ペールゼン(Pailsen)とは、アストラギウス銀河ギルガメス星域で使用される家族名である。
本稿では、ギルガメス宇宙軍第10師団メルキア方面軍第24戦略機甲歩兵団特殊任務班X-1。
通称:レッドショルダー部隊の創設者、ヨラン・ペールゼンについて記述する。
概要
装甲騎兵ボトムズシリーズの登場人物であり、担当声優は大塚周夫。
初出作品はOVA『ザ・ラストレッドショルダー』であり、TVアニメ本編には登場していない。
『レッドショルダードキュメント:野望のルーツ』におけるペールゼン
理想的かつ最強の兵士、或いはそれによって構成された戦闘集団を作り出す事を生涯の目標としていた。
レッドショルダー部隊創設後、当初は訓練によって最強の兵士を作り出そうとしていたが、緑色の泡に包まれ、真空中で生存する赤子を目撃した事がペールゼンの運命を変える。ある研究施設において『生命体の中には約250億分の一の確立で、極めて生存確率が高く、どのような手段を用いても殺害出来ない個体、異能生存体が存在する』という研究が行われている事を知ったペールゼンは、その異能生存体を自らの戦闘集団に組み入れる事を画策する。
約七年の歳月を要し、惑星サンサにて研究施設を発見したペールゼンは、施設を火炎放射器で焼き払い、その焦熱地獄から生還した少年、キリコ・キュービィーを発見する。以降、ペールゼンはメルキア軍に入隊したキリコの監視を始め、キリコが様々な戦場において異常に高い生存能力を発揮した事を確認。更に彼をレッドショルダー部隊に引き入れ、様々なテストを課す事で異能生存体であることを確信する。しかし、「たとえ神にだって従わない」キリコを御する事は出来ず、キリコの反骨心への怒り、或いは異能性への恐怖を抱き始める。やむなくキリコを第三次サンサ戦に投入して抹殺しようとするが、異能生存体である彼を抹殺するには至らず、キリコを含めた反抗的な隊員達を他部隊に転属させる形で追放するしかなかった。
レッドショルダーは第三次サンサ戦で多大な戦果を挙げ、ペールゼンはその手柄によって大佐から少将に昇進するが、隊に侵入していたスパイ、バージル・カースンがレッドショルダーの実情をギルガメス軍上層部に暴露した為、一転非難の矢面に立たされ、ペールゼン自身は逮捕、レッドショルダーは解散という事態に陥る。
『ペールゼン・ファイルズ』におけるペールゼン
軍事法廷において黙秘を貫いていたペールゼンであるが、情報省次官フェドク・ウォッカムの発言によって錯乱し、情報省の医療施設へと監禁される。ウォッカムは、ペールゼンが作成した機密文書ペールゼン・ファイルズの情報を基に、キリコを含む5名の異能生存体候補による戦闘集団バーコフ分隊を結成し、彼らの戦略的価値を試そうとしていた。
ペールゼンは自白剤による拷問を受けながらも、「異能生存体はキリコ一人しかいない」と主張し続けるが、バーコフ分隊は惑星ガレアデにおける極限状況から生還。ウォッカムはバーコフ分隊全員が異能生存体であると判断し、分隊員を情報省特殊部隊ISSへと転属させた後、惑星モナド攻略戦へと投入する。同作戦は1億2000万人の戦力を動員しながらも、バーコフ分隊5人の活躍のみが期待された作戦であった。博打じみた作戦ではあったがウォッカムは自らの勝利を確信しており、投薬によって余命僅かとなったペールゼンを嘲笑いながら戦闘指揮を行った。
だが、惑星モナドは惑星コアの暴走によって消滅し、バーコフ分隊もキリコを残して全滅する。更に幽閉されていたはずのペールゼンは自由の身となっていた。ペールゼンは情報省の中に自らのスパイを送り込み、あえて異能生存体の情報を流すことでウォッカムの判断力を鈍らせ、自らの復権の為に利用していたのだ。無論、投薬による体調悪化も偽装であり、バーコフ分隊内には自ら洗脳を施したゲレンボラッシュ・ドロガ・ザギを入隊させる事まで行っていた。
激昂したウォッカムはペールゼンを射殺しようとするが、自らの副官コッタ・ルスケの寝返りによって返り討ちにされた。ペールゼンに心酔したルスケは、ジャン・ポール・ロッチナへと名前を変え、キリコの監視を始めることになる。
その後、ペールゼンは秘密結社と呼ばれる組織に身を寄せ、再び自らの野望の為に暗躍を開始した。
『ザ・ラストレッドショルダー』におけるペールゼン
極秘裏にレッドショルダーを再結集し、デライダ高地の地下研究施設にてパーフェクトソルジャーの開発に取り組んでいたペールゼンは、遂に自らの理想を体現した完全なる兵士イプシロンの開発に成功する。
しかし、そこにかつて隊から追放した元レッドショルダー隊員であるグレゴルー・ガロッシュ、バイマン・ハガード、ムーザ・メリメ、そしてキリコ・キュービィーの四名が強襲を仕掛けてきた。レッドショルダー、そしてイプシロンという鉄壁の防衛体制に自信を持っていたペールゼンだが、満身創痍の状態になりながらも、キリコは自らの前に辿り着いてしまう。そして、キリコを倒せると確信していたイプシロンでさえも、ファンタムレディー(フィアナ)の口付けによって戦意を喪失してしまった。狼狽したペールゼンは自ら拳銃でキリコに止めを刺そうとするが、背後からスコープドッグSTTCの機銃掃射を受けて殺害された。彼を仕留めたのは、転属先で右手を失い、義手でペールゼンを殺害することに執着していたバイマンだった。
異能生存体の研究に長い歳月を費やしていたペールゼンが、自らの手でキリコを殺せると考えたのは不自然だが、キリコに対する恐怖心、或いは異能生存体の異能性が彼の判断力すらも歪めてしまったのかもしれない。
『幻影篇』におけるペールゼン
30年後の未来においても軍人達の間では伝説的な存在として知られている。
また、キリコがヌルゲラント地下において目撃した幻影の中には、レッドショルダーによって焼き払われるサンサの研究施設と、それを指揮するペールゼンの姿があった。
ペールゼンはキリコの地獄めいた記憶の中で、永久に生き続けるのかもしれない。
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関連項目
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