもレクサス・SC430として移管されてモデル廃止となった。
後継モデル
SCの販売終了後はしばらく後継モデルが出てこなかったが、2014年にクーペモデルとしてレクサス・RCが販売された。
その後2017年には、高級パーソナルクーペ、クーペボディのハイソカーというソアラ当初のコンセプトを受け継いだレクサス・LCがデビューした。
作品への登場
上述の「太陽にほえろ!」「刑事貴族」の他にも、様々な小説や映像作品に登場している。
内田康夫が執筆する推理小説「浅見光彦」シリーズの主人公、浅見光彦の愛車として白のソアラが登場している。
上記の作品を原作としたドラマでもソアラが登場しているが、30系が使用されたのを最後に登場していない。
アクションドラマ「ハングマン」シリーズのうち、「新ハングマン」、「ザ・ハングマン4」「ザ・ハングマンV」に10系ソアラが登場。特に「ザ・ハングマン4」では赤いボディのタクシーとして登場している。
アニメ「めぞん一刻」では三鷹の愛車として20系の2000ツインターボが登場。
その他にも、都市伝説として「首ちょんソアラ」というものがある。
興味のある人はググってみよう。
関連動画
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関連項目
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