ドラえもん 迷宮大作戦とは、ハドソンが1989年10月31日に発売したPCエンジン初のドラえもんゲームである。PCエンジン本体発売の翌日に発売された。定価は5390円。
概要
「平安京エイリアン」をベースに1989年当時の現代風にアレンジし、どら焼きやひみつ道具といったドラえもんの要素をいれた内容となっている。
本作の前の1987年に、日本物産から『キッドのホレホレ大作戦』というアーケードゲームが発売されていたが、そのゲームデザイナーがハドソンに移籍して企画を担当した。そのため『キッドのホレホレ大作戦』から、基本システムはもちろん敵キャラやマップチップに至るまでそっくり流用しており、BGMと主人公やアイテムなど一部グラフィックのみ差し替えただけの、当時ハドソン作品でよくみられた (高橋名人の冒険島、ビックリマンワールドなどと同じく) キャラ替え移植のひとつとなっている。
当時公開された劇場版ドラえもん「のび太の日本誕生」がベースになっており、土偶型の怪物「ツチダマ」にさらわれたのび太、しずか、ジャイアン、スネ夫の4人を救うべく現代・江戸時代・戦時中・未来・原始時代を転々としつつ、「ツチダマ」「ギガゾンビ」を倒すのが目的。一人プレイ専用、難易度はやさしい・ふつう・むずかしいの3種類。「やさしい」は5歳児でも遊べるとても優しい難易度とされており、老若男女問わず楽しめる。ステージはアーケード版の全16ステージから全60ステージに増えて、なかなかのボリューム。
フィールド内にあるどら焼き16個を全部回収すると現れる「どこでもドアのカギ」を入手し、どこでもドアに入るとラウンドクリアになる。
敵の倒し方は2種類あり、穴を掘って敵を埋める「平安京エイリアン」式と、全10種類のひみつ道具を使って攻撃する「ドラえもん」式の倒し方がある。ちなみに敵は何度でも復活するので、倒せば楽になるわけではない。残機の増やし方は20,000点、70,000点、以後50,000点で増やす方法と、敵を100匹埋めると出現するドラミを取ることで増やす2種類の方法がある。
キャラゲーの例に漏れずクソゲーかと思いきやそんなことはなく、また『ホレホレ』を移植するにとどまらず、アーケード版では難があった操作性の改善やゲームバランスの調整も多々入っており、またドラえもんのうたをアレンジしたBGM群も秀逸で、当時のハドソンらしく丁寧に作られた、なかなか楽しめるゲームとなっている。『ホレホレ』は『ブービーキッズ』というタイトルで日本物産がファミコンやゲームボーイに移植したが、実際のところ、これらよりも本作のほうが『ホレホレ』にかなり忠実な内容であるうえに、ゲームとしての完成度も本作のほうが高い。
余談
よく発売できたな
『キッドのホレホレ大作戦』の内容を忠実に移植して、その世界観にドラえもんを単身で放り込んだ関係で、本作ではドラえもんが「モグラ手ぶくろ」を無表情で駆使し、敵の人間キャラなどを生き埋めにして、お墓を建てるという、現代ではどう考えても版権元の承認がおりないゲーム内容となっている。
それだけにとどまらず、
- ステージクリア時は、「ドラえもんのうた」のおしゃれなジャズアレンジとともに、敵を生き埋めにした墓の数をカウントして、その数に応じてボーナス点が入る
- 「花火花」の爆発にボンバーマンのように敵を巻き込んで倒す
- 「しゃぼん玉ピストル」で敵をシャボン玉に閉じ込め、敵もろとも破裂させて倒す
- 「カチンカチンライト」で敵を氷漬けにして、氷ごと粉々に破壊して倒す
- これらや生き埋めで敵を倒した際、ドクロの形をした煙があがる
のように、当時でも版権元に怒られそうな要素が満載である。よく発売できたな
海外版
本作の海外版は『Cratermaze』というタイトルで、ドラえもんが関係なくなり、グラフィックやBGMが『キッドのホレホレ大作戦』のものに戻されている。
しかし、グラフィックは戻しきれておらず、どこでもドアや、タイムマシンの時空間、中ボスのツチダマ (アーケード版には相当するボスがいない) がそのままだったり、オープニングやエンディングなどにと登場していたのび太・しすかちゃん・ジャイアン・スネ夫が衣装違いでそのままの顔・体型で登場していたり、元ジャイアンが元のび太をボコボコにする描写がまんま残っていたりなど、移植にドラえもんを経由した痕跡が色々そのままである。
もっとも、これは特に問題にならなかったようで、のちに海外でWiiバーチャルコンソールとして、この『Cratermaze』が配信されていた。
ゲームデザイナー
本作のゲームデザイナーである藤原茂樹氏はファミコン版のボンバーマンが大好きで、それに影響されてステージクリア型アクションゲームを作りたい想いから『キッドのホレホレ大作戦』を開発した。その後ボンバーマン好きが高じてハドソンに移籍して本作を作ったあと、PCエンジンの『ボンバーマン』を手がけることになる。この作品で5人での対人戦という新境地を切り開き、以降長い期間、ボンバーマンのシリーズプロデューサーに就任していた。
『キッドのホレホレ大作戦』発売当時は、アルカノイドが端を発した、古いゲームのリメイクブームまっただ中であり、このゲームは『平安京エイリアン』のリメイクと考えられていた。しかし藤原氏によれば、開発当時『平安京エイリアン』を知らないために全く意識しておらず、穴を掘って埋めるというルールは偶然の一致であったという。
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関連項目
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