八極拳(はっきょくけん)とは、清代に中国の河北省猛村で発祥した中国武術である。正式名を開門八極拳という。
概要
八極拳の八極拳たる所以はその強大な発勁と勁道にある。
八極とは『淮南子』にある、八紘より外をさす八方の極遠が由来となっており、開門にはその極遠にまで達する強大なる威力で、敵の閉じた門(防御)を打ち開く(破る)という意味がある。古くは把子拳(把子とは農耕具の鍬のこと)と称していた。八極拳が用いる特徴的な手形に同名のものがあり、その名の由来といわれている。古名には他に八忌拳ともある。
敵との極めて接近した状態での戦法を得意とし、必倒の威力が込められた技に真骨頂がある。
その風格は「陸の舟」(どっしりと安定して滑らかに動作する様)、「熊歩虎爪」(熊の如き力強い歩法と虎の爪の如き威力)とも形容されている。
一般に歩法に「震脚」と呼ばれる、地を力強く踏んで音をたてる動作が伴うことが知られているが、発勁に必須ではなく用法で必ず使用されるというわけでもない。熟練した伝人が練る套路には震脚が全くみられないことさえある。剛猛で知られる拳法だが、まるで太極拳であるかのように柔らかく慢練で稽古されることも珍しいことではない。
教授に際し、その兄弟門派である劈掛拳(劈掛掌)を共に学ぶことがあり、伝系によっては最初から劈掛拳が技法の中に組み込まれている。剛的で短打の傾向が強い拳法の八極拳と、柔的傾向で遠い間合いの敵にも対応しやすい劈掛拳の併修は、相互で欠点を補い合う意味があり古来から薦められている。
技法内容・套路(型)
■単錬套路
小八極(別名:老八極、八極小架、小把子)、大八極(別名:新八極、単摘架、八極拳、大架式)、六大開、八大招、八極連環拳(台湾の武壇で制定された套路)、八極小硬架(南京中央国術館で制定された套路。通称:軍隊用八極拳)
■対練套路
八極連環対接、単摘撃十法
兵器
八極門の兵器(武器)は六合大槍が特に有名であるが、これは開祖の呉鐘が神槍と讃えられたほどの槍術の達人であり、門派の伝統であるからである。槍術に熟達せねば八極門の門人は名乗れないといわれる。用いる大槍は全長3メートル以上。八極拳は槍術から生まれた拳法であり、動作の随所に槍術の操法の名残がみられることで知られている。他にも兵器としては長さ1.5メートル程度の六合花槍や虎頭双鈎などもある。
著名な伝人
実在の人物(追記求む)
- 李書文 : 八極拳の代表的な伝人。「神槍李」「二の打ち要らず」と讃えられていた。比武を好みその武勇伝は多数。
- 黄四海 : 張克明の弟子。その弟子は李書文、張景星、韓化臣などの高手が多数。馬鳳図、馬英図の両兄弟にも教授。
- 霍殿閣:李書文の開門弟子。ラストエンペラーこと愛新覚羅溥儀のボディーガードを務めた。
- 李元智 : 南京中央国術館で八極拳を教授。国共内戦の後、台湾に渡り中華民国陸軍士官学校で教えた。
- 劉雲樵:李書文の関門弟子(最後の弟子)。台湾で武壇国術推広中心を創立、伝統武術の保存と普及にあたる。
- 馬英図 : 南京中央国術館の第一回全国国術考試で、3部門において優勝。堂々たる体躯と強さを誇った。
- 馬鳳図 : 弟の馬英図と共に中華武士会を設立。メンバーには李書文、形意拳の李存義、張占魁らが参加。
- 馬賢達:馬鳳図の子息で通備門を設立。中国において十大武術教授の一人として讃えられた達人。
- 蘇昱彰:劉雲樵の弟子。八極蟷螂武芸総館を設立。日本を含む世界各地で武術の普及にあたった。
架空の人物(追記求む)
- 剛拳児:漫画「拳児」の主人公。彼の活躍が以降のメディアに与えた影響は絶大。
- 流全次郎:漫画「男組」の主人公。美味しんぼの雁屋哲原作、八極拳がメディアに登場した最初期の例。
- ジョンス・リー:漫画「エアマスター」の登場人物。コンクリートの壁をも破壊する。
- 結城晶:セガの3D対戦格闘ゲーム「バーチャファイターシリーズ」のプレイヤーキャラ。目の前の相手に鉄山靠。
- 有間都古:対戦格闘ゲーム「MELTY BLOOD」に登場するロリ少女。なんちゃって八極拳で元気に大暴れする。
- 言峰綺礼:「Fateシリーズ」の重要人物。体当たり一発で大木をもへし折る。
- 遠坂凛:「Fateシリーズ」のヒロイン。謎の力『発頸』でサーヴァントであるキャスターをボコボコにした。
- ネギ・スプリングフィールド:漫画「魔法先生ネギま!」の主人公。教え子である古菲(クーフェイ)に弟子入りし習得。雷や風の魔法と組み合わせての技を多用する。
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関連項目
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