概要
【分類】パイナップル目パイナップル科アナナス(パイナップル)属
【学名】Ananas comosus
(学名の由来)Ananas→ブラジル原住民の言葉・トゥピ語で「松」の意味(日本ではなぜか、現地語で「亀」や「亀の甲羅」という意味だという説が広まっている)/comosus→長束毛のある
パイン、パインアップルともいう。南米原産の多年草で、果物として商業的に重要な作物。名前は英名で「松かさ」+「果実」を意味するが、ここでの"apple"は果物の総称なので、リンゴとの直接の関係はない。
代表的なCAM植物なので乾燥に強く、痩せた土壌でも育つ。天然のものは、ハチドリが主に花粉散布にかかわるという。
果実
一般に果実と思われている部分は主に、花托という、花を支える部分が多数集まったもので、真の果実にあたる部分は表面の「うろこ」である。スナックパインは花托同士の融合が不完全なので、花托1つにあたる1粒ずつを手でちぎって食べられる。鮮やかな黄色の果肉は繊維質で、汁が多く甘味と酸味に富む。
生で食べられるほか、シロップ漬けにして缶詰に加工される。また、台湾の名物点心・鳳梨酥(オンライソー)の原料で、これはパイナップルケーキの名でも知られている。台湾では「栄える」「いい事がある」という意味の「旺来(オンライ)」と同音になるので、縁起物として好まれ、商店の軒先にパイナップルを象ったものをぶら下げる習慣がある。
マンガン・ビタミンC・ビタミンB1などの栄養分が豊富であるが、蛋白質を分解するブロメライン(名前はパイナップル科の学名・ブロメリアから)という酵素を含み、これは人の舌を刺激してしまう。また、パイナップルは酸性が強く、蓚酸カルシウムの針状結晶を含むので、食べ過ぎると口の中が荒れてしまう。おいしいけど程々に、ということだ。
パイナップルと酢豚
酢豚に入っているパイナップルは好みが分かれ、しばしば議論の対象となる(当然平行線で決着は付かない)。
酵素ブロメラインは肉を柔らかくする効果があるので、酢豚などの肉料理にパイナップルを加えるという暴挙の科学的根拠とされることがある。
酵素は加熱すると変成して活性を失ってしまうので、実際の効果は、甘味と酸味がつく程度であるという意見もある。しかし、肉の下ごしらえの時点で細かく切ったり、摩り下ろしたパイナップルに漬ければ本当に肉が柔らかくなるし、肉の下味にもなる。そして、その時余ったパイナップルを一緒に炒めたのが「酢豚×パイン」のそもそもの始まりである。当然缶詰のパイナップルを入れても効果は得られない。
なお、本場中国は広東の酢豚は日本のものとはかなり味付けが異なるが、そもそも「パイナップルと豚肉を合わせた料理」であってパイナップルなしでは成立しない。ただ上海の酢豚のような料理では入れないらしい。
酢豚とは少し離れるがハワイには「パイナップルを乗せたピザ」があり、これも好みが分かれアメリカでは議論の対象となるらしい(当然平行線で決着は付かない)。
栽培
熱帯から亜熱帯にかけて広く栽培されているが、特に東南アジアで栽培が盛ん。世界最大の生産国はタイで、フィリピン・ブラジルがそれに次ぐ。最大の輸出国はコスタリカ。ハワイでは20世紀初頭からドールやデルモンテなどの有名な企業が大規模栽培を行い、現在もパイナップルの島というイメージが強いが、赤字続きで生産量は伸び悩んでいる。日本では主に沖縄県で栽培されているが、酸性土壌でしか栽培できないため、栽培域は沖縄島北部や八重山諸島に限られる。
その他・豆知識
- テニス4大大会の一つ・ウィンブルドン選手権の男子優勝者に贈られるトロフィーのてっぺんには、なぜかパイナップルが…。
- 「パイナップル」はMK-2および類似の破片手榴弾(「手榴弾」と聞いて一般的に思い浮かべるアレ)をさす俗称でもある。これは手榴弾の外装に付けられた凸凹がパイナップルの表皮を連想させることからきたものであるが、この凸凹は主に握ったときの滑り止め用途であって一部で信じられているような破片生成効果はない(元々は副次的にそのような効果を期待されていたが後にないことが判明した)。
髪型としてのパイナップル
長い髪を逆立て、側面は刈り上げているような髪型をパイナップル・ヘアーと呼ぶ。現実世界ではあまり見かけないが、創作物では武道家や陽気・豪胆な人物の象徴としてたびたび見られる。代表的なキャラクターはハッサン、リクーム、アーダン、ペッシ、ノリス・パッカードなど。また、上記のパイナップル・ヘアーには該当しないが六道骸もその髪型からパイナップルの通称で呼ばれている。
パイナップルの名を持つ人物・キャラクター(パイン含)
パイナップルに関連する楽曲
- パイナップルの唄
- 酢豚にパイナップル!
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関連項目
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