この項目は、小説・アニメ版『Another』 |
三神怜子(みかみ れいこ)とは、小説・アニメ版『Another』の登場人物である。
概要
夜見山北中学三年三組の副担任。榊原恒一の叔母。そして1998年度の〈死者〉である。
実は一年半前、三年三組の担任を務めていた時に、災厄によって川に落ちて死亡した。原作・漫画版での死因は不明だが(事故と自殺のどちらかなのかも不明)、アニメ版では通り魔に刺し殺された設定となっている。アニメ版ではこの年度の三年三組の生徒の一人だった赤沢泉美の従兄・和馬も死亡している。この年は、当初は死者が出なかったが、<いないもの>となっていた生徒の佐久間が孤独に耐えきれず、<いないもの>の役割を放棄して発狂。途中から災厄が起こるという1983年度・1998年度とは逆の事例が起きてしまい、彼女もまた災厄に巻き込まれてしまったのである(佐久間本人も後に自殺)。
恒一は怜子の葬式に参加する為に、実は一年半前にも夜見山市を訪れており、アニメ版では土手で赤沢さんと出会っている。記憶の改竄によって恒一は忘れてしまっていたが、赤沢さんの想いはそれを上回り、微かに覚えていただけでなく、死の間際には記憶の書き換えがまだあったにも関わらず、はっきりと当時の事を思い出した(しかしそれも余りにも遅すぎたのだが……)。また、夜見山から遠く離れたインドにいた恒一の父・陽介や、理津子と怜子の二重の死のショックで認知症(当時の呼び名は痴呆症)を患っていた怜子の父・亮平は、記憶の改竄を受けていなかった。
三神先生と宮牧美沙代の正体
視聴者には怜子と三神先生が同一人物とは気付かせない演出がとられていたが、劇中の登場人物は怜子=三神先生である事が初めから周知の事実であった。怜子自身、恒一が転校する前に、プライベートでは“怜子さん”・学校では“三神先生”と呼び方を使い分けるように諭している。この伏線の代表例が三神先生が学校に来ない事を、彼女を慕う望月優矢がその安否を恒一に尋ねている事である。また、アニメ版では海水浴に遊びに来た時、恒一と勅使河原直哉がゴムボートに乗っていた怜子をひっくり返したシーン等も大きなヒントになっている(何気にこの水着回は重要な場面が多い)。『Another』の最大のトリックは、如何に読者・視聴者が怜子=三神先生だと分からせない様にするかという点にあり、怜子が三年三組とその関係者ではない“はず”というミスリードとなっている。
如何に別人と思わせるかという演出で、漫画版・アニメ版では髪型と眼鏡の有無で区別が付けられている(アニメ版で眼鏡を掛けていたのは怜子の時だが、漫画版では三神先生モードの時に眼鏡を掛けている)。また、アニメ版では髪の色も異なるが(怜子は薄茶色・三神先生は焦げ茶色)、光の当たり方等で何とか誤魔化せる範囲であろう。
問題は声である。そこで、三神先生役は榊原奈緒子が“宮牧美沙代”という別名義で声をあてて、恰も二人の声優が別々に演じている様に見せる手法が採られた。その演出も徹底しており、プロダクション・エースのHPには、榊原奈緒子とは別に宮牧美沙代の紹介ページが新設された(顔写真は榊原奈緒子の変装である)。まず、宮牧美沙代(みやまきみさよ)をアナグラムすると、夜見山岬(よみやまみさき、現象が起こる原因となった26年前の死者)となる。更に主な出演作品に挙げられた出演作は全て日本では公開されていない海外のホラー映画となっているが、その頭文字を並び替えるとMISAKI(岬・見崎・未咲)となる。
12話でその正体が判明すると、このページそのものが跡形も無く消えてしまった。そう、宮牧美沙代という人物が死者であったかの様に……(この記事は消える前に解析班によって保存されている宮牧美沙代の紹介ページ)。
どの媒体においても、死者である怜子を断腸の想いで死に還す場面が物語のクライマックスである。しかし、アニメ版と実写映画版はそれぞれ以下の変更がされており、これに関しては様々な意見がある。
アニメ版の変更点
アニメ版では11話~12話前半のバトル・ロワイアル的な展開に時間を占めた結果、恒一と怜子に関する場面の多くが端折られており、二人の心情に重点を置いて欲しかったという意見も多い。
また、原作・漫画版では恒一が怜子を手に掛けるのを躊躇った際、見崎鳴の「信じて」という台詞で覚悟を決めるのだが、アニメ版では鳴が「三神先生が通り魔に殺されるのを見た」と説明している。原作・漫画版では「鳴を信じる」だったのが、アニメ版では「鳴の“証言”を信じる」という筋書きになった為、恒一と鳴の信頼感が原作・漫画版に比べて薄れてしまった、という声もある。
実写映画版の変更点
実写映画版では叙述トリックを再現するのが困難だった為か、初めから怜子さん=三神先生というネタバレをしており、原作最大の見所を潰したと否定的な意見も多い。
クライマックスも若干異なり、鳴にツルハシで死に還されそうになった時、千曳先生に阻止されて詰問される。しかし、鳴の人形の目からは、彼女が千曳先生を死に取り込もうとする姿が見え、燃えさかる炎の中に投げ出されて千曳先生が焼死。怜子自身は恒一に間一髪救われたが、自分が恒一も死に取り込もうとするのに気付き、自らその手を離して炎の中に身を投げるという結末を迎えた。
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関連項目
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