トルディとは、第二次世界大戦でハンガリーが開発・生産した軽戦車である。
概要
第一次世界大戦後にオーストリア=ハンガリー帝国から分裂したハンガリー王国は、1930年の後半より再軍備が始まった。この段階での戦車戦力はイタリア製のCV33(L3/33)軽戦車143両のみであったが、1937年にドイツ製のI号戦車とスウェーデン製のL-60軽戦車を手に入れてそれぞれ試験した。このうちL-60はライセンス生産権を取得して国産化を決定、細部を変更し1938年に「38Mトルディ」として採用され生産が開始された。
実戦
ハンガリーは敗戦によって領土の多くを失っていたが、これは当時のドイツと同じ境遇であった。そこでハンガリーは領土奪還を大義名分として再びドイツと手を組み、ユーゴスラビア侵攻作戦より枢軸国として参戦した。この時の戦闘におけるトルディは持ち前の機動力を生かし、旧装備であったユーゴスラビア軍を見事に打ち破った。
その後はドイツ南方軍集団の一翼としてソビエトに進攻したが、火力の低さと装甲の薄さが災いしてT-34等に劣勢を強いられ1941年11月までに大部分を損耗。部隊は本国に引き上げざるを得なくなってしまった。
のちの主力は国産のトゥラーン中戦車、あるいはドイツ製のIV号戦車などが担うこととなった。
名前について
「トルディ」という愛称は14世紀に活躍した国民的英雄の名に由来する。また名称中の「38M」は1938年製を意味する「38 Mod」、「A20」のうち「A」などのアルファベットは車体形式、「20」などの数字は搭載する主砲の口径をそれぞれ表す。
バリエーション
- トルディI(38M Tordi I A20)
- 一番最初の型。大きめの転輪で構成された足回りや強めの傾斜を持つ車体前面などL-60の時とほぼ同様の外見となっているが、最大の特徴は縦方向に円を描く巨大なリング状のアンテナである。
- 武装は20mm36M戦車砲1門(携行弾数52発)と8mm34/37M機銃1挺を同軸装備(携行弾数2400発)、装甲は最大13mm、最高速度は50km/hである。主砲はスイス製の「ゾロターンS18/100」対戦車銃を車載用に改造したものであるが、それ故に火力と連射性能は不足気味であった。
- 1940年4月から1941年5月にかけて80両が生産された。
- トルディII(38M Tordi II B20)
- 転輪や変速機など、足回りに関するもの国産に改めたもの。
- トルディIと並行する形で110両が生産された。
- トルディIIa(38M Tordi IIa B40)
- 威力不足を受けて主砲を40mm37/42M戦車砲に換装したもの。機銃も8mm34/40Mとなった。また装甲強化も行われ最大33mmまで増圧された。最高速度は48km/hとなった。
- 1942年から1943年にかけて、前線から引き上げられたトルディI/II各40両ずつの合計80両が改修された。
- トルディIII(43M Tordi III C40)
- 応急的だったトルディIIaとは違い、当初から40mm砲の搭載を念頭に入れた新型砲塔を搭載したもの。機銃は8mm34/42Mとなっている。最大装甲圧も35mmとなった。
- しかしより防御力に優れたトゥラーン中戦車への搭載も決まっていたため、1944年中にわずか20両前後が生産されるのみに終わった。
関連動画
関連商品
ホビーボスから発売されているトルディIのキット。恐らく史上初であろうハンガリー戦車のプラモデルである。
車体を構成する部品は結構少ないので組立自体はそれほど辛くない。
定価は5775円と内容の割に少々高く感じるかもしれない。予算に余裕がある方はぜひ。
同じくホビーボスから発売されているトルディIIaのキット。トルディIとの組み合わせが面白い。
定価も同じく5775円。
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関連項目
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