ビューカード(View Card)とは、JR東日本の系列下にあるクレジットカード会社、及び同社が発行するカードの名称である。
概要
Viewカードはもともと、JR東日本の直営カード事業として1992年に開始された。もともとはVISA / JCBのような国際ブランドがないハウスカードの発行を行なっており、2000年から国際ブランド付きカードを発行するようになった。
JR東日本系のカード会社ということから、同社線・系列会社の利用を優遇する制度が多い。SuicaチャージやJR東日本窓口での乗車券類購入に際し、金額にして1.5%分のポイント付与を行なっているのもそのひとつである。
またViewカードを用いてJR東日本のみどりの窓口で乗車券類を購入する場合、他のカードでは要サインとなるが、5万円まではサインレスで決済できる。JR東日本の窓口でViewカードを用いて決済した券には、「東C」の文字が印字される(他のカードは「C制」)。
現在、Viewカードでは法人向けカードを除いて、新規発行するカードには電子マネーのSuicaを標準搭載している。また記名式SuicaやモバイルSuicaを含め、Suicaのオートチャージ・インターネットチャージを利用するには、このカードを作成する必要がある。
更に、Suica定期券をViewカードの中に組み込むことも出来る(提携カードの中にはできないものもある)。
また、モバイルSuicaとViewカードを保有している場合は、年会費1,000円を別途に支払うことで、JR東海のサービス「エクスプレス予約」も利用することが出来る。
Viewカードでは現在、ルミネやアトレクラブのような駅商業施設、それに日本航空やビックカメラなどと提携したカードの発行も行なっている。ViewカードはJR東日本系のカードであるため、その広告は首都圏などJR東日本のエリアにしか流されていないが、ビックカメラとの提携カード(ビックカメラSuicaカード)に関しては、名駅西口(名古屋市)や天神(福岡市)でも積極的に募集が行われている。
以前は、新銀行東京やみずほ銀行との提携カードも存在した(みずほ銀行に関しては、後述する提携他社発行カードに移行している)。
提携他社発行カード
Viewカードには自社が与信・発行を行うもののみならず、他のクレジットカードカード会社と提携し、「View」のブランドを与える形で他社が発行するカードも存在する。このような提携他社の発行するカードは「TypeII」と呼ばれ、カードのViewマークの横に識別のため「ii」を丸で囲んだマークが入れられている。
Viewカード本体が発行するカードと比較し、Suicaへのオートチャージ・インターネットチャージのサービスは受けられるものの、JR東日本の定期券搭載、モバイルSuicaによるエクスプレス予約利用など、利用できないViewカードのサービスがいくつか存在する。またカードのサービスやポイント制度は、あくまでカードを発行する会社のそれに準拠したものとなる。
提携他社発行カードも、基本的にSuicaが搭載された形で発行されているが、トヨタファイナンスの発行するTS CUBIC VIEWカードに関しては、QUICPayを搭載しているためSuicaが搭載されていない。
またViewカードと提携カード会社に加え、更に別の会社と提携を行い、発行を行なっているカードも存在する。
クレディセゾン・みずほ銀行との提携による「みずほマイレージクラブカードSuica」、三井住友カード・全日本空輸との提携による「ANA VISA Suicaカード」などが挙げられる。
現在、View提携カードの発行を行なっている企業は以下のとおりである。
- 三井住友カード(ANAないし三井住友銀行との提携カード)
- クレディセゾン(みずほ銀行との提携カード)
- イオンクレジットサービス
- トヨタファイナンス(Suica機能なし)
- 三菱東京UFJ銀行(キャッシュカード一体型)
- 横浜銀行(キャッシュカード一体型)
- ヤフー
エンボスレス
ViewカードにSuicaを搭載したViewSuicaカードは、2003年から発行されている。その後、提携他社カードを含め様々なSuica一体型カードが発行されるようになった。
また現在はSuicaに加え、ほかの交通系電子マネー―PASMO・PiTaPa・nimocaなどでもクレジットカードと一体化させたカードを発行するようになったが、それらのカードには外見上、ひとつの共通点がある。
クレジットカードは、一般的にカードの会員番号、有効期限、名義人、発行カード会社などの情報が浮き彫り加工(エンボス)を用いて印字されているが、交通系電子マネーを搭載したカードでは、それらの情報が全て印刷で表示されているのである。それゆえ、カードの表面は突起がなく滑らかである。このようなカードをエンボスレスカードと呼ぶ。
もともとカードのエンボスは、インプリンタと呼ばれる機械でカードの情報を複写紙に転写し、決済処理を行うために付けられていた。しかしながら磁気テープの情報を読み取り、信用照会端末(CAT)を介して電子決済を行うカード処理が日本や欧米では一般的となり、先進国においてはその意義は低下していた。
一方、日本における電子マネー規格で標準となっているFeliCaでは、アンテナがEdyなど決済用に用いるものはカードの四隅を通るように配置されたのに対し、Suicaなど交通系で用いるものでは、その他の電子マネーと重ねた際に干渉を避けるため、カードの中央を通るように弧を向かい合わせた木の葉形のものが採用された。
そしてこの木の葉型のアンテナをカード内に配置すると、カードのエンボスとぶつかることになる。エンボスを彫った場合は交通系電子マネーとしての機能を果たせなくなると判断され、エンボスレスカードとしてViewSuicaカードは発行されることになったのである。クレジットカードでエンボスを掘らなかったのは、これが世界初とされている。
しかし、先進国では余り見かけなくなったとはいえ、途上国など通信環境が整備されていない所では未だインプリンタを用いての決済が行われていることが多く、クレジットカードの国際ブランド「VISA」を管轄するVISA Internationalは国際通用力の観点から、この当時はエンボスの無いカードの発行に難色を示した。
そのためVISAブランドのViewSuicaカードは、2004年までは日本国内のみでしか利用ができなかった。またMasterCardブランドのものは、VISAブランドのカードが海外利用できるようになった2004年から発行されている。
現在、エンボスを彫らないカードは交通系電子マネーを搭載したカードに限った話ではなくなり、日本含む各国の発行会社で発行されている。
特に国際ブランド提供会社が関与するデビットカードやプリペイドカードは、インプリンタでの決済を不可能(オンラインでの信用照会必須)にするためにエンボスが彫られていない。
今日、このようなエンボスレスのカードには、インプリンタ決済ができないことを指し示すため、「ELECTRONIC USE ONLY」(電子利用に限定)という文字がカードの表ないし裏面に印字されている場合がある。
CMとペンギン
ViewカードにSuicaを搭載したViewSuicaカードが2003年に発行開始されて以来、ViewカードのCMにはSuicaのキャラクターであるペンギンが登場することがある。
2003年の発行開始当時は、Viewカードの「V」の字をあしらった羽飾りをつけたSuicaペンギンが登場し、ViewSuicaカードとJALカードSuicaのCMにも出演した。この時、声優には神木隆之介が起用された。
その後、2006年のSuicaオートチャージサービス開始時は、羽飾りのないノーマルのペンギンがCMに登場した。
関連動画
関連項目
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