フーズ・フォーラスとは、郊外型のレストラン「焼肉酒家えびす」を 北陸3県(石川県・富山県・福井県)と神奈川県で店舗展開(2011年4月時点で20店舗を展開)していた企業だが、後述する食中毒事件によって2011年7月に廃業した。本社は石川県金沢市にあった。
「焼肉酒家えびす」の方がひっかかるかもしれない → 焼肉酒家えびす
特徴はトントロや豚バラ、若鶏、ナムル、杏仁豆腐などの主力10品を1人前100円(消費税別)で提供していた点で、その他についても、和牛カルビを380円、和牛ユッケを280円で提供するなど低価格を武器に、“2020年度までに日本全国で300店舗の出店”を目指し店舗網を拡大してきた。
フーズフォーラスの社名は「Food For Us」より来ている。
食中毒事件
2011年4月、「焼肉酒家えびす」の砺波店(富山県砺波市)・高岡駅南店(富山県高岡市)、福井渕店(福井市)の3店でユッケなどを食べた顧客 48人(※5月2日時点での数字)が食中毒になる事件が発生し、そのうち19人が重症となった。
中でも福井渕店で食事をした男児は(食事の数日後の)4月21日に入院したが、溶血性尿毒症候群(HUS)を発症し、4月27日死亡した。また砺波店で家族と食事した男児も(食事の数日後の)4月24日に入院し、同様にHUSを発症し、4月29日に死亡した。 重症者19人のうち11人から病原性大腸菌のO111やO157が検出された。
さらに5月3日になると、横浜市の店舗で食事した女性(19)もHUSを発症し意識障害を起こす重症で入院を余儀なくされるなど神奈川県内の店舗の利用客にも被害が拡大していることが報じられ、富山、福井と合わせた患者数は計66人となった。
フーズフォーラス社は、本来なら加熱してから提供しなければならないはずの「加熱用食肉」を、ユッケ(生肉のまま食べる料理)の肉としてアルコール消毒で十分と考え客に出し食べさせていたという。
同社の勘坂康弘社長はそもそも日本国内においては生食用の牛肉が市場にほとんど流通していないことや、その規制について強制力をもった法整備がなされていないこと、取引業者から「ユッケ用のサンプル」であるとのメールのやり取りがあったことなどを示して同社のみが責任を負うものではないと主張しており、加熱用食肉を生のまま客に出すに至った経緯について、同社と食肉流通業者とのあいだで発言内容に食い違っている点があるという。
また、生食用の肉は表面を削りとるトリミングと言う作業が必須らしいのだが同社は2年前よりそれをマニュアルより削除し行っていなかった。それを食中毒発生の原因として考える者が多く見られたが、購入時に「約100%食べられ無駄が無い」と説明されていたことが判明し、トリミング済みと考えそのまま店頭に並べたことはおかしくないのではないか?という他の食肉関係者の主張を載せるマスコミもある。
この一連の事件について5月2日に富山県警砺波署捜査本部が立ち上げられ、翌5月3日に同店を運営する勘坂康弘社長から任意で事情を聴いたほか、福井県警も同日、業務上過失致死の疑いで福井南署に捜査本部を設置。調査の結果、両県の食中毒患者から検出した細菌の遺伝子型が一致したために、両県の捜査本部は合同捜査本部となり捜査を進めている。
5月4日午前に、砺波店で食事し溶血性尿毒症症候群で入院していた40代の女性が死亡、翌5日午前中にも砺波店で食事し入院していた70代の女性が死亡し、今回の食中毒による死亡者は4人となった。
さらに10月22日午後に、重症になって入院した10代の少年が死亡したことにより死亡者が5人となった。
この食中毒事件は社会に大きな衝撃を与え、全国の焼肉料理店からユッケが一斉に消えることとなった。
2011年10月1日には生食用牛肉の処理に関する基準が改訂され、生食を客に提供するには別に生食用の専用の加工設備を作り、有資格者が肉塊を熱湯で表面から深さ1cmまでを60℃で2分以上加熱処理するなどの厳しい規定が設けられ、これに違反して食中毒を発生させた場合は営業停止処分や刑事罰が科されることとなった。さらに影響はユッケにとどまらず、生レバーなどの内臓系の生食メニューも規制される模様である。
メディアへの露出
4月21日以降問題が表面化した食中毒事件だが、その数日前の4月18日に日本テレビ系列で放映された島田紳助司会の番組「人生が変わる1分間の深イイ話」にて焼肉酒家えびすが紹介された際に「全員一致の深イイ~」を獲得していたことがわかり、番組を見た視聴者が犠牲になったのではないかと話題になった。
これに関連して、4月30日付けで確認された「焼肉酒家えびす」の新聞折り込みチラシでは「話題沸騰 えびすの焼肉が各TVメディアで放映!!」とのコピーを打って「満場一致で“深イイ~”を頂きました!!」と放映内容を記載している他、民放の夕方のニュース情報番組やSmaSTATION!!などでも紹介されたことを宣伝しており、低価格メニュー路線が明確な同社のメディア戦略だったことがうかがえる。
関連動画
関連項目
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