リリス(Lilith)とは、H・P・ラヴクラフトが発表した黒魔術小説「レッド・フックの恐怖」に登場する女悪魔であり、今日ではクトゥルー神話の神性の一柱である。
概要
ニューヨークのレッド・フック街の地下で召喚された女悪魔である。
事件を捜査中のマロウン刑事の夢の中に、女神ヘカテー、モレク、アシュトレト等の神々やサテュロス、レムーレス、ファウヌス、アイギュパン、夢魔、女夢魔といった怪物たちと共に現れた。魔王セイタンの建てたバビロン風の悪徳の宮廷に君臨しており、裸で四肢は鱗片に覆われ燐光を放っている。又、彼女を称える唱和の中にはゴルゴー、モルモー、月霊の名が見られる。
「レッド・フックの恐怖」は本来、クトゥルー神話に属するものではなかったが、ラヴクラフトの諸作を片端から取り込んだTRPGにより本作も取り込まれ、リリスもクトゥルー神話の神々の一柱とされ、又、クトゥルー神話作家の一人によって続編が書かれるなどして、本作自体、今日ではクトゥルー神話の一作となっている。
なお、リリスは、何故かTRPGでは、地球の神々の一員にされている。詳しくは[その他(クトゥルフ神話)]の[大いなるもの]の項を参照していただきたい。
リリスには様々な姿があり美しく滑らかな肌を持ち漆黒に濡れた髪の美しく不朽の女性として現われることが多いといわれ、目は黒い宝石のように美しく、唇は肉欲的な赤さを持ち妖艶に輝いている。そんな姿をしていると思えば美しい黒人女性の姿をしていたり、巨大な怪物の姿をしているときさえあると言われている。夜にどんな遮蔽物をもすり抜けて男性のもとに現われ、夢を通じて誘惑するリリスは〈夜の女王〉と呼ばれる存在である。
リリスに対する崇拝は現在ではあまり知られていないがアダムの最初の妻であり、サタンの配偶者になったという伝承から昔はある程度の力を保有していたと考えることができ、ある種の宗教的な崇拝者はいそうなものである。魔道書であり聖書の失われた一篇『ユダの悲哀の詩篇(ラテン語)』はリリスに関しての言及を読むことができる。
とはいえ何かしらの理由で現在ではドリームランドで「大いなるもの」としてニャルラトホテプに管理されている存在である。多くの影響を現実世界に与えているリリスに対してニャルラトホテプがあまり咎めないのはどうしてなのか、考察すると面白いことがわかるかもしれない。
リリスはそもそも地球上で崇拝されていた存在である。何らかの理由で追放されたとしてもリリスが地球上に戻る理由はいくつか考えることができ、そのどれかがニャルラトホテプがリリスの地球訪問を黙認する理由になっているのではないか、といった具合である。
リリスの元々の姿が雌のガク族であるという噂があり、それが本来の力を取り戻した証なのかもしれない。ニャルラトホテプはリリスが元の姿に戻ることを望んでいるからこそ、リリスが本来の力を取り戻すきっかけを与えようとしているとも受け取ることができるのである。
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