バットマン:ダークナイト・リターンズとは、アメリカのDCコミック社が1986年に出版したグラフィック・ノベル(アメコミ)である。著者は『デアデビル』『シン・シティ』のフランク・ミラー。
概要
現在に至るバットマンの人気を決定付けたといっても過言ではない作品。
コミカルな要素の強かったそれまでと比べて暗く重い作風で、勧善懲悪では終わらないハードボイルドな雰囲気を漂わすサスペンスアクションである。
同時期に発売された同社の『ウォッチメン』と共に一大アメコミブームを巻き起こし、さらに一般層までも虜にした。ミラーはこの当時29歳という若さであった。
この旋風はそこまでに留まらず、本作に強いインスピレーションを受け、ティム・バートン監督の映画『バットマン』、クリストファー・ノーラン監督のダークナイト三部作が製作された。
(ノーランの製作した「ダークナイト」とは内容において大きく差異があり、「ビギンズ」に関してはむしろ『バットマン:イヤーワン』からの影響が強い)
なお、本作は「バットマン引退から10年が経過した近未来」を想定して描かれた、いわば外伝的な位置づけとなっている。したがって現行シリーズの時間軸がそのまま本作の世界に繋がっているとは限らない(同様に引退後の未来を描いた作品としては『バットマン・ザ・フューチャー』がある)。またアメコミの例に漏れず、他のDC作品と世界観を共有しており、本作にはスーパーマン、グリーンアローも登場する。
続編には『バットマン:ダークナイト・ストライクス・アゲイン』がある。現在、日本では『ダークナイト』公開と共に翻訳版が再出版され、同作とまとめて1冊で発売中。
意外と知られていないが前後編でOVA化も為されている(『バットマン:アニメイテッド・シリーズ』でも一部分だが再現されたことがある。気になる方は『バットマン:ゴッサム・ナイト』に特典映像として収録の「ダークナイトの伝説」をチェックしてみよう)。
あらすじ
体力の衰えと共にヒーローを引退したバットマンことブルース・ウェインは、いまや55歳の老体の持ち主となっており、もはや自分はバットマンではないと言い聞かせながら過ごしていた。
しかし、冷戦による緊張と、国家の磨耗によって、ゴッサムシティの治安は未だ悪化の一途を辿っていた。
折も折、引退10周年をゴードン元刑事と祝った帰り、ブルースは、かつて両親を殺された路地で、チンピラの襲撃を受ける。
自分の内にくすぶる感情に突き動かされ、ブルースは、老境に入っていながらなお、バットマンとしての復活を決意する。
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関連項目
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