「わたし、フレデリカ・G・ヤンは、ここに宣言します。 次回、『銀河英雄伝説』第86話、「八月の新政府」。 「イゼルローン共和政府ばんざい!」「くたばれ、皇帝ラインハルト!」 |
「八月の新政府(ニュー・ガバメント・イン・オーガスタ)」とは、「銀河英雄伝説」作中に登場する統治機構の通称であり、「銀河英雄伝説」第八巻『乱離篇』第九章、およびOVA『銀河英雄伝説』第86話の題名である。
統治機構については記事「イゼルローン共和政府」を参照のこと。
概要
自由惑星同盟敗亡後の銀河において、あらゆる意味で民主主義勢力の主柱であったヤン・ウェンリーが暗殺されると、主柱と主席とを共に失ったエル・ファシル独立政府は瓦解し、ヤン艦隊の兵士たちの多くもイゼルローンを離脱していった。その中で、わずかに残された旧ヤン艦隊の面々がフレデリカ・グリーンヒル・ヤンを主席に、ユリアン・ミンツを軍事司令官に押し立てて作り上げたのが「イゼルローン共和政府」である。
その樹立宣言は宇宙暦800年8月8日に行われた。このことから、イゼルローン共和政府は「八月の新政府」もしくは「八月政府」の通称をもって呼称されたという。
『乱離篇』最終章となる第九章、OVA第三期最終話となる第86話は共にこのイゼルローン共和政府樹立宣言までの両陣営を描いている。
ストーリー
「アーレ・ハイネセンの長征一万光年は50年がかりでした。
それくらいの歳月は覚悟しておきましょうよ。」
ヤンの死から2ヶ月。イゼルローン要塞の残留者は男女合わせて100万人に満たず、帝都はフェザーンへと遷り、銀河の流れは急速に動きつつあった。悩んだ末に指導者となることを受諾したフレデリカとユリアン、そしてキャゼルヌたち「黒幕」の面々は新たなこの小さすぎる国家の成立に心を砕いていた。新政府の樹立に向けて仕事に追われる中で、ユリアンはヤンの幻影への問いかけを繰り返す。経験、才能、器量の全てにおいてヤン・ウェンリーに劣ると自覚する彼は何処へ向かえばよいのか。ヤン・ウェンリーはなんと早く、予期せぬ死を迎えてしまったことだろうか……。彼はフレデリカやカリンと、故人の思い出を語り合う。
ともかくも「真剣さと冗談と。二本のレールに車輪を掛けて」ヤン艦隊の残留者達は前進し、「イゼルローン共和政府」と名付けられた政府の形を整えていった。そしてヤンの死から63日後となる宇宙暦800年8月8日、フレデリカは夫の遺体に挨拶を済ませると、ヤンとアーレ・ハイネセンの肖像画の掛かった壇上へと登った。
「わたし、フレデリカ・G・ヤンは、ここに民主共和政治を支持する人々の総意にもとづいて宣言します。
イゼルローン共和政府の樹立を。アーレ・ハイネセンに始まる自由と平等と人民主権への希求、
それを実現させるための戦いが、なおつづくのだということを。
この不利な、不遇な状況にあって、民主共和政治の小さな芽をはぐくんでくださる皆さんに感謝します。
ありがとうございます。そして、すべてが終わったときには、ありがとうございました、と、
そう申しあげることができればいいと思います……」
直後、ダスティ・アッテンボローとオリビエ・ポプランによる「イゼルローン共和政府ばんざい!」「くたばれ、皇帝ラインハルト!」という掛け声とともに無数の歓声が上がり、「自由の旗、自由の民」の合唱に見送られて、全人類のわずか1/425000が集う自由と民主主義の新政府が誕生した。
補足
同話は富山敬演じるヤン・ウェンリーがアニメに登場する最後の回となる。
この後1996年9月から始まったOVA第四期にも回想シーンなどでヤンの登場が予定されていたものの、1995年2月に第三期が終了した7ヶ月後の1995年9月に富山敬が死去したことでこれが不可能になった。そのため、第四期のヤン・ウェンリー登場シーンには台詞はなく、全てナレーターやフレデリカ、ユリアンらの語りによって代行された。外伝では「千億の星、千億の光」以降、若き日のヤンとして郷田ほづみがキャスティングされ、その後事実上の後継者となった。
また、最後の樹立宣言時の「自由の旗、自由の民」の斉唱はアニメオリジナルの演出である。このシーンではシェーンコップやキャゼルヌのようなヤン・ファミリー首脳部にとどまらず、デッシュ、アシュール、コールドウェル、シャルチアン、ニルソンといった原作では記述のない面々の姿も勢揃いで登場。また、帝国人であるメルカッツとシュナイダーも唱和している。
ちなみに、同話の次回予告はこのフレデリカによる樹立宣言の抜粋を使用しているが、これは本編外伝問わず銀河英雄伝説全話を通して唯一、屋良有作によるナレーション以外の台詞が入った次回予告である。予告ラストの掛け声はファンイベントで録音されたもの。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
宇宙暦800年、新帝国暦2年。 |
- 2
- 0pt