ネオダマとは、1990年代前半に提唱された、コンピュータシステムの導入におけるスローガンである。
概要
ネオダマとは、下記の4つのキーワードをまとめた言葉である。
- ネットワーク:パソコンやワークステーションなどをLANやWANで結び、分散処理を進めようとする考え。
- オープンシステム:メーカーに依存せず、共通の規格などで異なるメーカー同士でのシステム利用ができるようにすること。
- ダウンサイジング:LANによる分散処理によって、集中処理していたメインフレーム(大型汎用コンピュータ)主体から、パソコンやワークステーションといった小型コンピュータに縮小していくこと。
- マルチメディア:文字だけではなく、音声、画像などをまとめて処理できるようにすること。
歴史
コンピュータが軍事目的から商用化されていった当初は、会計処理の効率化から始まったが、1980年代に入って、分析された情報を、経営戦略を立てるために積極的に用いるシステム(SIS)が考え始められた。
たとえばコンビニで、従来はレジでの精算情報を集めて売り上げや利益の計算を効率化させていたものを、バーコード入力による商品データの入力も行わせることで売れ筋情報を蓄積し、それをもとに、今後どのような商品を店頭に並べれば売り上げを増やせるか、というマーケティングに利用するようになっていった。
しかし、従来の大型汎用コンピュータ(メインフレーム)やオフィスコンピュータ(オフコン)では、場所をとる上に価格も大企業で導入するにも躊躇するほどであった。
そんな中、1970年代後半より小型のパーソナルコンピュータやワークステーションが著しく高速処理化され、1980年代になると会計処理をするにも十分な速度と、表計算ソフトなども普及していた。
そこで、従来の大型コンピュータによる集中処理から、小型コンピュータを複数台使用した分散処理に移行することで、ごく一部の大企業から中小企業でもSISが利用できる環境を提供しようという動きへと変わった。
そのキーワードこそが、ネオダマに含まれる4つであった。
しかし提唱された当初は、どの項目もすぐに達成できないと思われていた。
LAN機器はあったものの、それを利用できるOSやハードウェアは高価であったし、音声や画像をまとめて処理できるのはMacintoshやワークステーションなど、一部のハードウェアに限られていた。
しかしマイクロソフトが発売したWindow 3.1では、すでに欧米で普及していたIBM-PC/AT互換機や、国内で普及していたNEC PC-9800シリーズなどのパソコンで、比較的実用的なGUIを採用し、文字、画像、音声、そして動画の処理も対応できるようになった。
さらに米国の情報ハイウェイ構想によるインターネットの商用化、そしてWindows 95によるインターネットおよびLANへの接続機能の標準搭載、ハードウェア依存の機能に対しては、デバイスドライバをクッションとすることによって搭載を容易にしたことで、ネオダマの目標は20世紀内でほぼ実現するに至った。
さらには、1999年にADSL、2002年に光ファイバー回線の定額利用が可能になったことで、インターネット経由のWANやVPNの構築も安価で可能となり、多くの企業で広域の専用ネットワークの利用も可能となった。
また、単なる分散処理から、共有や集中管理が必要な処理をサーバと呼ばれるコンピュータに一括処理させる、クライアント・サーバ・システムへと変貌していき、インターネット技術の応用やLinux導入によるサーバ導入コストの削減も行われるようになった。
2010年代おいては、ネオダマ自体が当たり前に利用できるようになり、死語と化した。
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関連項目
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