バンゲリングベイとは、ウィル・ライト氏が開発し、ブローダーバンド社から発売されたコモドール64のシューティングゲーム、及びその移植版である。
正式名称は「RAID ON BUNGELING BAY」。
「バンゲリング帝国三部作」の一つで、日本では1985年にファミコン版がハドソンから発売された他、MSX版がソニーから発売されている。
概要
アメリカ合衆国海軍がカリブ海にて新型兵器のテストを兼ねた演習を行っていたところ、「バンゲリング帝国」と名乗る謎の軍隊に襲われ、戦闘機や攻撃機等の兵器、最強の戦艦であるアイオワ級Q型戦艦を奪われてしまった。
バンゲリング帝国の目的は奪った海軍の兵器を増殖し、地球の征服を狙うことだった。
海軍第2艦隊に残されたのは新造空母ロナルド・レーガンと、戦闘ヘリ・シーアパッチAH-16が5機のみ。
しかし、このわずかな戦力をもって、第2艦隊はバンゲリング帝国の侵略を阻止するため、敵工場攻撃作戦を開始するのだった。
わが栄えある第2艦隊旗艦、空母ロナルド・レーガンの全将兵に告ぐ!!
1806時、我々は未知の敵と遭遇した。敵の使用する怪光により、我が第2艦隊は本艦を残し、全て壊滅し!!
現在、本艦は約10kmの海域に閉じ込められ脱出は不可能!!
我々の残存兵力は本艦及びテスト中の新型ヘリ5機。只今より、飛行戦闘隊により未知の敵工場攻撃作戦に入る!
これは演習ではない。
繰り返す、
これは演習ではない。
戦闘ヘリを操作し、バンゲリング帝国の各地にある工場を全て破壊することでクリアとなる。
ヘリの操作はキーの上下でスピード調整、左右で旋回移動という感じで、当時のゲームと比べて比較的やりにくい操作性だった。
攻撃方法は機銃と対地爆弾による爆撃で、機銃は戦闘機や戦車などの小型の兵器、爆撃は工場と大型戦艦に対して使用する。
対地爆弾の補充とダメージ回復は空母に戻ることで行われるが、航空兵器や艦船兵器によって空母が破壊されると補給を行うことは出来なくなるため、アラートが出たら空母に戻って守る必要がある(対地爆弾のみは敵の滑走路を使用して補充することができる)。
また、IIコンのマイクを使用することで敵機を故意におびき寄せることができる。
ヘリの操作性に癖があったり難易度が高めで、さらにファミコンを多くプレイしていた低年齢層には比較的馴染めないゲーム内容であったためか、当時としては評価は今ひとつ芳しくなかった。
後々になって再評価する声も出てくるあたり、世に出るのが早すぎた作品といえる。
「シムシティ」の作者であるウィル・ライトの作品であり、バンゲリングベイの製作で使用したマップエディタからシムシティの構想が生まれたという。
余談だが、前半に書いたストーリーは「ケイブンシャ大百科シリーズ」の攻略本に書かれたものであり、実際の取説にはこのような細かい設定は書かれていない。
ファミコン版よもやまばなし
発売したのが当時人気絶頂だったハドソンであり、さらに雑誌『コロコロコミック』で大々的に特集されたことで低年齢層を中心に大ヒットする。しかし、操作方法が一般的な「ボタンを押した方向に動く」ものではなく左右で旋回する「ラジコン操作」だったことも子供たちに受け入れられず(コロコロではよりによって「ゼビウス」と比較されてしまった)、本作は長年クソゲーの烙印を押されてしまうこととなる。
本作がとっつきにくいものになった最大の原因として、オリジナルのコモドール64版にはあったレーダーの削除があるだろう。ファミコンのスペックでは再現が難しかったのであろうが、このせいでオリジナルにはあった高い戦略性が失われているといっても言い過ぎではないだろう。
ちなみに、本作が移植されるきっかけとして高橋名人は「当時ハドソンでラジコンが流行ってて、ラジコン操作するゲームを出したら楽しんじゃないの?ってことで出した」と語っているが、これは大嘘である。実際には「ロードランナー」の権利交渉の際に本作の権利も獲得しており、予定通りの移植である。オリジナル版からしてラジコン操作であったが、この特異な操作方法を説明するためのセールストークが上記の「社内で流行ってた」なのであろう。
移植にあたってソースコードも受け取っており、ファミコンのスペックに合わせた改編点を除くと、ロードランナー同様にかなり忠実で丁寧な移植が行われている(オリジナルのコモドール64のCPUはファミコンと同じ6502)。
なお、これを任天堂VS.システム向けに移植したアーケード版「VS.バンゲリングベイ」も存在する。最大の特徴としては、ラジコン操作から普通のレバーを倒した方向に移動する操作方法に変更されたというものがある。
関連動画
関連項目
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