メタルギア ゴーストバベルとは、コナミからゲームボーイカラー向けに発売されたアクションゲームである。
メタルギアシリーズ初の携帯機向けタイトル。シリーズの2Dタイトルの中では唯一復刻がなされておらず、現在も実機でプレイする他遊ぶ方法がない。
概要
2000年4月27日発売。
タイトルの「ゴーストバベル」=「Ghost Babel」は、「ゲームボーイ」=「Game Boy」の頭文字とかけている。
『MG』『MG2』と同様、2Dタクティカルエスピオナージアクションである。
携帯機向けでありながら、『MG2』にも劣らないグラフィックの描き込みと重厚なシナリオを実現している。オープニングデモは15分以上に及び、字幕テキストには一部ながら漢字が使われている(『MG2』まではなかった)他、スネークのバンダナの揺れまで再現されている。
レーダーやアイテム欄などの画面構成は『MG2』のものを受け継いでいるが、スネークをはじめとするキャラクターのフィールド上での動き、無線画面のデザインなどは、本作の1年前に発売された『MGS』のそれをイメージしたものに変化している。
イベントでは、たびたび専用のグラフィックが挿入される。
また、『MGS』で好評だったVRトレーニング、シリーズ初の通信対戦機能を搭載しているなど、非常に完成度が高い。
現在でも中古品の価格が非常に高い所以である。
シリーズの生みの親である小島秀夫は企画として開発に参加しており、監督として深くかかわることはしていない。
当時小島が率いていた班(当時は小島プロダクション設立前)で鬼才と呼ばれていた野尻真太が監督している。
『MG』の続編という形をとっており、『MG2』から連なる『MGS』シリーズとは時間軸を共有しない。
今作の時系列には、『MGA』『MGA2』が連なる。
登場人物には『MGS』との共通点も多く、パラレルワールドであることを強く感じさせる内容となっている。
この作品にはステージのとある場所に於いてアウターヘブンで破壊したあの残骸とみられるものが存在するが、よく見るとアウターヘブンで登場したものではない武装が目視できる形で混じっている。ゴーストバベルの世界では起きていなかったとされる事件に登場したものと非常に似ており、ある意味存在自体が矛盾になるのだが、意図的なのか単なる設定ミスなのかは不明。
ストーリー
21世紀の初頭、南アフリカの小国ジンドラの内戦が活発化し、ついに非常事態を引き起こした。
ジンドラ解放戦線・通称:ジレフの本拠地である要塞「ガルエード」が、核攻撃能力を有していると判明したのだ。
アメリカ政府はこの危機に際し、3年前にFOX HOUNDを除隊し、今は隠遁生活を送る伝説の傭兵、ソリッド・スネークを召還し、事態の解決を依頼する。
かつての上官ロイ・キャンベルの依頼ながらも断ろうとするスネークだったが、ガルエードの有する核兵器が、核搭載二足歩行戦車・メタルギアであると知って驚愕する。
アメリカ政府は、メタルギアの戦略的価値を高く評価しており、スネークがアウターヘブンで破壊したはずのメタルギアTX-55のデータを回収し、極秘裏に新型開発を進めていたのだ。
秘密演習のためにこの新型が南アフリカへ輸送されたところをジレフに強奪されたのだった。
スネークは、自分が破壊したはずのメタルギアが再び世界の平和を揺るがしていること、そして、ガルエードが存在するのが、あのアウターヘブンの跡地であることを鑑み、再び兵士として潜入することを決意する。
キャラクター
主人公とそのサポート
- ソリッド・スネーク
主人公。かつてアウターヘブンに単独で潜入し、FOXHOUNDの指揮官にしてアウターヘブンの総司令官であった伝説の兵士・ビッグボスを打ち破り、世界を救った英雄。
現在はFOXHOUNDを除隊して3年が経過しており、アラスカで隠遁生活を送っている。
外見やスニーキングスーツなどは『MGS』以降のソリッド・スネークと瓜二つだが、ザンジバーランド騒乱を経験していないにも関わらず、ビッグボスが実父であったことを何らかの経緯で既に知っているなど、設定には差異がある(今作では「恐るべき子供達計画」が存在しないため、本当に親子関係にある)。
この後、2016年には再び政府に召還され、ロビト島への潜入任務を行うことになる。 - ロイ・キャンベル
かつてFOXHOUNDに所属していた男。外見はもちろん「大佐」のそれ。
詳しい過去は不明だが、『MGS』の時系列と同様、スネークとは過去に面識がある。ただし、今作では終始「キャンベル」と呼ばれる。 - メイ・リン
マサチューセッツ工科大学の現役学生ながら、今回スネークが使用する新型レーダーと兵器の開発に携わった才媛。
やはり外見は『MGS』シリーズのメイ・リンと似ている。今作でもセーブを担当してくれるが、中国のことわざではなく世界の格言を教えてくれる。 - ブライアン・マクブライド
CIAに所属する工作員。ジンドラの事情に詳しく、スネークのサポートメンバーに起用される。 - ウィーゼル
オランダ人傭兵。顔に走った大きな傷が印象的。兵器や傭兵など、軍事に関する知識が豊富なサポートメンバーで、『MG2』のミラーや『MGS』のナスターシャのような位置にいる。 - クリス・ジェンナー
ヒロイン。デルタフォース所属の女性兵士で、スネークに先駆けてガルエードに潜入していたが、彼女を残して部隊が全滅してしまい、現地でのスネークの唯一といっていい協力者になる。
なお、後の『MGA』のテリコなども彼女と似た状況に追い込まれる。
傭兵集団ブラックチェンバー
ジレフに雇われている傭兵集団。実はかつて、アウターヘブン蜂起によって注目を浴びてしまい極秘行動ができなくなったFOXHOUNDに代わって非正規の作戦を行うため、アメリカ政府に雇われていた。
デルタフォースを全滅させるほどの実力の持ち主。
- ブラックアーツ・ヴァイパー
ブラックチェンバーのリーダー。2年前の部隊壊滅以来、世界全体へ憎悪を燃やしており、メタルギアを用いて世界へ復讐しようとしている。強烈なカリスマ性の持ち主で、ブラックチェンバーのメンバーは皆彼に陶酔している。
口元まで覆われた特殊なスーツ(ソリダスのスーツに似ている)と長髪が特徴的で、素肌は顔の一部分以外見えない。ブービートラップの使い手。 - スラッシャー・ホーク
2mを超える屈強な体躯を持ったアボリジニ。巨大なブーメランを武器としており、崖の上からスネークに投げつけて戦いを挑んでくる。鷹を相棒(?)としている。少数民族出身であり、民族独特の美学を死に際まで貫くなど、『MGS』のバルカン・レイブンと似た要素を持つ。ただ、イベントシーンで見せる半裸のその姿は、範馬勇次郎にそっくり。 - マリオネット・アウル
傭兵らしからぬ端麗な顔と、細身の持ち主。異常な視力を持っており、暗闇の中でも問題なく行動できる。自らのダミーを兼ねる2体の文楽人形、オサンとコハルをマリオネットのように操りつつ、相手を攻撃する。
小さい頃に大切な女性がバラバラにされて殺されたことで、自らもバラバラ殺人に手を染めるようになったサイコパス。メタルギアシリーズの敵役としては珍しく、死に際に深い絶望を味わうことになった。 - パイロ・バイソン
巨大な燃料タンクを背負った老人。人が燃える様子に異常な執着を示しており、強力な火炎放射器で相手を焼き殺そうとする。いわく、人の燃える様子はそれぞれ違い、どれもが美しいらしい。
バルカン・レイブンとザ・フューリーを足して割ったような敵で、自ら燃料を爆発させて炎の中で死ぬ最期もフューリーそっくりである。
その他ジレフ関係者・民間人
- アウグスティン・エグアボン
通称・将軍。ジレフを率いるリーダー。「先進国による発展途上国の搾取の阻止・打倒」を掲げ、ジンドラ人の高い支持を集める男。しかし実は革命には興味がないどころかジンドラ人ですらなく、アメリカが南アフリカで権力を握るための工作を行ってきた工作員であった。 - ソフィー・エクアボン
将軍の右腕にして、ジレフ副指令を務める女性。将軍の正体は知っておらず、その思想に心酔している。 - ジェイムズ・ハークス
通称・ジミー。若干10歳にして、新型メタルギアの開発チーフを務めていた天才少年。『MGS』のオタコンと同じく、自らが作った兵器が世界にもたらす影響を自覚しておらず、おもちゃ遊びの感覚で開発に参加していた。
後にスネークやクリスとの触れ合いの中で改心するに至るが、オタコンのように未来が拓けることはなかった。
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関連項目
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