トヨタ・パッソとは、トヨタ自動車から発売されている小型自動車である。
概要
2004年にダイハツとの共同開発で登場した車であり、部品の一部に軽自動車のミラやムーブのコンポーネンツが流用されている。翌年に登場した2代目ヴィッツが大型化した為、エントリークラスの一端を担う事になった。
事実上の先代モデルは「トヨタ・デュエット」であり、販売店も同じカローラ店扱いである。その為直接的にスターレットの系譜を継ぐヴィッツに対して、カローラⅡなどの系譜にあるとも読み取れることから、販売店と車格との関係はちょうど先代と逆転したような恰好となっている(現行モデルはサイズ的にヴィッツがカローラII、パッソがスターレットの位置にある)。
ダイハツ向けは「ダイハツ・ブーン」の名称で販売される。なお、設計上は同じであっても形式に違いがあるのでOEM扱いではなく、別車種扱いとなっている。
初代(2004年~2010年)
2004年に登場。「プチトヨタ」の愛称で知られている。曲線を多用したトヨタ・デュエットに比べると直線的なデザインが特徴であった。
エンジンは3気筒1000ccの1KR-FE型と4気筒1300ccのK3-VE型があり、ギアは4速ATのみであった。但し、持ち込み車検扱いのTRDsportMには5速MTが設定されていた。
デザインの大幅な変更もなかった事より、安定した人気がうかがえる。
2代目(2010年~2016年)
2010年に登場。エンジン構成はそのままであるが、ギアがCVTとなり割合にギクシャク感があったATから解放された。また、グレードに「+Hana」と言う名称や色の名称に「キナコ」や「ベニ」と言うように明らかに女性向けを意識したモデル作りがなされている。ボディサイズは先代とほとんど変わらず、特に車幅は狭い道のすれ違いを気にするユーザーのために先代と同じ1,665mmというやや狭めの全幅に据え置かれている。3代目で男性的な顔つきになり、全長がかなり拡大されたヴィッツとは好対照となっている点も興味深い。
大規模リコールの影響で発表会が自粛されるなど、出鼻をくじかれた印象ではあるが、津軽弁などの方言を使ったCMが人気を博している。
3代目(2016年~)
2016年4月にモデルチェンジ。丸っこく、そしてかわいらしさ漂う先代とはうって変わって、やや直線的となった。モデル体系に変化がなされ、ノーマルモデルは「X」に絞られ、そこから装備ごとに5つのパッケージが選べるようになった。一方、従来の「+Hana」に代わり、新モデル「MODA」が登場、少しおしゃれな雰囲気を持ち「+Hana」が女性向けを完全に意識していたのに対して、男性層にもターゲットを入れた体系となった。そこ、大きくなったダイハツ・キャストと言わない。
エンジンは1.0リッターの1KR-FE型に絞られ、出力は69馬力と1馬力下がっているものの、低フリクション化や圧縮比向上などの対策の結果、燃費が向上、特に4WDではその傾向が顕著となっている。
インテリアは初代からの伝統であるベンチシートを採用している。インパネは実用的かつスタイリッシュになった一方で、どこかポップでおしゃれな雰囲気が薄れてしまった感がある。
先代モデルと比べて全長+10mm、全幅は据え置きとほぼ変わらないサイズながらホイールベースを50mm延長したことで居住空間を可能な限り拡大した点をセールスポイントとすべく、CMキャラクターにはマツコ・デラックスを起用。トヨタらしく芸能人を起用したわけだが、当人の大きさを十二分に活用して、小さいながらも大きな室内空間をアピールしている。
なお、この車には「スマートアシスト」が採用されているが、この名称はダイハツの商標登録(トヨタのほぼ同じ機構は「Toyota Safety Sence」という名称)であり、形式もまたダイハツと同一になった。これらからわかるとおり、この車はトヨタとの共同開発でないダイハツの設計・開発・生産であり、ダイハツよりOEMを受けているということになる(それまでは共同開発)
派生車種
- パッソセッテ/ブーンルミナス
パッソのコンポーネンツを利用した7人乗りのミニバン。極端な話ではあるが軽自動車から7人乗りの小型乗用車を作ってしまったともいえる。外観からはベースの面影を見出す事が出来ず、ほぼ別物と言っても差し支えがない。元々はシエンタの後継となる車両であり、シエンタと同じように7の数字を名称に付けて、7人乗りを標榜していたがスライドドアがない事やエコカー減税の対象外であった事、 CMがスイーツ(笑)過ぎた事が災いし、置き換えたはずであったシエンタと入れ替えでモデル廃止と言う憂き目にあう。ダイハツ向けにはブーンルミナスの名称であった。 - トヨタ・bB/ダイハツ・Coo/スバル・デックス
これらの車種は初代パッソ/ブーンのコンポーネンツを利用している。 bBに関しては割合に安定した人気を誇り、登場から11年間という非常に長いモデルライフであった。
海外仕様など
本来ならばダイハツ扱いではあるが、この項で取り上げる。
- スバル・ジャスティ
既に日本では10年以上前にモデル廃止となったモデルであるが、ヨーロッパではパッソ/ブーンのOEMで販売されていた。トレジアと入れ替わりにモデル廃止となった。 - ダイハツ・シリオン
この名称自体はストーリア/デュエット時代より用いられていた。ダイハツのヨーロッパ撤退に伴い、この名称はアジア地域などを中心に見られる。 - プロドゥア・マイヴィ
ダイハツとマレーシア資本との合弁会社であるプロドゥア社によって、マレーシア国内で販売される自動車で、パッソ/ブーンをベースとしながらも、デザインに独自性が盛り込まれる。その独自のデザインそのままにインドネシア向けにはダイハツブランドで発売される。なお、パッソセッテ/ブーンルミナスもプロドゥア・アルザの名称で販売されている。
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関連項目
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