ドッグファイトとは、戦闘機による格闘戦をさした言葉である。
搭載銃砲又は短距離誘導弾による射撃を効果的に行う為に、会敵した双方が近距離で相手の後ろへ回り込もうとする機動を伴った戦い方を言う。
犬がケンカする際に互いに相手のしっぽを追いかける様子に似ている事からドッグファイトと呼ばれるようになった。(日本では巴を連想させる事から巴戦とも呼ばれる)
概要
ドッグファイトの起源は、航空機が戦場へ投入された第一次世界大戦まで遡る。
当初は非武装機に歩兵が使用する銃や爆弾を搭載し戦っていたが、戦時中に前方へ銃口を向けた搭載機銃がつけられるようになり、さらにプロペラ回転と同調させた上でパイロット直前に機銃が設置されるなどし、今日に至る戦闘機の基礎が作られた。
続く第二次世界大戦では航空機の高性能化、搭載火器の強化が進み、戦場の空で戦闘機同士のドッグファイトが展開された。
大陸で腕を磨いた日本海軍のゼロ戦搭乗員はこの戦い方を多用したが、未熟な搭乗員がベテランとドッグファイトしても勝ち目がないと判断した米軍は戦術を転換し、機体の防御力及び速度を向上させ、経験の浅い搭乗員でも一定以上の戦果を望める一撃離脱戦法へ切り替え対応、日本機を押し返すようになった。
ドッグファイトへ持ち込めなくなり、ベテランの多数を失った日本海軍は不利になったものの、源田実(後の航空幕僚長)はドッグファイトに固執し、日本海軍は開戦初期の優位性を取り戻せなくなる。
欧州各国は編隊による一撃離脱の有用性が広く認められていたが、もちろんドッグファイトも行われた。
ドイツ空軍は機動性で勝るイギリス機相手に、Bf-109で開戦間もない時期から楽ではない戦いを強いられる。
戦争末期になるとドイツ空軍は世界初のジェット戦闘機Me-262を投入したものの、これは旋回性能ではプロペラ機に劣っており、ドッグファイトになると不利になることから、ドイツ空軍は一撃離脱に徹するように指示しドッグファイトを禁止した。
第二次世界大戦後は朝鮮戦争などでドッグファイトが行われたものの、やがて航空電子機器や誘導弾の発達により、航空機銃と共に不要論が台頭してくる。
1950年代~60年代になるとミサイル万能論の台頭により高い運動性と航空機銃そしてドッグファイトは不要と考えられるようになった。その結果米国のF-4の初期型、ソ連のMig-21PFでは固定武装としての機銃が廃止された。
しかしベトナム戦争で機銃を装備しない新鋭のF-4が機銃を装備した旧式のMig-17に苦戦。さらに印パ戦争や中東戦争、フォークランド紛争で機銃による撃墜が発生し機銃やドッグファイトは決して過去のものではない事が証明された。
その結果Mig-25やMig-31といった例外を除き現在でも多くの戦闘機がドッグファイトを遂行する能力を有している。
エチオピア・エリトリア紛争では双方が中古のSu-27又はMiG-29を実戦に投入したが、中距離誘導弾で敵機を撃墜できなかった場合において、ドッグファイトと見られる戦闘が行われた。
この戦いではロシア人の航空傭兵やアフリカ人パイロットが、R-73短距離誘導弾または機関砲を用い、ドッグファイトと思われる戦いで戦果を揚げた。
また領空侵犯機に対するスクランブルでは、侵犯機に接近し警告する必要がありドッグファイト戦技は必然的に重要なものとなる。
日本におけるドッグファイトへの評価
航空自衛隊では今でもドッグファイトを重視し、戦技会が行われている。
航空自衛隊の主要な任務に防空任務があり、日常的に領空侵犯措置が実施されているからだ。
勿論、F-15の近代化アップデートなど視界外戦闘能力の向上も行われている。
一般レベルでは「今の時代はボタン押してミサイルでボーンだから、ドッグファイトは必要ない、昔の技術」又は「ドッグファイトカッケー!」の両極端なもので、時代の変化と戦術の変化を踏まえた正当な論評は、一部の軍事専門家や軍事マニアを除いては少ないかもしれない。
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読み:ドッグファイト
初版作成日: 09/11/05 23:15 ◆ 最終更新日: 11/09/25 23:02
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