ファーリーの鋳物工場とは、都市経営シミュレーションであるはずのSimCity4を伝統あるもぐら叩きゲームに変える恐怖の建築物である。
なお、ファーリー(Furry)とは「ウザ可愛いマスコット」という意味である。
オリジナルの英語版では Farley's Foundry なので、おそらく創業者の名前なのだろうが、ニコニコなどでは動物系のキャラクターを指す Furry と誤解されて広まったようだ。
概要
市長さんの休日
シムシティには伝統的に「都市運営上で何らかの不利益をもたらす」かつ「市民が勝手に建造し、市長がこれを留める事はできない」…つまりお邪魔な建物が1つ2つ存在する。過去には
- 初代シムシティ:病院、学校
これらがもたらし得ると予想される効果はシムシティではシミュレートされておらず、税収にも影響しないため、2件目以降の病院や学校は即座に取り潰される。病院をキノコ野郎と疎む者も中にはいる。しかしシムも人の子、隙あらばこれらの建築物をまた再建するため、取り潰しに日々追われる羽目になる。 - シムシティClassic・シムシティ2000:教会
ウィル・ライトの悪趣味なジョークはここに極まる。この教会、1つのまとまった住宅地区に必ず建てられるのだが、建てられるとその住宅区画を強制的に更地にし、しかも建物税収は0となっている。そのくせ2×2マスを占拠するため、二重の意味で住宅地における税収を減らす要因となる。しかも更地に区画を再設定しようとこの教会を破壊すると確率で竜巻が都市を襲うという残念な仕様になっており、また住宅地ある限り教会もまたどこかに再建されるため厄介なことこの上ない。ちなみにスーファミ版2000ではシナリオによって教会が仏寺やイスラム寺院に変更されている。効果は同じ。 - シムシティ3000:農地における低密度工業の工場
3000において8×8の広さで低密度工業地区を設定すると農地ができる。これによってシム達に夢のカントリーライフを提供するのどかな農村を作ろうとした者も多いだろう。しかし多くの場合、道路を行き交う車などによるほんとにごくわずかな公害や都市の発展によるほんとにごくわずかな地価上昇によって、農地が工場に置き換えられてしまう。畑の中に1タイルでも工場が現れたら最後、その1タイルの工場がまき散らすほんの少しの公害によって瞬く間に農地が消滅してしまう。この意味で工場はまさに農地におけるファーリーで、その現れ方もファーリーにより近くなっている。これを防ぐためには農地の全てを文化財に指定するしかない。しかし例えば8×8の農地だと64タイルを1マス1マス全部指定しなければならないので、非常にめんどくさい。ましてやそれ以上の広大な農地を保存するならその労力は言わずもがなである。
なお、次回作の4ではそこら辺見直されたのか、農地が独立した一つの区画として扱われている。
などの建物があり、これらは市長を苦しめ、まるで草刈りの如く日々取り潰さねばならない物であった。
そして4でもこの「もぐらたたき的建築物」は大々的にご出馬あそばされた。それがこの工場である。
戦慄!悪魔の鋳物工場
ファーリーの鋳物工場は工業地帯全域に、公害産業系建築物として降臨する。厄介なのはこれもまた低度の工業建築物であり、初期の低密度工業からハイテク産業を誘致しようと設定した高密度工業地帯まで現れる、どころか、どんなに公害産業の税率を高めようとも、1マス四方の土地があれば雑草のごとく生えてくるのである。
さらに恐るべきはその業務にある。1×1マスの小柄な町工場とは思えない量の廃液や粉塵を撒き散らし、大気を汚染し、水源を混濁させ、地は毒で塗り潰され、病院食に廃液を忍ばせるのである。するとどうなるか。都市のポンプ小屋はヘドロで詰まり、街の幸福度と地価は核の炎に包まれたかのようになり、周辺市民の寿命は水に沈む小石の如く落ち、やがて都市そのものを黒く染め、暴動と出奔が多発し、市長の財布を困らせることになる。
またその余りのブラック企業ぶりに他の工業地帯の従業員もファーリー周辺から逃げ出し、さらにそこにファーリーの工場が建ち、また周りの従業員が逃げ出し…と公害のスパイラルが起きてしまう。さながら風の谷のナウシカにおける粘菌のように公害と破壊と荒廃と世紀末が広がっていく恐怖の建築物である。
さらに、公害はたとえその発生源を取り潰しても公害濃度はしばらく変化しないため、これを放置しておくといざ他の区画にしようとも高い公害のために公害産業しかたたなくなるという悪循環にも陥る。
ファーリー、病んでさえいなければ・・・!
しかし、今までのお邪魔建築物とは違う点がある。それは「高税率でもきちんと納税する」ことである。
税率20%を物ともせず健気に現れ、その収入の20%を市に還元するという、逆の観点から見れば都市経営に置いては超優良な会社なのである。このため公害を引き換えにするならば多額の増収となる。しかしリスクを押さえ込めば高額の増収になるのかというと…
税率20%では当然他の(儲かる)会社は寄ってこず、従ってその工業地帯にはファーリーのみが栄え、結果的に都市の公害濃度を世紀末レベルに押し上げてしまう。そして、いくらファーリーといえども、従業員は人間である。たぶん。よって、健全な都市開発ではむしろ汚物となり、ファーリーは消毒される運命にある。
絶対包囲
雑草のように不意に現れ、公害テロで都市を席巻する悪の総合商社、ファーリー。
そんなファーリー・ビジネスにも弱点がある。それはハイテク化の波である。
鋳物工場というローテクな産業しかできない以上、公害産業の需要が冷え込むと、波の引くがごとくアッと言う間に倒産に追い込まれてしまう。そのため、耐えて都市を発展させ、住民を教育し、公害産業の需要が冷えたところでファーリーを叩き潰し、そこに高密度区画を置き、別の建築物が施工されればファーリーの侵食は収まり、また適切な建築物が建った所には再び生える事はない。また、低い幸福度、悪い健康度、最低限の教養のなさ、高すぎる公害、長い通勤時間、貧困層の拡大などの要因は他の産業の発展の抑止、ひいてはファーリーを招きやすくなる下地となるため、注意が必要である。
対症療法的ではあるが、市長が自ら破壊することでも汚染の拡大を防止できる。心をファーリーにしてこの作業に取りかかろう。
余談だが、市長の中にはそのファーリーの潰されっぷりを哀れんだか、それをネタにしたSSを作った者もいる。
また、ユーザーの愛により「ファーリーの鋳物工場の本社ビル」という非公式の追加ランドマークまである。
関連する農業
関連する産業
関連する環境アドバイザー
ファーリーの鋳物工場に関するニコニコミュニティを紹介してください。
関連する接続都市
- 7
- 0pt