《ヨーグモスの意志》(ヨーグモスのいし)とは、マジック:ザ・ギャザリング(以下、MTG)のカードである。初出は1998年発売の『ウルザズ・サーガ』。
開発部のマーク・ローズウォーター(通称マロー)をして「it's the most powerful card ever printed(今まで印刷された中で最もパワフルなカード)」[1]と評される、MTGの歴史の中でも最強クラスのパワーカードである。
概要
Yawgmoth's Will / ヨーグモスの意志 (2)(黒)
ソーサリー
ターン終了時まで、あなたは、あなたの墓地にあるカードをプレイしてもよい。
わずか3マナで、墓地のカードを1ターンだけ全て再利用できるようになる。試合中盤にもなれば墓地には10枚くらいカードがあるだろうから、3マナで10枚以上のカードを引いているのに等しい。言っていることが何もかもおかしい。
特に当時は《暗黒の儀式》が使えたため、「《暗黒の儀式》を使う→《ヨーグモスの意志》を使う→墓地に落ちたばかりの《暗黒の儀式》を使う」の流れでマナを増やしながら《ヨーグモスの意志》を使うことができた。墓地に他に《暗黒の儀式》があればもっと使えるマナが増える。マナが増えれば《ヨーグモスの意志》で再利用できるカードも増える。わけがわからない。
しかし、カードプールの狭いスタンダードでは、《ヨーグモスの意志》で回収できるロクでもないカードは少なく[2]、黒いデッキの切り札として割りと真っ当に使われ、禁止カードにも指定されなかった。
問題はエクステンデッドなどのカードプールが広いフォーマットである。使えるカードが多くなると、《ヨーグモスの意志》で再利用できるとヤバすぎるロクでもないカードも多くなり、結果「《ヨーグモスの意志》を使う=勝ち」になってしまう。特にタイプ1(現在のヴィンテージ)では、《Black Lotus》や《Ancestral Recall》、《Time Walk》といったロクでもない制限カードを簡単に、しかも一気に再利用できてしまうため、発売から1年後にタイプ1で制限、タイプ1.5とエクステンデッドで禁止されている。レガシーでももちろん禁止。現在ではヴィンテージで、ロクでもないカードを再利用するためにロクでもないデッキで使われている。
最大の過ち
《新たな芽吹き》というカードがある。
ソーサリー
MTG最初のセットから存在する墓地再利用カードであり、《ヨーグモスの意志》の先輩にあたるカード。2枚を比較すると、
新たな芽吹き | 2マナ | 墓地のカードを1枚再利用する |
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ヨーグモスの意志 | 3マナ | 墓地のカードを全て再利用する |
わずか1マナ増えただけで“1枚”が“全て”に変わってしまっている。もちろん、《ヨーグモスの意志》は使ったターンしか再利用できないなど不便な点があるが、それを抜きにしても強化されすぎである。
そんな《新たな芽吹き》だが、《ヨーグモスの意志》の登場の4年も前にタイプ1で制限カードに指定されている[3]。《ヨーグモスの意志》は、そんな制限カードに指定されているような強力カードが更に強化されているのである。軽い墓地再利用カードは危険であるということを開発部は知っているべきの時期に作られてしまったことを指して、マローは「最大の過ち」と振り返っている。
関連商品
関連項目
脚注
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