ノスフェルとは、『ウルトラマンネクサス』に登場する怪獣である。
『ネクサス』シリーズ共通の敵である“スペースビースト”の一種で、“フィンディッシュタイプ(=悪魔的な)”に分類されている。
直立二足歩行するネズミのような形態で、口から突き出た前歯と両腕の鋭利な鉤爪が特徴。全身は表皮を剥がれた様に筋肉組織を露出しており、その姿は極めてグロテスクである。
概要
ノスフェル | |
登場作品 | ウルトラマンネクサス |
サブタイトル | 第11話「人形 -マリオネット-」 第12話「別離 -ロスト・ソウル-」 第13話「予知者 -イラストレーター-」 第14話「悪魔 -メフィスト-」 第15話「悪夢 -ナイトメア-」 第16話「迷路 -ラビリンス-」 第17話「闇 -ダークネス-」 |
体長/全長 | 5メートル~50メートル |
体重 | 39000トン |
出身地 | 不明 |
闇の巨人ダークメフィストこと溝呂木眞也が操るビーストで、先に出現したガルベロスと同じく“フィンディッシュタイプ”という他のビーストよりも格上の存在と設定されている。
スペースビーストの祖であるビースト・ザ・ワンは進化過程でネズミを体内に取り込んでおり、ノスフェルはその性質を色濃く残したビーストである。
主に両腕の鉤爪や顎から突き出た前歯、そして口から伸ばす鞭のようにしなる長い舌が武器だが、最大の特徴は強力な再生能力であり、たとえ倒されても短期間のうちに再生復活する事ができる。
しかし、この能力は口内の再生器官によるもので、これが失われてしまうと再生能力を発揮できなくなる。
また、怪獣でありながら体の大きさを自在に変える事が可能で、状況に応じて小型化して活動する事もある。小型化した際は隠密性と機動力が増し、素早いジャンプ移動でナイトレイダーを翻弄している。
更に、殺害した人間に自身の細胞を埋め込むことでビーストヒューマンと呼ばれる眷属に変える能力も持つ。ノスフェルの細胞を埋め込まれたビーストヒューマンは生前の知識と記憶を有しているが、木材を齧って歯を研ぐ習性を持ち、徐々に腕がノスフェルと同様の筋肉組織や鉤爪へと変異を遂げていく。
かなりの長期間、暗躍を続けていたビーストでもあり、溝呂木がダークメフィストと一体化した翌日(第17話の一年前)、彼と共に特殊任務班ナイトレイダー(劇中に説明は無いが和倉隊長率いるAユニットとは別の部隊と思われる)を全滅させる映像が記録されている。そして、主人公の孤門一輝がナイトレイダーAユニット隊員に任命される数ヶ月前、溝呂木の差金で斉田リコ(後に孤門の恋人となる女性)の家族を襲撃し、リコの両親と弟を惨殺した。リコ自身も溝呂木に射殺された後、闇の巨人ダークファウストの依代として生ける屍にされ、孤門や西条凪を翻弄するための道具とされてしまう。
なお、リコは『家族の肖像』としてノスフェルなどのスペースビーストやダークファウスト、惨殺された両親や弟の姿を赤黒いキャンバスに描き殴り、部屋中に貼り付けるなどの狂気的な行動を見せている。
半年後、リコは孤門の前でダークファウストとしての正体を現し、ウルトラマンネクサス=姫矢准を追い詰める。孤門の銃撃で正気を取り戻したダークファウストは動きを止めるが、それを邪魔に感じた溝呂木はノスフェルを召喚、孤門を殺害させようとするが、ファウストが孤門を庇ったため結果的にファウスト=リコに鉤爪を突き刺し、致命傷を与えてしまう。ノスフェルは直後にネクサスのクロスレイ・シュトロームを受けて爆死したが、間もなく上記の再生能力で復活を果たし、今度は孤門と偶然知り合った山邑一家を襲撃。殺害した山邑夫妻をビーストヒューマンとして操り、彼らの子供である薫と理子(奇しくも彼女も理子=リコである)を襲わせた。
再びノスフェルと交戦する孤門とネクサスであったが、ノスフェルは理子を人質として額に取り込み、ナイトレイダーの前に立ちはだかる。恋人の仇としてノスフェルに強い憎悪を抱いていた孤門は、体内に人質がいる事を知らないまま新兵器メガキャノンバニッシャーを発射し、ノスフェルを爆砕してしまう。理子は救出されたものの重傷を負い、あとから事情を知った孤門は薫から激しく非難された。
その後、二度目の復活を遂げたノスフェルは夜闇と霧に紛れて多数の民間人を襲撃、捕食する。孤門はノスフェルを迎撃しようとするも、山邑一家を巻き込んだトラウマの為に自失状態に陥り、同僚の石堀隊員を危険に曝した上にTLTを脱走する騒ぎを起こしてしまう。孤門を欠くナイトレイダーはノスフェルとの戦闘で窮地に陥るが、リコとの絆によって溝呂木の誘惑を振り切った孤門とネクサスの合流により形勢逆転。ネクサスがノスフェルの口をこじ開けている間に孤門がノスフェルの口腔を狙撃、再生器官を喪失したノスフェルはネクサスのオーバーレイ・シュトロームを浴びて今度こそ完全に滅ぼされた。
しかしノスフェルの細胞は理子の記憶処理にも悪影響を与え、理子はノスフェルとビーストヒューマンに関する記憶を残し、逆に家族の記憶を喪失するという生き地獄を味わう事になる。また、全てのビーストが融合した最強のスペースビースト、イズマエルに装備されたノスフェルの爪はウルトラマンネクサス・ジュネッスブルーをズタズタに引き裂き、一度は戦闘不能に陥らせるなど、死後もストーリーに大きな影響を残し続けた。
ただでさえ“エグい・グロい”で有名な『ネクサス』のスペースビーストの中でも取り分け悪辣なビーストであると言え、ただ人間を殺すだけではなくメフィストともども無関係な人達を巻き込んでは次々と破滅させていく様はDVD特典映像で「これ程の憎まれ役を演じた怪獣は珍しい」と評されるほどであり、孤門のみならず、視聴者の精神をも6週間に渡って抉り続け、シルバーブルーメに次ぐトラウマ怪獣として記憶された。
なお、孤門が凄惨な精神攻撃に翻弄された末、ラストには何の罪も無い山邑一家にノスフェルの鉤爪が振り下ろされるという壮絶な鬱展開が描かれた第13話の放送日は、12月25日である。玩具売る気あるのか。
これらの展開は保護者にも不評だったらしく、 朝日新聞に批判投書が掲載される事態にもなった。
一方、ノスフェルとの決着は孤門の成長を促す一因ともなり、17話以降の孤門は以前のような弱々しさや、リコへの依存心を見せることは無くなった。番組自体の作風も多少は明るくなっていく。
なお、1922年に公開されたドイツ映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』に登場する吸血鬼(ノスフェラトゥ)は、ネズミに似た前歯や鋭い鉤爪などを有しており、ノスフェルの元ネタである可能性が高い。また、「魔女はネズミを使い魔にする」という西洋の伝承がモチーフになっているという説も存在する。
ウルトラマンネクサス以降の映像媒体には登場していないが、ネクサス放映開始からちょうど10年目に当たる2014年12月、ウルトラマンギンガSの外伝短編小説『マウンテンピーナッツ』(作:小林泰三)にて再登場を果たした。 本作は小説媒体という児童層の鑑賞が想定されていない作品であるためか、ノスフェルはネクサス本編以上の大虐殺を敢行、殺した人々をビーストヒューマン化させて盾にするなどの凶行に走った。初代ウルトラマン(SD)との戦いでは、30秒に渡るスペシウム光線の照射に耐えたり、八つ裂き光輪で全身をバラバラにされても生きているなど、再生能力の厄介さも描写されている。物語の主軸は狂気的な環境保護団体マウンテンピーナッツであるにも関わらず、それすらも利用してしまうノスフェルの恐ろしさが存分に描かれた作品なので、数少ないであろうファン必読である。
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