ヘルマン・フォン・リューネブルク(Hermann von Lüneburg)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
概要
自由惑星同盟軍人、のちに亡命してゴールデンバウム朝銀河帝国軍人。宇宙暦794年時、35歳。地上戦の専門家。同盟軍での最終階級は大佐。帝国軍人としては大佐、准将、少将。生まれながらの帝国貴族のごとき長身と銀灰色の髪、常時不機嫌そうな青灰色の目といった容姿の持ち主で、颯爽とした人物と評される。
自由惑星同盟軍最強の陸戦部隊たる“薔薇の騎士”連隊の第11代連隊長にして6人目の“裏切者”であり、同時にゴールデンバウム朝末期の貴族社会の暗部を象徴する存在でもあった。
経歴
リューネブルクは銀河帝国から自由惑星同盟への亡命者(もしくはその子女)の出身で、帝国では高位の爵位を持っていた貴族の出であるという。自由惑星同盟軍に入隊した彼は亡命帝国人による陸戦部隊“薔薇の騎士”連隊に配属され、順調に階梯を進めて大佐・“薔薇の騎士”連隊第11代連隊長の地位を得た。
しかし宇宙暦791年、彼は帝国への逆亡命を決断する。“薔薇の騎士”連隊の連隊長が祖国へと戻るのは、彼で6人目であった。祖国での彼はプロパガンダのための亡命者優遇策もあって厚遇され、794年までに准将へと昇進、個人的にも793年、少壮の内務官僚伯爵エーリッヒ・フォン・ハルテンベルクの妹エリザベートを妻に迎えた。その後同年3月、リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼン中将の指揮下でヴァンフリート星域の会戦に参加する。
同会戦中、グリンメルスハウゼン艦隊が衛星ヴァンフリート4=2に駐留した際には、同衛星にすでに同盟軍の後方基地があったことから地上戦の専門家としてこれに対応する。偶然同地に駐屯していた“薔薇の騎士”連隊の第12代連隊長オットー・フランク・フォン・ヴァーンシャッフェ大佐が偵察に出ていたところを襲撃し、彼を戦傷死させる戦果を挙げた。さらにリューネブルクは同盟軍後方基地を総攻撃し、自身も戦斧をふるって“薔薇の騎士”の面々と血戦、かつての部下カール・フォン・デア・デッケン中尉を殺害し、さらに副将ラインハルト・フォン・ミューゼル准将が基地司令官シンクレア・セレブレッゼ中将を捕虜とするなどの戦果をあげたが、衛星上空で艦隊戦が激化したこともあり、基地の完全破壊には至らず撤退した。
戦後、少将に昇進。794年末には第六次イゼルローン要塞攻防戦に参加することとなる。この戦いのあいだ、第13代連隊長ワルター・フォン・シェーンコップ大佐の率いる怨敵“薔薇の騎士”連隊がリューネブルク個人を名指しで挑発する行動を続けたため、彼は司令部の命令で“薔薇の騎士”との直接対決を余儀なくされた。
かくして12月5日14時、リューネブルクの乗る揚陸艦は“薔薇の騎士”連隊の揚陸艦に強行接舷して突入する。因縁の相手シェーンコップと対戦した彼は、苛烈だが短い戦闘のすえ、次々代の後継者の振るう戦斧によって右腕を吹きとばされ、出血のため死に至った。24時間後、帝国軍少将ヘルマン・フォン・リューネブルクの戦死は大将への特進とともに帝国軍総司令部に公認された。
能力・人物
両軍を通じて地上戦の専門家であり、有能で勇敢、陸戦指揮の迅速さと巧妙さはシェーンコップをして賞賛を禁じ得ないほどのものであった。そしてむろん、同盟軍最強の陸戦部隊の一員だった過去に相応しく、白兵戦技においても亡命時点でシェーンコップのそれを超える実力を有していた。
その彼が、第六次イゼルローン要塞攻防戦においてついにシェーンコップの戦斧の前に倒れることとなった。これはシェーンコップが年齢・体力的に万全であり円熟した戦技を有していたということもあるが、本人としては「きさまの技倆が上がったのではないぞ、シェーンコップ、青二才よ。おれの力量が衰えたのだ。でなくて、おれが負けるわけはない」というのが末期の主張であった。そしてシェーンコップも、その豪語を率直に認めたのである。
いっぽうで、逆亡命といういびつな出自ゆえか、彼はそれなり以上の人物鑑定眼を有していた。若きラインハルト・フォン・ミューゼルの能力をある程度見ぬき、それどころか自ら「将来部下に欲しい」と言ってのけたのである。これはラインハルトにとって屈辱的なことではあったが、しかしリューネブルクが凡庸ならざる人物であることをも示していた。さらに彼は、ジークフリード・キルヒアイスがラインハルトの単なる副官でなく、個人的な腹心・家臣といっていい存在であることにも気づいていたようである。
疑惑
帝国に亡命したリューネブルクの近辺には、その婚姻に関係する疑惑が存在した。そもそも彼の妻エリザベートには彼の亡命以前に婚約者カール・マチアス・フォン・フォルゲンがいたのだが、その婚約者は前線に出て還らなかった。この婚約者を殺したのが同盟軍人であったリューネブルクであり、彼は婚約者の持っていたエリザベートの写真を見て亡命を決意。そして帝国に逆亡命した彼は、かなり強引な方法でエリザベートを妻とした……というのがその疑惑である。そしてこの疑惑の影に隠れた真実はリヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼンによって記録に残され、リューネブルクとその周りの人々に報いをもたらすこととなったのだった。
なお、これらとは別に、ヴァンフリート星域の会戦の後に「リューネブルクは母親の姓で、父親はゴールデンバウム家の一族である。リューネブルクはこれを知り、帝位の継承を目論んで帝国に戻ってきたのだ」という噂が流れたこともあった。しかしこの話には一切の物的証拠がなく、リューネブルク自身も、自身に身の危険が及びかねない噂であるにもかかわらず肯定も否定もせずきっぱり無視していた。ちなみに、噂を聞いたラインハルトは「リューネブルク本人が噂を流したのではないか」とこちらも無根拠に想像している。
関連動画
(ニコニコ動画に)出てこい、出てこい、リューネブルク、出てくりゃ削除へ直行便、権利者皆様お待ちかね、朱に染まった申立により、著作権侵害として削除されました。
とはいえ、彼の登場する動画がまったくないというわけでもなかったりする。
関連項目
- 銀河英雄伝説
- ゴールデンバウム朝銀河帝国
- 自由惑星同盟
- “薔薇の騎士”連隊
- オットー・フランク・フォン・ヴァーンシャッフェ(次代/第12代連隊長)
- ワルター・フォン・シェーンコップ(次々代/第13代連隊長)
- エーリッヒ・フォン・ハルテンベルク
- エリザベート・フォン・ハルテンベルク
- リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼン
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