ボーイズ対戦車ライフルとは、イギリス軍が第二次世界大戦で運用したボルトアクション式対戦車ライフルである。
概要
ボーイズ対戦車ライフルはイギリスで開発された対戦車ライフルである。重量は約16kg(ステンガンの5倍)で、全長は1575mm。使用弾薬は13.9×99mmB(.55 Boysとも呼ばれる)で、上面から差し込む5連箱形弾倉を備え、発射レートは最大で毎分約10発と言われる。初期型は射程100mで16mmの垂直な装甲板を貫通可能で、後期型では軽量・高速な新型徹甲弾を使用することでより貫通力は増して同射程で垂直に対して20度傾けた20mm厚の装甲板を貫通可能だとされている。反動抑制機構として、マズルブレーキ、銃身駐退機構、衝撃吸収機構付きのバイポッド、クッション性の高いストックパッドなどが採用されていたが、それでも発砲の反動はすさまじく、射手が首や肩を痛めることが多かったと言われる。
ボーイズ対戦車ライフルはイギリス軍だけが使用したというイメージが強いが、実際には連合国に割と幅広く採用されており、イギリス陸軍以外にはカナダ、オーストラリアといった英連邦の国や、アメリカ海兵隊、ソ連(アメリカからレンドリース名目で送られた)他、フィンランド(冬戦争時に調達)やドイツ(ダンケルクの鹵獲品)が使用している。
で、歩兵の貴重な対戦車兵器として採用されたボーイズ対戦車ライフルであったが、第二次世界大戦の欧州戦線では戦車の恐竜的進化に追随できず、1943年以降、対戦車兵器としての地位はHEAT弾を使用するPIATに譲ることとなる。対戦車以外にも、バンカーや機関銃座、軽装甲車両に対してボーイズ対戦車ライフルは使用されたが、こっちはこっちで貫通力がほぼ同一で連射の可能なブローニングM2重機関銃に後を譲ることになる。合掌。
一方、太平洋戦線では事情が異なり、(欧州戦線と比べて)装甲の薄い日本軍の戦車に対してボーイズ対戦車ライフルは非常に有効であったため大活躍した。また市街戦で壁ごと敵を攻撃したり、掩蔽壕を攻撃する銃としても使用され、イギリス軍だけでなくアメリカ海兵隊も購入して太平洋戦線へと配備し、PIATやバズーカと並行して対戦車兵器として活用された。
ジャンルそのものがニッチな対戦車ライフルということもあり、フィクション上では中々目にする機会は少ない。ニコニコ的にはアニメ「ストライクウィッチーズ」の登場人物リネット・ビショップの持つ武器として有名だろうか。
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