ベルチャーウミヘビ(英名:Belcher's Sea snake、学名:Hydrophis belcheri)とは、ウミヘビの一種であり、すべての蛇の中で最強の毒を持つ蛇である。
概要
体長50cm~1mほどの中型のウミヘビ。フィリピン、パプアニューギニア、タイ、ソロモン諸島、オーストラリア湾といった、インド洋東部からオーストラリア北西部を結んだ海域に分布し、特にティモール海に多く生息する。淡く黄色がかった白と、限りなく黒に近い緑の横縞の体色を持つ、白黒のコントラストが鮮やかなウミヘビである。
毒性
ウミヘビは全種が強力な神経毒を持つが、中でもこの種の持つ毒は桁違いの猛毒であり、世界の陸と海に生息するすべての蛇の中でも最強とされる。
その毒性は諸説あるが、一説には、陸棲の蛇で最強の毒を持つナイリクタイパンの100倍とも、一噛みで注入される毒の量で1万人の人間を殺せるとも言われる。
もっとも、最強というのは、噛みつかれたことにより体内に毒が注入された場合の話で、これが筋肉内注射の場合となると、第4位まで下がる(ちなみに、マウスに対して筋肉内注射した場合の半数致死量(LD50)は体重1kgあたり0.24mgと判明している)。まぁ、筋肉内注射の場合の毒のランキングであっても上位は皆ウミヘビなので、結論としては要するに、ウミヘビの毒はやばい。
海中でこんな猛毒をもらえば、全身の運動麻痺でまず溺死する。運良く陸に上がれたとしても、早急に治療しなければ呼吸麻痺でやはり死ぬ。
危険性
さて、そんな恐るべき猛毒を持つ本種であるが、実際のところはそれほど危険な蛇ではなかったりする。
というのも、本種の性格は非常に臆病で大人しく、よほど手荒なことをしなければ人間に噛み付いたりはしないのである。
実際本種に噛みつかれるケースとしては、地元の漁師が網にかかった本種を取り除こうとして噛まれたといった場合がほとんどであり、それすらも数としては多くはない。
まぁ、報告されてないだけで、ひそかにこいつに噛まれて溺れて死んだ人間がいるのかもしれないが。
とはいえ、不用意に近づくのは避けるべきである。
というのも、本種とそっくりな見た目を持つ近縁種にクロガシラウミヘビという種がいるのだが、クロガシラウミヘビはベルチャーウミヘビとは対照的に、積極的に人間に向かって泳いできて噛み付いてくる、気性の荒い蛇なのである。持っている毒も、ベルチャーウミヘビには及ばないとはいえ、人が死ぬには十分な猛毒である。
観察するだけなら問題ないだろうとベルチャーウミヘビに近づいたつもりが実はクロガシラウミヘビで、それに噛まれて死んだ、などという事態になったらシャレにならない。南国の海に泳ぎに行き、そこで白黒縞模様のウミヘビを見かけたら、そっとその場を離れることをおすすめする。
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関連項目
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