バルゴラとは、『スーパーロボット大戦Z』シリーズ(以下『Z』シリーズと呼称)に登場するバンプレストオリジナル機動兵器である。主な搭乗者はセツコ・オハラ、デンゼル・ハマー、トビー・ワトソンの三名。
後継・改修機にあたるバルゴラ・グローリーについてもこの項目で取り扱う。
概要
地球連邦軍所属の戦技研究班「グローリー・スター」によって運用・試験評価がされている次期主力量産機。
青を基調としたカラーリングで全長は19.8m、出自や大きさでお察しの通り、いわゆるリアル系ロボット。
十徳ナイフのようなフォルムをした全領域対応汎用武装システム「ガナリー・カーバー」を主武装として戦闘を行う。
物語開始時点で三機が運用されていた。
一号機
冷えたビールをこよなく愛し、部下を傷つける相手には手痛い皮肉を飛ばすユーモアと優しさを併せ持った渋いオッサン、グローリー・スター隊長デンゼル・ハマーが搭乗。高出力ビーム射撃兵器「レイ・ストレイターレット」がガナリー・カーバーに内蔵されている。
実質的な隊長機といえるこの一号機は後述する二号機・三号機のデータを統合する機能を持ち、データ収集のためガンカメラ、更には『Z』シリーズの根幹を為すアイテム『スフィア』もガナリー・カーバーに内蔵されていた。
物語の最序盤でデンゼルから、主人公であるセツコへと託されることとなるが、この事がセツコ自身や彼女が後に属する部隊の運命に大きく関わることとなった。
特徴として、ガンダム系列MSに似た逆ハの字のアンテナを持ち、肩部パーツに金の塗装が施されている。
二号機
故郷に婚約者がいてムードメーカーなイケメン、同じくグローリ・スター所属トビー・ワトソンが搭乗。ビームサイズ兵器「バーレイ・サイズ」をガナリー・カーバーにて運用する。
汎用機というコンセプトやトビーが得意とする間合いが中距離ということもあってか、ビームサイズは斬るだけではなく斬撃状のエネルギー波を飛ばすことも可能としている。
特徴として、一号機と三号機が持つアンテナを持っておらず、斬撃を主体とするコンバットモーションの都合上、他二機両腕でガナリー・カーバーを抱えているのに対してこの二号機は片腕で持ちすぐさま斬撃に移行できるようになっている。
三号機
バンプレストオリジナルの先達に劣らぬブルンバストの持ち主であり、バンプレストオリジナル主人公の中でも屈指の不幸属性を持つ、スパロボZのリアル系女主人公セツコ・オハラが搭乗。
ガナリー・カーバーの十徳ナイフらしさを象徴しているといえる実体剣武装「ジャック・カーバー」を運用している。
前述の通り、当初はセツコの搭乗機体だったのだが、デンゼルがセツコの成長と将来を思って乗り換えることとなった。
特徴として、 アンテナを人間でいう側頭部に持ち、カメラアイの色が他二機は水色になっているのに対して、この三号機だけは淡いピンク色となっている。
バルゴラ改
紆余曲折を経て、二号機・三号機のデータと二号機の部品が一号機に統合されることにより完成したバルゴラ。
左肩部に金塗装の施された一号機のパーツ、右肩部が二号機のパーツだったりと些かパッチワークじみてはいるが、ガナリー・カーバーの武装も統合されたことによりバルゴラは全領域に対応する機動兵器として完成することとなった。
機体スペック
機体の性能については素晴らしいの一言。格別に尖った長所がない平均的な機体ではあるが、量産機として目指すべき汎用性を見事なまでに高めている。
新兵からベテランまで受け入れる機体追従性の高さ・柔軟な動きを可能としていながらも出力200%オーバーというとんでもない無茶をしても問題ない堅牢さを併せ持つ間接構造をしており、名機Ζガンダムを設計したカミーユ・ビダンからは「乗る人間が乗れば化ける」との高い評価を貰い、自他共に認めるメカオタで宇宙世紀最強と名高いアムロ・レイからは「兵器であることさえ忘れれば、動かしていてこれほど楽しい機体はない」とまで言わしめた。
まさに傑作量産機と呼ぶにふさわしい機体ではあるものの、「通常のジェネレーターでは出力200%超などというスペックはどんなエースパイロットだって発揮できない」という不自然に頑強な点や、そこから導き出される結果として「通常のジェネレーターではない、より高出力な動力を積むつもりだったのだろうか?」ということが作中で推論されていた。
この異常にハイスペックな機体構造の目的は、後継機バルゴラ・グローリーの誕生経緯で明らかとなった。
武器
前述した武装ガナリー・カーバーに加えて、腰部にマウントされたビームガン「レイ・ピストル」が共通する武器として装備されている。
ここまででお気づきの方もいるだろう、このバルゴラには固定兵装と呼ばれるものが皆無であり、攻撃をガナリー・カーバーに依存していると言っても過言ではない。打撃ですら超加速とコンバットモーションの集積を利用した銃底攻撃「ヘルブ・ストライク」によって行っている。
次期量産機なんだから取り回しのきかない装備は付けないのが当然では?と思われるかもしれないが、宇宙世紀の世界で誕生している人型機動兵器である以上、頭部バルカンすら無いのは異端すぎる仕様といえよう。
この仕様も、後継機バルゴラ・グローリーの誕生によって明かされることとなる。
動力
設定上は宇宙世紀モビルスーツであり、機体動力も武装もそれを動かすOSもモビルスーツのそれに準ずるが、一号機のバルゴラが扱うガナリー・カーバーにだけは『Z』シリーズの重要アイテムであるスフィアが搭載されている。ガナリー・カーバーには共通して中央部に橙色をした球体上の意匠が施されているが、一号機だけは明るい緑色をした球体の意匠が施されている。
このスフィアがなかなかのクセモノで、ただ何もない状態ならロボットものによくある無限の動力を生み出すアイテムなのだが、搭乗者の感情に呼応して『覚醒』すると生死に関わりかねないデメリットを搭乗者に与え、『覚醒』が進んだ果てには平行世界にまで及ぶ影響を発生させることも。詳しくは『スフィア(スパロボ)』を参照。
バルゴラ・グローリー
『栄光の星』(グローリー・スター)の名を冠するバルゴラの最終後継機。
十二分に戦えるとはいえ急場しのぎの改造機でしかなかったバルゴラ改に、自他共に認める変態ジエー・ベイベル博士が全面改修を施し、バルゴラ一号機から受け継いだ『スフィア』がセツコの「悲しみ」に呼応してガナリー・カーバーを文字通り変質させたことによって誕生した。
パッチワークじみたパーツは全て新たなものへと取り換えられ、元々高い性能を誇っていた関節部は更に強化、背部にはVWFSと呼ばれるV字形状の飛行翼を装備し、これまでブースターによる上昇で対応していた対空性能にも、これまで培ってきた汎用性の高さにも、更なる強化が施された。
ただ、これらを主な目的としてバルゴラは強化されたわけではなく、あくまで本命は『スフィア』覚醒による変質と超強化によって進化を遂げたガナリー・カーバーを運用するためである。
覚醒を経て強力になったスフィアによってガナリー・カーバーは本体であるバルゴラ・グローリーと違ってフォルムも性能もスーパーロボットじみたそれへと変貌を遂げており、実体剣は文字通りの無からの具現化によって出現、ビームサイズは機体を軽く超える大きさを誇り、 元々のバルゴラですらそれなりの威力を持っていた遠距離からの高出力ビームはもはや対艦攻撃すら凌駕しているのではないかと思えるほど。
出身が同じ宇宙世紀モビルスーツに例えると、覚醒したガナリー・カーバーは『サイコパワーで謎強化されたビームサーベルがいつでも使えて、ビームマグナムやメガバズーカランチャー並の砲撃を撃ちまくることができる武装を全部乗せした、十徳ナイフのような武装』といったところだろうか。
こんな超出力で取り回しにすこぶる苦労するであろう武装を、並の機動兵器だったならば柔軟かつ精密に・高機動で扱いきれるわけがない。量産機にしては異常ともいえる性能をしていたバルゴラの構造は、この覚醒したガナリー・カーバーを運用することが前提であったのだ。
また、この機体を完璧以上に扱うに至った、パイロットたるセツコ自身の努力や苦労も並大抵のものではない。
自らに降りかかった「悲しみ」を乗り越えんと仲間と共に努力し、「変則的な斬撃」「高い機動力を生かした加速からの斬り抜け」 「遠距離からの高火力攻撃」を軸とする「似た戦い方」との印象を互いに持ったスーパーエース、キラ・ヤマトを打倒せんとリアル系男主人公シン・アスカと共に切磋琢磨し、そのキラや、場合によっては敵対するかもしれないシン、果ては敵の「悲しみ」を理解しようとすることを忘れない彼女の心と、平行世界でも失われてはいなかった「グローリー・スター」の誇りがあってこそのバルゴラ・グローリーと言えるだろう。
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