トリウム(Thorium)とは、最も多く存在するアクチノイド元素である。
概要
- 原子番号は、90、元素記号は、“Th”、分類は、アクチノイド、レアメタル。
- 発見者母国の信仰の中心である、古代スカンジナビア神話に登場する、大地の神で雷と槌を操るトール(Thor)に由来する。
- 発見:1828年、ノルウェーの希少鉱物(トール石)の中から発見された。
- 利用例:合金、フィラメント、特殊るつぼ、未来の核燃料材料、各種触媒など
- かつては光学ガラスの材料としても使われていた。古いカメラでレンズが黄色く変色したものはトリウムが含まれている可能性が高い。
- 同位体すべてが放射性となっている。
- トリウム229は(原子核から)ガンマ線ではなく紫外線を放つ珍しい放射性同位体。将来は原子時計への応用が期待されている。
金属トリウム
金属トリウムは銀白色であり、空気中では表面に酸化被膜が形成されるために、内部は酸化から保護される。一方、金属粉末は急激に酸化され発火する。
(出典:元素111の新知識―引いて重宝、読んでおもしろい (ブルーバックス)
未来の核燃料として
- トリウム232が中性子を吸収するとトリウム233に変化して、ベータ崩壊を起こし、電子を放出する。プロトアクチニウム233に変化して、さらにベータ線を出してウラン233になる。このウラン233は、ウラン235と同様に核分裂性があるので、以降は巧みに制御することにより連鎖反応を生じさせることができる。この過程の中でプルトニウムが生成されることがない。
- トリウムを利用するには、現在稼動している原子炉の建て替えが必要である。
- 現在、ウランによる原子力発電のシステムが整えられており、経済的な理由と高放射性物質の取り扱いから実用段階には至っていない。
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関連項目
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