バグパイプとは、空気を貯める袋(バッグ)とそれにつながった笛(パイプ)から成る木管楽器である。バッグパイプともいう。
概要
空気を貯め込んだバッグを押してその空気を笛に送って演奏する。バッグには口で息を吹き込む物と脇に抱えたふいごを肘で押して空気を送り込む物があり、後者を特にイーリアンパイプスと呼ぶ。
一度バッグに空気を貯めるので、息継ぎで音を切ることなく音を出し続けることができる。そのため、旋律を演奏する管(チャンター・パイプ)の他に持続音(ドローン)を出す管(ドローン・パイプ)がついていることが多く、演奏すると主旋律の背景で持続音が鳴り続け、独特の雰囲気がある。同様に持続音を出す楽器にはフランスのヴィエル・ア・ルーなどがある。
現代においてはスコットランドのものが特に有名で、これをグレート・ハイランド・バグパイプ(Great Highland Bagpipes : GHB)と呼ぶ。他にはバルカン半島やイベリア半島北西部のものがよく知られる。起源は中東かその周辺と考えられ、ヒッタイトの碑石にそれらしきものが見られる。それがギリシャに定着したものがローマ帝国を通じて中東、北アフリカから欧州、グレートブリテン島とその周辺にかけて広まった。 オーケストラ楽器のように統一化されることがなかったため、現在も各地で様々なバリエーションが存在する(ドローンの数、チャンターの種類、バッグの形、空気の送り方など)。
現在、バグパイプはケルトと結び付けて語られることが多いが、既に書いたようにバグパイプがケルト文化の楽器であるというような関係は本来ない(ケルトは一つながりの文化を指さないので当然だが)。
バグパイプがケルトと結び付けられるのはスコットランド、アイルランドのイメージによる。スコットランドとバグパイプの強い結びつきのイメージは、1500年代から戦場のラッパの代わりにバグパイプが使われるようになったことに始まる。この時期からの「スコットランド」意識の形成にあわせて、タータンなどと共にスコットランド的、ゲール文化的としてスコットランド全体に認知され、またスコットランドの軍楽隊として内外に知名度が高まった結果が現在の「スコットランドのバグパイプ」のイメージである。
伝統的にはバッグは動物の皮や内臓、パイプは木材でできていた。ただし現在ではバッグ・パイプともに合成素材製のものも多い。
ピッチを調整する事がやや難しい楽器とされる。合奏の時には、他の楽器にピッチを合わせてもらったりする必要がある。しかも一旦調整しても温度や湿度によってずれやすい。この問題点を解決できるものとして、エレキギターのような「エレクトリック・バグパイプ(電子バグパイプ、エレキバグパイプ)」も登場している。ピッチの調整が厳密に行えるため、合奏やコンサートではこちらを使用する演奏者もいる。
演奏例
もっとも有名なスコットランドのGHBによるもっとも有名なバグパイプ曲の演奏。『Scotland the Brave』は、もともと1820年頃のフルートのための曲だが1900年前後にバグパイプ曲として有名になり、いまでは非公式ながらスコットランドの国歌とも呼ばれる。
ブルガリアのバグパイプ、ガイダによるブルガリア音楽らしさに富んだ演奏。羊の皮を丸ごと使い、左右前足の穴と首の穴に管をつなぐ典型的バグパイプの構造がよくわかる。
現代バグパイプ。バグパイプ・ジャズ・ミュージシャンによる演奏。
電子バグパイプ。これらの動画ではバッグが付いているタイプだが、バッグが付いていないタイプも存在している。
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読み:バグパイプ
初版作成日: 15/04/26 11:15 ◆ 最終更新日: 16/11/05 13:41
編集内容についての説明/コメント: イーリアンパイプスについて記述
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