概要
1965年の映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』で初登場した。
『怪獣総進撃』や、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』にも登場している。
日本で初めて『地底怪獣』の異名を与えられた怪獣であり、
後述の通り、このバラゴンの着ぐるみから多数の地底怪獣が生まれている。
異名通りに地底潜行能力を有しており、地底を自由自在に移動可能。
体格は小柄だが動きは素早く、大ジャンプからの体当たり攻撃を得意とする。
鼻面の一本角や、襞状に波打った背部など、外見には怪獣らしい特徴を有するが、
感情が昂ぶると起き上がる耳状の鰭や、パグ犬のような顔面など、可愛らしさも併せ持っている。
また「ゴジラに角や巨大な耳、鰭を追加した」デザインでもあるが、
これはアメリカ側から「ポストゴジラ」の新怪獣を登場させるようオファーがあった為である。
『フランケンシュタイン対地底怪獣』
秋田油田から突如出現した中生代の巨大爬虫類。身長25m、体重は250t。
本作の個体のみ、口から赤色の熱線を吐く(発射時の効果音はゴジラの熱線と同じ)のが特徴。
スーツアクターは初代ゴジラを演じた中島春雄。
見た目に似合わず凶暴な肉食動物であり、地底を移動しながら各地の山村を奇襲、人畜を捕食した。
その特性上、目撃者は一人残らず食い殺されていた為、自衛隊はバラゴンの出現を認知出来ず、
同時期に研究所を脱走した改造巨人フランケンシュタインに濡れ衣を着せてしまう。
やがてバラゴンは日本アルプスに到達、フランケンシュタインを捜索しに来たボーエン博士らを襲うが、
博士とその助手の季子を慕うフランケンシュタインが救助に現れた為、対決する事になる。
バラゴンは体当たりや熱線で果敢に攻撃したが、体当たりは回避されて頭を強打する羽目になり、
熱線はフランケンシュタインが着ている服すら焼けないというショボさ故に、苦戦を強いられる。
最期は地底へ逃げようとするが、フランケンシュタインに裸絞めを決められ、頚骨を折られて絶命した。
なお、この映画には、劇場公開版とTV放映版という二つの結末が存在するが、
前者ではバラゴンが死亡した直後、彼が移動用に掘っていた穴が地盤沈下を誘発、
図らずもフランケンシュタインを地底へ沈め、相打ちに持ち込んでいる。
一方、後者では湖から唐突に大ダコが出現してフランケンシュタインを倒すという超展開になり、
バラゴンの死体も谷底に放り捨てられるなど、極めて不遇な扱いになった。
また、劇中でのバラゴンは人類にとって未知の存在なので、名前は無いはずなのだが、
ボーエン博士が「バラゴンが後方2マイルに迫っている!」という台詞で唐突に命名し、
それを聞いた消防団の隊員も「あ、そうですか」と納得してしまっている。
『怪獣総進撃』
キラアク星人に操られてパリや天城山で人類と交戦した後、人類に制御を奪還され、
富士山にてゴジラ率いる十大怪獣の一員としてキングギドラに立ち向かう……はずだったのだが、
劇中での実際の出番は、富士山での遠景シーンと、怪獣ランドの様子を描いたラストシーンのみ。
怪獣による各国襲撃シーンでは「パリにはバラゴン」とナレーションされているにも関わらず、
画面に映っているのは、何故か地底から凱旋門を破壊するゴロザウルスであったり、
キングギドラとの戦闘シーンでも全く登場しないなど、またしても不遇な扱いを受けている。
実は『フランケンシュタイン対地底怪獣』の撮影後、バラゴンの着ぐるみは円谷プロへ貸し出され、
『ウルトラQ』に登場する怪獣パゴスに改造され、更に『ウルトラマン』においても、
ネロンガ、マグラー、ガボラとして改造・流用された後、再びバラゴンに戻される経緯を辿っていた。
これら三年に渡る酷使の結果、着ぐるみは既に修復困難な状況に陥っていた為、
パリ襲撃シーンの撮影には間に合わず、ラストシーンに間に合わせるのがやっとであったという……
デザインの素晴らしさ故の酷使ではあるが、キングギドラと戦って欲しかったという意見も今だ根強い。
『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』
約30年ぶりの再登場となる本作では、今までのような単なる巨大爬虫類ではなく、
大和の『くに』を守護する使命を持った護国三聖獣の一体、地の神・婆羅護吽として登場した。
スーツアクターは、東宝怪獣映画史上初の女性スーツアクターである大田理愛。
熱線などの派手な武器は持たないものの、地底潜行能力や大ジャンプからの体当たりは健在。
身長は5m増しの30mとなり、体重は40倍の1万トンに増している。
また、『マグマの近くに棲んでいる為、ゴジラの熱線に耐性を持つ』という設定が存在する。
妙高山の地底で眠っていたが、暴走族が封印の石碑を壊した為か他の聖獣達より一足早く復活。
トンネルを崩落させて件の暴走族を殺害しつつ南下し(この際に『赤いゴジラ』と誤認されている)、
東京侵攻を図るゴジラと箱根大湧谷にて遭遇、先鋒として迎撃戦に挑んだ。
しかし、倍以上の身長・体重を誇るうえ、怨念の集合体故に物理攻撃が通じないゴジラには敵わず、
足蹴にされ、体当たりも尻尾で迎撃された末に至近距離から放射熱線を受け、一発で爆死した。
熱線への耐性とは何だったのか。
要はゴジラの圧倒的な強さを表現する為のかませ犬扱いであり、
主人公の立花由里も、戦いを一目見るなり「勝ち目ないよ、あれじゃ」と発言している。
ただし、味方怪獣という立場故か、目撃した女性から「可愛いかも」と評されたり、
報道ヘリのディレクターから「がんばれ赤い怪獣!」と声援を受けるシーンもある。
先述の「赤いゴジラ」と併せて「ゴジラの恐怖を忘れてしまった日本人」を表現しているとも言えるが、
バラゴン自体の扱いは悪くないとも言える。 映画のタイトルからはバラゴンの名だけハブられたが。
余談
『バラゴンとは”バラナスドラゴン”の末裔』という設定が一部文献に記載されているが、
そのような名称は『フランケンシュタイン対地底怪獣』の脚本・設定資料には記載されておらず、
果たして公式設定なのか、その文献の独自設定なのか疑問視されている。
なお、『バラナスドラゴン』はコモドオオトカゲ(Varanus Komodoensis)の別名でもある。
更に近年、『パゴスの着ぐるみはバラゴンの改造品ではない』という新説も主張されており、
これが事実なら特撮業界に長年浸透していた定説が覆ってしまうかもしれない。
関連商品
関連項目
- 怪獣
- ゴジラ
- フランケンシュタイン
- モスラ
- キングギドラ
- ゲロンガ - パゴスをモチーフとした怪獣。後にネロンガ、マグラーへ着ぐるみを改造されている。
- フランケンシュタイン対地底怪獣
- 怪獣総進撃
- ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
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