ヒカルイマイ単語

6件
ヒカルイマイ
3.7千文字の記事
  • 7
  • 0pt
掲示板へ

ヒカルイマイとは、1968年生まれの競走馬1971年二冠馬である。

物凄い成り上がり物語の持ちとして有名。

な勝ち
1971年:皐月賞(八大競走)、東京優駿(八大競走)、きさらぎ賞NHK杯

概要

シプリアニ セイシュン ヴィーノーピュローという血統。

この血統がまず酷い。シプリアニはヒカルイマイ誕生時点でも名なりに重賞アトラスを輩出しており、1971年のヒカルイマイとトウメイの活躍、1972年アチブスター[1]の活躍で名種牡馬としての評価を確立したのでまだ良い。
問題はセイシュンである。この地方競馬で未勝利である上、五代ミラ(競走馬)を持つ、いわゆるサラ系だったのだ。つまり、ヒカルイマイはサラブレッドと認められないサラ系として誕生したのである。
アルゼンチン2000ギニー勝ちトーストにもなったヴィーノーピュローマンノウォー月友戦前日本競馬を代表する名種牡馬チヤペルブラムプトンと書くと聞こえはいいが、月友産駒オートキツがそこそこ種牡馬としてやれていた程度でこの時代ですら既に系としては衰えきった血統ばかりであった。

生まれたところも酷い。なんか貧乏農家が片手間にサラブレッドも育てていますみたいなところだったそうな。生まれてからもほったらかし。放し飼い。致なんて知らんという状態。

見栄えも悪く、気性も荒く、セリに出したものの当然取り。つまり売れん。仕方なく屋に売られる寸前に、なぜか買いたいという人が現れてぎりぎりヒカルイマイは競走馬になる事が出来た。しかもその時、がくぼんでいるからと言い値の200万円から50万円も値切られた上、デビューできるかもわからんということで、とりあえず半額で買い取って、デビューできたら残りを支払うということになった。すなわち、75万円という破格の安値であった。

事、東の八郎厩舎に入ったものの、さえ付けた事がかったらしいヒカルイマイの調教困難を極めた。なにせ、人を乗せたがらない。コーナーは曲がらない。いやいや、よくも関係者はを投げなかったなと。

どうにかこうにか形を付けて、ヒカルイマイは二歳10月デビュー。期待?い。という5番人気だったのだが、凄まじい末脚を披露して5身差圧勝。え~?びっくりした馬主は残りの75万円と合わせて「分」50万円を生産者に支払ったという。

続けざまに三連勝。翌年のきさらぎ賞重賞勝利してクラシックの有名乗りを上げる。しかし、気性が悪く、ごみに入るとやる気くなる難儀なであったらしく上の田島良保騎手試行錯誤の末、きさらぎ賞から後方待機策をヒカルイマイの「」とすることを決める。

そして皐月賞ムラのあるレース振りが嫌われたかヒカルイマイは4番人気。しかしレースは鮮やかだった。3コーナーから捲り気味に行ったヒカルイマイは直線、大外から先行をまとめて交わして優勝150万円のがついにクラシックホースに上り詰めたのだった。なんという下克上

現在なら当然ダービー直行なのだが、ヒカルイマイはNHK杯に出走。ここではやはりダービーを意識してか、直線めに抜け出す作戦を取るが、辛勝。田島騎手はこのレースダービーを決めたに違いない。

そしてダービー皐月賞であり、前走にもきっちり勝っているのにヒカルイマイは二番人気だった。血統や見栄えのしない体が嫌われたのか、はたまたダービー初騎乗の田島騎手が不安視されたのか。それにしてもNHKで負かしたダコタを一番人気に推した連中は何を考えていたのか・・・。

フルゲートダービー。18頭じゃないよ、28頭だからね!馬場一杯に並んだ各が一斉にスタート。どーっと第一コーナーに殺到する。

この頭数では、中で前のをさばくのは大変に難しい。つまり、第一コーナーでの位置取りでそのまま直線に向かう事になり易い。そのため、第一コーナーでの位置取りを10番手以内にすることがダービーに勝つには絶対に必要だと言われそれが「ダービーポジション」と名づけられていた。「ダービーは運の良いが勝つ」と言われたのは、順やスタートの失敗でダービーポジションを確保出来ず、人気が勝てい例がままあったからである。

ところが、われらがヒカルイマイはまったく急がず、第一コーナーを22~23頭くらいで通過していった。おいおい。この当時の常識ではもうヒカルイマイは絶望。やっぱり買わないで良かったと胸をなでおろしたファンが大勢いたらしい。

案の定、ヒカルイマイの前には20頭以上のになっていて前には行けない状態。ペースも速くなく、追い込みに有利とは言えない。しかし田島騎手は慌てる様子もく、4コーナーではを大外に持ち出した。流石こんなところまで来れば前にはいませんよというくらいの大外も大大外であった。そこで密かに末脚に着火していたヒカルイマイ。

だが、大観衆はそんなことは知らなかった。前ではハーバーローヤルが逃げを競り落として堂々先頭。ダコタはどこだ?もう。ハーバーローヤルでこれは決まったろう。ファンは新しいダービー拍手を送り大歓で讃えた・・・。

と思ったら、なんか大外から飛んでくる黄色帽子。は?誰だよ?

他にがいるものか。ヒカルイマイである。ヒカルイマイは他のが歩いているように見える末脚を繰り出し、その勢いのままハーバーローヤルを並ぶ間もなくぶっこ抜いてしまったのである。府中はあまりの脚に言葉を失い、ヒカルイマイの切れ味はその伝説となった。

直線だけで20頭以上もぶち抜いたダービーは前代未聞であった。上の田島騎手は23歳初騎乗でのダービー制覇。「ダービーに乗ったんじゃない。ヒカルイマイに乗ったんだ」(脚色あり)の名台詞ダービー史に然といている。

二冠を制したヒカルイマイ。これは三冠馬間違いし!と盛り上がったのだが、は体調を崩して走。挙句に屈腱炎を発症し菊花賞を回避、三冠はならなかった。一説では削蹄ミスという残念な理由での体調不良であった。復帰をして色々調整が続けられたが結局引退ダービー後に一度も勝てなかった二冠馬の一頭になってしまった。

追い込みで有名な三冠馬ミスターシービーダービーでは最後方追走のダービーポジション無視を行っているが、頭数がやや少なかった上、3コーナーから捲り直線入り口では好位につけている。それに対してヒカルイマイは純然たる直線「だけ」の追い込みである。鮮やかさはヒカルイマイの方が勝るだろう。強さを感じさせるダービーは他にも色々いるが「物凄いレース」という意味ではヒカルイマイのダービーが一番衝撃的なのではないかと思う。

引退後、種牡馬入りしたヒカルイマイであったが、サラ系の烙印が災いして成功出来ず、北海道から鹿児島に流れてくる。ここで出会ったのがニルキング牧場を営む服部文男氏であった。実はこの時、服部氏が食も扱っている事で「ヒカルイマイがにされる!」と驚いたファンが「ヒカルイマイの会」を結成して服部氏に意を質しに行くという騒動が起きている。だが、服部氏はヒカルイマイをにすることなど考えてもおらず、種牡馬として成功させるために手立てを尽くした。

ヒカルイマイの会もただを出すだけではなく、積立貯をして支援をしたという。服部氏はそのお金を買うなどしてヒカルイマイに細々と種牡馬生活を続けさせた。の質が低すぎて大物は出なかったが中央で三勝したが出たというのだから、種付け機会が多ければもっと大きな成功を収めたかもしれない。

1992年。25歳死亡。ヒカルイマイの会は積立の残りを服部氏に送り、服部氏はそのお金牧場内に立なお墓を建立した。

からダービーに、そして種牡馬失格から情に包まれた晩年へ。波乱万丈を絵に描いたような、規格外の生涯であった。

血統表

*シプリア
1958 黒鹿毛
Never Say Die
1951 栗毛
Nasrullah Nearco
Mumtaz Begum
Singing Grass War Admiral
Boreale
Carezza
1953 鹿毛
Rockefella Hyperion
Rockfel
Canzonetta Turkhan
Madrigal
サラ系
セイシュン
1954 栗毛
Ntb ミラ牝系
*ヴィーノーピュロー
1931 栗毛
Polemarch The Tetrarch
Pomace
Vainilla San Jorge
Verona
サラ系
安俊
1940 栗毛
月友 Man o'War
*
サラ系
*チヤペルブラムプトン
サラ系 第三ミラ
競走馬の4代血統表

クロスMan o'War 4×5(9.38%)

関連動画

関連コミュニティ

関連項目

脚注

  1. *桜花賞ビクトリアカップを制した二冠牝馬
関連記事

親記事

子記事

  • なし

兄弟記事

【スポンサーリンク】

  • 7
  • 0pt
記事編集 編集履歴を閲覧

ニコニ広告で宣伝された記事

壱百満天原サロメ (単) 記事と一緒に動画もおすすめ!
提供: マッコイ
もっと見る

この記事の掲示板に最近描かれたお絵カキコ

お絵カキコがありません

この記事の掲示板に最近投稿されたピコカキコ

ピコカキコがありません

ヒカルイマイ

3 ななしのよっしん
2014/02/22(土) 21:49:27 ID: vqp3/LqTPX
ヒカルイマイの記事があるなら、ヒカリデユールの記事も作って欲しいな。サラ系一?の年度代表馬にして、になってしまった野武士
👍
高評価
0
👎
低評価
0
4 ななしのよっしん
2016/01/19(火) 23:03:15 ID: dtPpqRx5Sz
150万でさらにあとで競走馬になったら払うってんで75万円というさらに半額に値切られたらしい
👍
高評価
0
👎
低評価
0
5 ななしのよっしん
2018/05/31(木) 01:00:55 ID: Iv7lUHZYoz
まー、でも買ってもらえただけで万々歳だったろうよ
だったらそんな額にすらならんわけだし
👍
高評価
0
👎
低評価
0
6 ななしのよっしん
2021/10/03(日) 01:10:28 ID: Z3uUG5bVhd
少し古いだけどウマ娘に何らかの形で取り上げて欲しい
👍
高評価
0
👎
低評価
1
7 ななしのよっしん
2021/10/16(土) 21:17:07 ID: 9Ulh+cv6KE
三冠掛かってるの削蹄ミスなんて、カブラヤオーでもそうだったが、そうそうありえるヘマにも思えず
やっぱ気性が荒くて扱いづらかった結果なんじゃないかと密かに思っている。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
8 ななしのよっしん
2021/12/12(日) 03:04:41 ID: eXOZpVVRVu
ウマ娘化されたら出自的に不良少女ぽい感じになりそう。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
9 ななしのよっしん
2021/12/13(月) 19:24:32 ID: TQYtFJ5tFV
読み応えのある記事だがハーバーローヤルの名間違いが画竜点睛
👍
高評価
0
👎
低評価
0
10 ななしのよっしん
2022/01/13(木) 13:39:45 ID: h/f1UtqtEq
個人的には不良イメージよりは野生児って感じだな
👍
高評価
0
👎
低評価
0
11 ななしのよっしん
2022/07/11(月) 11:54:12 ID: FaXFzfwtrl
当時は入厩してから致するのが一般的だったみたいだから
その辺りは記述変えた方がいいんじゃない?
👍
高評価
0
👎
低評価
0
12 ななしのよっしん
2023/07/04(火) 12:57:20 ID: XN+OhnYJKc
こういう古くて時代を反映した奔放なストーリー
是非OVA的なアニメウマ娘として見てみたいなぁ

シンザンを追いかける世論の中、
田舎の沢で寛いでるだけの子をスカウトして…みたいな感じのさ
👍
高評価
3
👎
低評価
1