導かれし先に
英雄や踊り子らが
主役の座を競う舞踏会。
「君にも資格はある」との励ましが
彼女の中に眠る
高貴な血を呼び覚ます。やがて万雷の拍手。
エスコート役の騎士が
玉座に向かい恭しく頭を垂れながら
「ほら言った通りだ」とささやくと
彼女は静かに頬を紅くした。
ヘヴンリーロマンスとは、2000年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牝馬。
主な勝ち鞍
2004年:阪神牝馬ステークス(GII)
2005年:天皇賞(秋)(GI)、札幌記念(GII)
概要
父・サンデーサイレンス
母・ファーストアクト(母父・Sadler's Wells)
初出走は2002年11月30日。この時は後に牝馬三冠を達成するスティルインラブの6着に敗れる。その後は着実に順位を上げていき2003年1月26日にダートで初勝利をあげる。
その後、2004年の春までに3勝を上げオープン入りするも、重賞では愛知杯10着、マーメイドSは5着、府中牝馬Sは7着と結果を出せないでいた。しかし、秋に降級してから再び勝ち上がるとその勢いで阪神牝馬Sを制し、重賞ウィナーの仲間入りを果たす。
しかし、翌年の2005年春も重賞戦線ではなかなか勝ちきれない競馬が続く。その後、リフレッシュ放牧した後に出走したクイーンSで2着に入ると、陣営は連闘で札幌記念の出走を決断する。
そして、プペペポピーで有名な2005年の札幌記念。道中は中団でレースを進めると、直線では共に追い込んできた「家を建てやま」ことファストタテヤマと併せる形でゴール。アタマ差凌いで久々の重賞制覇となった。陣営は牡馬相手でもいけると確信し、秋の目標をエリザベス女王杯から天皇賞(秋)へと変更する。ちなみにこの札幌記念は1着が9番人気の本馬、2着が12番人気のファストタテヤマ、さらに3着に13番人気のコイントスが逃げ粘った結果、3連単で275万9500円という高配当がついた。
そして、迎えた天皇賞(秋)。このレースはエンペラーズカップ100年記念とされ、第二次世界大戦後としては初の天覧競馬となった。最高の生ファンファーレ演奏も行われた。レースでは前半の1000mの通過が62.4秒というドスローの中、1番枠を利して内側の経済コースを通っていく。そして、直線で前が空くと上がり3F32.7秒という驚異的な末脚で内側から突き抜けた。牝馬の天皇賞(秋)優勝は1997年のエアグルーヴ以来となる。
レース後、一通りウイニングランを終えた鞍上の松永幹夫は踵をかえし、ヘヴンリーロマンスをメインスタンドに向かわせて、競走を天覧していた天皇・皇后両陛下に鞍上から最敬礼した。この鞍上からの最敬礼は今でも競馬ファンの間では感動的な名シーンとして語り継がれている。
ヘヴンリーロマンスはこの年限りで引退となる。天皇賞(秋)では内々の経済コースを通っていた事、上記のタイムから牝馬有利なペース(3着にも牝馬のダンスインザムードが入っている)での勝利という事からラキ珍扱いされがちであるが(あっと驚くギャロップダイナは13番人気で優勝したが、この馬は14番人気での優勝)、この年の天皇賞(秋)はGI馬9頭に加え、後にGIを制するハーツクライ・ハットトリック、さらにはリンカーンやバランスオブゲームやサンライズペガサスなどの名脇役なども名を連ねる近年でも屈指の豪華メンバーだった。それらの馬をねじ伏せて優勝し、その後のジャパンカップ・有馬記念でも7着・6着(ともに1着とは0.6秒差)と好走している事から、実力も相当なものがあった。
繁殖牝馬になってからは、2年連続でキングカメハメハの仔を出産。そして、フレンチデピュティとの仔を出産した後、ジャングルポケットの仔を受胎している状態でアメリカへ渡り、現地で繁殖生活を送っている。このジャングルポケットとの間に生まれたアウォーディーがシリウスSを圧勝。また現地で交配された最初の仔であるアムールブリエ(父Smart Strike)がダート重賞を4勝、その次の産駒であるラニ(父Tapit)が日本調教馬で初めてUAEダービーに勝利するなど、これまでデビューした産駒は(2020年現在)初仔と7番仔以外全馬が中央で勝ち上がっており、繁殖牝馬としてもすこぶる好調。不思議なのは、天皇賞馬で母父サドラーズウェルズなのに産駒がやたらダートでばかり勝つことである。アメリカの種牡馬はともかくとして、キンカメやジャンポケを掛けてもダート馬になるってのはどういうわけか…。父はともかく母はアイルランド産で、血統にもダート要素はあんまりないんだけどなぁ。
血統表
*サンデーサイレンス Sunday Silence 1986 青鹿毛 |
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Cosmah | Cosmic Bomb | ||
Almahmoud | |||
Wishing Well 1975 鹿毛 |
Understanding | Promised Land | |
Pretty Ways | |||
Mountain Flower | Montparnasse | ||
Edelweiss | |||
*ファーストアクト First Act 1986 鹿毛 FNo.13-c |
Sadler's Wells 1981 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Fairy Bridge | Bold Reason | ||
Special | |||
Arkadina 1969 鹿毛 |
Ribot | Tenerani | |
Romanella | |||
Natashka | Dedicate | ||
Natasha | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Hail to Reason 3×5(15.63%)、Almahmoud 4×5(9.38%)
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関連項目
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