ボーパルバニー(ヴォーパルバニー、Vorpal bunny)とは、恐るべき殺人ウサギである。
概要
もしもあなたが聖杯を求める旅の途中であったり、あるいは冒険者として迷宮に足を踏み入れたのならば、たとえ愛らしいウサギを見かけても決して近寄ってはならない。
(そもそもそれがただのウサギであるのならとっくの昔に獰猛な怪物どもに食い尽くされているはず)
もしも迂闊に近付いたならばウサギはたちまちその本性を現し、鋭い牙を剥き出してあなたの喉笛に喰らいつき、その首を無残に切り落としてしまうだろうから!
ボーパルバニーは、可愛らしいその外見に反し、驚異の跳躍力と素早さ、そして異常発達した門歯で人間の首を掻っ斬る残酷なモンスターなのだ。
この恐るべきモンスターが一瞬にして人の命を奪い去る一部始終が記録された最古の映像資料として知られるのが、アーサー王伝説を描いた作品の中でもっとも正しい歴史・服飾考証を誇る『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』である。洞窟から現れたウサギのぬいぐるみのように真っ白な生き物が、ピアノ線でも付けられたかのような直線的な動きで騎士に飛び掛かり、瞬く間に首を刎ねてしまう様子は非常にショッキングである。
「草食動物のウサギが人間の首を刎ねるなんて!」とお思いの方も多いであろう。しかしボーパルバニーは単なるウサギであることをやめ、凶暴なモンスターへと変化した生物である事を忘れてはならない。ひとたび変化の世界へと足を踏み入れれば、アメーバやヘドロ状の汚泥が迷宮を這いずり回るスライムに、トカゲやサンショウウオが火を吹く恐ろしい巨大なドラゴンへと変貌を遂げるのが世の常である。
また、人の姿をしたウサギに「社会的に」首を飛ばされてしまうケースも多く報告されている。現代社会においてはこちらの方がより脅威となろう。読者諸君においては、くれぐれもウサギにクビを飛ばされぬよう細心の注意を払っていただきたい。
細かい解説
ゲーム「ウィザードリィ」で有名なモンスターがボーパルバニー。迷宮の浅いフロアに登場する敵で、無害そうな見た目に反してクリティカルヒット(首をはねる、即死)を使ってくる、非常にインパクトの強いモンスター。
そこそこ上層・中層から出現する他、早い、数が多い、そして上記の即死判定ありと、まともな範囲攻撃がないと対処が面倒な油断ならない兎である(まあwizはこれが日常茶飯事)。
その元ネタと考えられているのが映画「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」で「カルバノグの洞窟」を守っていた殺人ウサギ(Killer Rabbit)で、これに首を刎ねられて命を落とす姿はまさにクリティカルヒットそのものであった。
その後、ボーパルバニーは他のゲーム等でもしばしば登場するようになった。原典に近いキラーラビットや、時には「カルバノグ」の名を持つウサギも見受けられる。『ホーリー・グレイル』のオマージュであるドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズでもキラーコアラ、キラーチワワ、キラー太鼓と、毎回ぬいぐるみにしか見えないキラー系モンスターの登場が伝統化している。
ただ、映画のキラーラビットが円卓の騎士をたった一匹で半壊させた恐るべき怪物であるのに対し、「ウィザードリィ」のボーパルバニーは序盤のザコ敵に過ぎず、低レベルの攻撃魔法などで対処できる。もちろんクリティカルヒットを使うので油断はできない相手でもあるのだが、それを使う敵自体も珍しくなく、同じフロアでもレベル1ニンジャとハイウェイマンが使ってくる。※対策としてはアーマーポイントを上げて防御を固めるぐらいしかない。が、即死の方がましなエナジードレイン(レベルダウン)を使う敵も下層で出てくる。
「ウサちゃん(bunny)と思った?」という表現が映画中に出てくるが、ボーパルバニーはまさにその「ウサちゃん」であり、原典のキラーラビットに忠実な魔物でもないのである。だからこの両者はよく似ているが別の生物であると考えたほうがいいのであるが、ボーパルバニーがキラーラビットの別名として用いられることもまあ、ある。
なお昨今モンティ・パイソンとの関係が取り沙汰される「ウィザードリィ」だが、実際は初期作品でモンティ・パイソンの影響と思われているのはこのボーパルバニーくらいである。後発の「ウィザードリィ4」ならモンティパイソンのパロディがかなり多いのだが。
ちなみに、“vorpal”という単語はイギリスの童話作家ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』に登場する造語。『ジャバウォックの詩』の中で、主人公が正体不明の怪物ジャバウォックを倒す際に用いたのが「ボーパルの剣(vorpal sword)」であり、その描写からは鋭い切れ味を持つことが窺えるが、正確な意味はよくわかっていない。
ご存知かと思われるが、この単語自体はウィザードリィに限らず各種ファンタジー作品に引用されているもので、これ自体がパロディ的に使われることはあまりない。
関連動画
たとえごく普通の野ウサギや飼いウサギであっても油断してはならない。
彼等のDNAにはボーパルバニーへの変化の可能性が残されているのだ。
関連コミュニティ
関連項目
- ウサギ
- う詐欺
- バニーガール
- モンティ・パイソン
- ウィザードリィ / ウィザードリィオンライン
- 迷宮キングダム
- ファイナルファンタジーXII
- 東方サッカー
- ドラゴンズクラウン
- ガールズ&パンツァー (大洗の首狩り兎)
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 15
- 0pt