ロバート・ブロック(Robert Albert Bloch、1917年4月5日 - 1994年9月23日)とは、アメリカの小説家・脚本家である。
概要
1917年、イリノイ州シカゴに生まれる。父は銀行員、母は社会活動家という家に生まれた。
8歳の時に見た映画『オペラ座の怪人』を見てホラーに傾倒する。10歳になってパルプ雑誌『ウィアード・テイルズ』を読み、同誌に作品を掲載していたH.P.ラヴクラフトの熱烈なファンになる。
ラヴクラフトにファンレターを送り交流を深めて師事。17歳の時に『ウィアード・テイルズ』に『The Feast in the Abbey/修道院の饗宴』[1]を発表、作家デビューする。
ラヴクラフトとの年齢差は27歳。父と子ほどにも離れた二人は深く友誼を結び、師弟関係は1937年のラヴクラフトの死まで続いた。仲の良さを示すものとして、ブロックの『妖蛆の秘密』[2]とラヴクラフトの『闇をさまようもの』[3]において、お互いをモデルとした登場人物を殺し合ったという逸話が知られている。
この時創作された人物 ロバート・ハリスン・ブレイク(Robert Harrison Blake)と、彼が書いたとされた架空作品名[4]は、後に別の作家達の著作に登場することとなる。
ラヴクラフトの死を悲しみのうちに乗り越え、ブロックは次々と作品を発表。また魔導書『妖蛆の秘密 (Mysteries of the Worm)』[5]を創造し、魔導書『屍食教典儀』[6]を作中に登場させた。
その作風は徐々に変化を遂げ、超常現象よりも人間心理の恐怖を描くようになった。切り裂きジャックに強い感銘を受けた作品を上梓したほか、「本当の恐怖は人間の頭の中にある」と後年に語っている。その代表作となったのが、1959年の『サイコ』である。
1960年代にはハリウッドに移住。小説よりもテレビや映画の脚本を手掛ける事が多くなった。1983年には映画『トワイライトゾーン/超次元の体験』のノベライズを発表している。
晩年は癌との闘病生活を送り、1994年に死去。享年77歳だった。
作品
- 無人の家で発見された手記
タイトルが示すとおり、ファウンド・フッテージもの。詳細は個別記事参照。 - 暗黒のファラオの神殿
古代エジプトの狂王、ネフレン=カが眠る地下納骨堂。探索する考古学者を襲った、血も凍るような恐怖とは…… - セベクの秘密
古代エジプトの墓所からミイラを持ち出した男を、異形の怪物が追う。それは鰐の頭持つ神セベクなのか、それとも古き教団の狂信者なのか? - アーカム計画
ピックマンのモデル、ランドルフ・カーターの陳述、闇に囁くもの……それまで創作と思われていた「クトゥルフ神話」が次第に現実を浸食してゆく。暴動、暗殺、テロリズム。邪教の崇拝者によって世界が破滅へと向かう中、勇気ある人々は反抗に打って出るが……
師・ラヴクラフトへのオマージュがちりばめられた名作として、高い評価を受けている。 - サイコ
アルフレッド・ヒッチコックの映画の原作。映画では世界で初めて「殺人」を描写し、公開時には大変な話題となった。続編が作られているが、こちらにはブロックは関与していない。小説「サイコ2」があるが、映画とは全く別物である。
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関連項目
脚注
- *1935年。別邦題は『僧院での饗宴』、『大修道院の宴』、『修道院の晩餐』
- *原題『The Shambler from the Stars』、別邦題は『星から訪れたもの』、『星から来た妖魔』
- *原題『The Haunter of the Dark』
- *『The Burrowers Beneath/地を穿つ魔/地底に棲むもの』『The Feaster from the Stars/星から来て饗宴に列するもの』『In the Vale of Pnath/ナスの谷にて』『Shaggai/シャッガイ』『The Stairs in the Crypt/窖(あな)に通じる階段』の5編。『The Burrowers Beneath』はブライアン・ラムレイが、残り4編はリン・カーターが実際に書いた。
- *別名のデ・ウェルミス・ミステリイス(De Vermis Mysteriis)は、ラヴクラフトがラテン語版題名として創りブロックへ送ったもの
- *フランス語題名 Cultes des Goules、英語題名 Cults of Ghouls。『自滅の魔術/The Suicide in the Study』(1935)に初登場。
この書をブロック自身が創作したのか、それともラヴクラフトやオーガスト・ダーレスからもらってきた設定なのかは今一つはっきりしない。この論議はリン・カーター 『クトゥルー神話全書』p.152~153に詳しい
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