パガニーニ(Paganini)とは、イタリア系の苗字である。Paganoという個人名/苗字から変化したものと考えられる。その由来はラテン語paganusに遡るとされ、これは「村人」「田舎に住んでいる人」という意味。
この苗字を持つ人物は多数存在するが、本記事ではその中でももっとも有名と思われる「ニコロ・パガニーニ」について記述する。
「ニコロ・パガニーニ(Niccolo Paganini)」(1782年10月27日 - 1840年5月27日)とは、
イタリアのヴァイオリニスト/ヴィオリスト/ギタリストにして作曲家であり、
特にヴァイオリンにおいては超絶技巧を誇るヴィルトゥオーゾとして有名である。
概要
幼少時から、厳格な父親によってヴァイオリンの練習を叩き込まれたという。
文字通り寝食を忘れるほどの厳しい指導と体罰を嫌ったニコロ少年は、16歳で親元を飛び出して演奏旅行の日々に出る。
あまりにも練習を続けた為に左肩が右肩より高くなり、また演奏の要である左手は極めて特徴的だった。
彼の主治医が残した手紙によると、手の大きさこそ普通であったが、指をいっぱいに広げると倍以上に伸びたという。
また末節骨(指先の骨)の関節が異常に柔らかく、指先を外側に曲げる事が出来たとも書かれている。
こうした肉体の素養と天与の才能を持ち、若くして演奏を極めてしまった事から、彼にしか演奏できないような超絶技巧曲を自作して演奏会で披露した。
その演奏技術は極めて高く、また革新的であり、遂には「悪魔に魂を売って演奏技術を身に着けた」とさえ言われた。
聴衆の女性は興奮のあまり気絶し、信心深い者は思わず十字を切り、本当に腕が2本なのか、左手の指は10本なのかと疑われたという逸話が伝えられている。
そのような噂に加えて、(生来病弱だった為に)痩せぎすで浅黒い肌に鋭い目つきという外見、守銭奴(ドケチ)で偏屈な性格といったマイナス要素が災いしたのか、死後も墓地に埋葬する事を教会に拒まれてしまった。
防腐処理された遺体は各地を転々とし、埋葬されては改葬されを繰り返す。最終的に現在の墓地(イタリア・パルマ)に安置されたのは、実に死後36年目のことであった。
生前、自分の技術や譜面がパクられるのを嫌ったパガニーニは、演奏会で伴奏をつとめるオーケストラさえ信用していなかった。
団員に譜面を渡すのは数日前、時には数時間前という無茶振りで、演奏会が終わると譜面を回収するという徹底ぶりだったという。
死の間際にも大部分の譜面を焼却処分してしまい、結果として多くの作品が散逸、または消滅してしまった。弟子も一人しか取らず、また自らの技術を伝えなかった為(そもそも彼にしか弾けない曲が多かった)、一代で稀有な才能は途絶える事になった。
現代に伝わる譜面は、彼の演奏を聴いた作曲家らが耳コピして書き起こしたものがほとんどだという。
その影響力は大きく、リスト、シューマン、ブラームス、ラフマニノフといった作曲家・演奏家らが、パガニーニの主題を取り入れた曲を発表した。
著名な所ではリストの「パガニーニによる超絶技巧練習曲集 S.140」「パガニーニによる大練習曲 S.141」が挙げられる。
特に大練習曲・第三曲(嬰ト短調)は「ラ・カンパネラ(鐘)」として知られ、多くの演奏家によって演奏・録音がされている。
ちなみに、20世紀を代表する「ヴァイオリニストの王」こと、ヤッシャ・ハイフェッツは、パガニーニの作品をほとんど演奏・録音しようとしなかった。
ニコニコ動画でも人気のある不世出の天才が何を思ってそのような方針を取り続けたのかは不明。しかし「24の奇想曲」の一部や、「無窮動」を録音した音源は残っている。
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