プランク宇宙望遠鏡(Planck space telescope)とは、ESA(欧州宇宙機関、European Space Agency)がNASAの協力のもと開発・打ち上げを行った宇宙背景放射の観測を目的とする宇宙天文衛星のこと。
名称の由来はドイツのノーベル物理学賞受賞者である物理学者・マックス・プランク(Max Karl Ernst Ludwig Planck, 1858-1947)。
概要
プランク宇宙望遠鏡の打ち上げは2009年5月、フランス領ギアナのクールーにあるギアナ宇宙センターからアリアン5ロケットによって行われた。このロケットにはハーシェル宇宙望遠鏡も共にに搭載されていたがそれぞれの衛星の目的は別個のものである。
プランクは現在、地球から見て(太陽とは真逆方向に)150万km離れたラグランジュポイント(L2)の周囲を旋回する軌道上にある。ここで観測を行う理由は、太陽や地球からの熱照射を避けて観測への悪影響が出ないようにするためである。
ビッグバン直後のエネルギー放出の名残りであるマイクロ波いわゆる宇宙背景放射を全天に渡ってかつてない高精度で観測を行った。同様の宇宙背景放射の観測は既に、NASAの2つの人工衛星(COBEとWMAP)が行なっていたが今回の観測精度はそれらを上回るレベルのものである。この宇宙背景放射の観測ははビッグバンから38万年後の宇宙の状態を見ていることになり、今後宇宙の起源と成り立ちを研究する上でプランクの観測結果が大きく貢献することは間違いない。
観測対象のマイクロ波は非常に微弱であり、機体内のわずかな熱が観測に悪影響を及ぼすために観測装置を常に極低温(0.1K程度)に保つ必要がある。搭載した2つの観測装置のうちの片方は2012年1月その冷却材を使い果たして役目を終えた。(これは別に事故ではなくスケジュール通りの運用の結果である。)
それまでの科学者が想定していた宇宙像に関して、今のところプランクの観測結果から修正を余儀なくされる箇所は、
宇宙の膨張速度が予想より遅かったこと、
宇宙の年齢が138億年と、以前の推定値より1億年ほど古いこと、
宇宙全体に占める、暗黒エネルギー・通常物質・暗黒物質それぞれの存在比率などである。
ただ、プランク宇宙望遠鏡による観測データは膨大な量でありさらに観測装置自体の発するノイズもその中に含まれた状態であるため全容を解析し終えるにはまだまだ長い期間が必要になりそうである。
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