ファイナルファンタジータクティクス アドバンスとは、2003年2月14日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたゲームボーイアドバンス用シミュレーションRPGである。
2016年3月30日には日本のWiiUバーチャルコンソールで配信開始。価格は715円(税込)。ちなみに欧州や北米では少し早い同年1月に配信されている。
略称はFFTA。正式名が長いため、タグなどではこの略称が使われることが多い。テレビCM及びラジオドラマ主題歌はZONEの「白い花」。ゲームのセーブ画面でもこれをアレンジしたBGMが流れる。
続編はニンテンドーDS用ソフト「ファイナルファンタジータクティクス A2 封穴のグリモア」。
概要
「ファイナルファンタジータクティクス」(FFT)の完全新作として開発された作品。舞台の名前はFFTと同じイヴァリースであるが、ストーリーに関わりがなく、今作が初めてでも問題ない。
壮大で殺伐とした国家戦争のFFTと異なり、世界観は全体的に明るい。これはFFTの反省会で、今回の作品は殺伐とした世界よりも『楽しい世界』を目指そうと話し合ったからだ、とプロデューサーの松野泰己は語っている。だが単に明るいだけではなく、いじめや差別・コンプレックス・現実逃避といった一人ひとりの心の悩みに焦点を当てた、少年少女の等身大の姿を描いた物語であり、FFTとはまた違った質の重さを感じることだろう。
ゲームの主な流れは、「クエスト」を受け、そのクエスト条件をクリアし、また新しいクエストを受けるというもの。クエストには依頼を受けて「エンゲージ(戦闘)」を行いバトルに勝つ必要があるクエスト(特にメインストーリー)が多いが、条件にあったユニットを一定期間派遣するなど戦闘がないクエストもある。
このFFTAは一時期絶縁状態だった任天堂とスクウェアが和解したころの作品で、スクウェア社として発売した最後の任天堂ゲーム機向けソフトでもある(発売直後に会社合併でスクエニになる)。
主な曲は崎元仁が作曲。GBAの中でも特に音楽の評価が高い作品といわれる。
ラジオドラマなども展開され、ゲームボーイアドバンスSP同梱版(パールホワイトエディション)も発売された。アルティメットヒッツ(廉価版)ではパッケージデザインに主要キャラたちが追記されている。
あらすじ
主人公の少年マーシュが、家庭の事情で母と弟・ドネッドと共にSt.イヴァリースという田舎街に引っ越したところから物語は始まる。そこでいじめられっ子の少年ミュート、ピンク色の髪の勝気な少女リッツと友達になったマーシュは、ミュートが持ってきた古い魔導書をマーシュの家で一緒に見る。
そしてみんなが帰ったその夜、魔導書がひとりでに開くとSt.イヴァリースは光に包まれ、雪に覆われていた街は一瞬にしてファイナルファンタジーのような“剣と魔法の世界”「イヴァリース」へと変化してしまう。
わけがわからないまま住民とトラブルになったマーシュを助けてくれたのは、モーグリ族のモンブランであった。ジャッジ、エンゲージ、ロウ、クランといったイヴァリース世界の仕組みを聞かされたマーシュは、彼のクラン「ナッツクラン」に入り元の世界に戻る方法を探すことにする。
種族と神獣
イヴァリースにはさまざまな種族と、それぞれの種族の守護神「神獣」がいる。神獣はイヴァリースに存在するクリスタルを守るものとして、召喚獣を上回る力を秘める。彼らを倒し味方とすればフィールドの敵全てを攻撃する頼もしい存在になることだろう。
- 人間族 (神獣:背徳の神帝マティウス)
- 武器に魔法となんでもこなせるバランスのいい種族。ジョブの種類も最も多い。ユニットとして登場するのは男性のみである影響か、リッツもイヴァリースでは(システム的には)人間族ではない。
- バンガ族 (神獣:憤怒の霊帝アドラメレク)
- 力が自慢の好戦的な種族。物理系が得意でジョブも物理系が多いが、魔法ジョブもないわけではない。見た目がトカゲっぽいが、彼らに「トカゲ」は禁句である。知らずに口にするとゲーム冒頭のマーシュのように絡まれる。
- ン・モゥ族 (神獣:堕天使アルテマ)
- 犬のように大きな耳の垂れた、思慮深く温厚な種族。魔力が高く魔法に長けるためジョブも魔法系が多いが、鈍重そうな見た目どおり機敏さはなく物理系はあまり得意ではない。
- ヴィエラ族 (審判の霊樹エクセデス)
- 身軽でしなやかな身体の種族。ジョブは間接系が多く、どちらかといえば魔法寄りのものが多い。美しい女性のみの種族で、ウサギような長い耳とスリムな体型が特徴。ジョブによってはかなりの露出度。
- モーグリ族 (暗闇の雲ファムフリート)
- FFシリーズおなじみのとても器用な種族。機械を使うなど一風変わったジョブが多い。小柄でかわいらしく、やや長い耳、頭から垂れるちょうちんのような赤いぽんぽん、背には翼を持つ。
主な登場人物
- マーシュ・ラディウユ (今井由香)
- 主人公。St.イヴァリースでは正義感が強く心優しい少年で、両親の離婚により弟と共にSt.イヴァリースに引っ越してきた転校生である。触覚のように伸びた特徴的な髪型をしている。
イヴァリースでは人間族で、初期ジョブはソルジャー。気が弱く運動音痴の彼も、この世界では剣を取って戦う。 - リッツ・マルール (かかずゆみ)
- ヒロイン。St.イヴァリースでは文武両道の優等生で男勝りな性格。反面、地毛の白髪にコンプレックスを抱いてピンクに染めるなど、女の子っぽい一面も持つ。
イヴァリースではヴィエラ族で、ピンクの髪も地毛となっている。初期ジョブはフェンサーで、クランリーダーを務めている。 - ミュート・ランデル (真田アサミ)
- おとなしい少年。St.イヴァリースでは亡き母から貰ったクマのぬいぐるみを手放さない。学校ではいじめられっ子、家では父が飲んだくれ、という境遇からゲームや本のような空想世界にあこがれている。
イヴァリースでは人間族。母は女王として存命、父は立派なジャッジマスター、自身も王子という元の世界とは正反対の理想的状態なだけに、元の世界に戻そうとするマーシュを邪魔に感じている。 - モンブラン (横手久美子)
- イヴァリースのモーグリ族。マーシュがこの世界に迷い込んだときにバンガ族から助けてくれた。
初期ジョブは黒魔道士。ナッツクランのリーダーで、6人兄妹の長男でもあるしっかりもの。
主要人物だが、ヤクトではしっかり死亡するため要注意。続編のFFTA2にも登場する(同一人物?)。 - ドネッド・ラディウユ (石川寛美)
- マーシュの弟。St.イヴァリースでは体が弱く、車椅子生活を余儀なくされている。薬を飲まねば生きられず、病院暮らしが多いため健康体の兄をうらやむ。一家が引っ越したのは彼の療養も兼ねている。
イヴァリースでは念願の健康体になり、元の世界に戻るのを強く拒絶。あろうことか兄を賞金首にして付け狙う。 - シド・ランデル (加瀬康之)
- ミュートの父。St.イヴァリースでは愛する妻を失い、昼間から酒を浴びまともに働かなくなった情けない親として登場する。
イヴァリースではジャッジを司るジャッジ・マスターとして、妻で女王のレメディに忠誠を誓う。ジャッジマスター専用ロウが使える。白銀の騎士の異名を持つその姿に、元の世界の面影は微塵も感じられないが…。 - レメディ (榊原良子)
- ミュートの母。St.イヴァリースでは故人だが、死後の父子の変貌からその人物像がうかがえるかもしれない。
イヴァリースでは優しい母・美しい女王として生存。だが子を甘やかす余り権力乱用し、国民の反感を買っている。 - エゼル・バルビエ (高木渉)
- イヴァリースの自称・天才の青年。温厚なン・モゥ族にしては珍しく飄々とした性格で、ジョブは精錬術師という専用職。普段はカードショップを営んでいる。
アンチロウカードを発見したことでロウの番人のジャッジはおろか、さまざまな輩に命を狙われている。 - ノノ (城雅子)
- モンブランの弟のモーグリ族で、兄妹の中では上から4番目。
兄妹で一番手先が器用なのを生かし機工見習いとなっている。マーシュたちに飛空艇を提供してくれる。 - シャアラ (神田理江)
- イヴァリースでリッツと共に行動するヴィエラ族。初期ジョブは弓使い。
リッツのように気が強いが、性格は真逆。虫が大の苦手。 - バブズ・スエイン (佐久間紅美)
- イヴァリースでミュートの従者をしているン・モゥ族の少年魔道士。ジョブは専用職ルーンシーカー。
ミュートのことを誰よりも考え、ミュートのためになることを常に優先し行動する。 - レドナ・トェム (緑川光)
- ジャッジマスターに代わる、ミュートの新しい従者。ジョブは専用職ビスクマータ。
ネタバレ→ミュート(Mewt Randell)を逆に読むとレドナ(Llednar Twem)。
豆知識
本作の種族は後に発売される『ファイナルファンタジーXII』と同一であり、モンブランやノノは『XII』にも登場している。これは劇中でマーシュ達がプレイしていた『ファイナルファンタジー』が『XII』であり、変化したイヴァリースも『XII』の模倣となったという裏設定が存在するためである。
またXIIのあとに出たFFTA2ではXIIの人物が一部登場するほか、「ランデル」という名の先生がいる。
関連動画
関連項目
- ファイナルファンタジー
- ファイナルファンタジータクティクスA2 封穴のグリモア
- ファイナルファンタジーXII
- ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング
- イヴァリース
- 松野泰己
- 崎元仁
- 曲芸士
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