この記事は、劇場版第1作目について説明しています。 |
『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』とは、TVアニメ『ポケットモンスター』の劇場版第1作目である。
同時上映『ピカチュウのなつやすみ』。
概要
1998年公開。製作費約3億円。
公開されるや否や大ヒットを飛ばし、日本のみならず、アメリカでも週間興行収入1位を記録した。この快挙は本作と「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」以外例がない。
最終的な国内の配給収入は約40億円、興行収入は約75億円に上り、たちまち東宝のドル箱シリーズと化した。
ポケモンショックの直後でありながらその製作を根強く求められて公開に至った、という経緯を合わせて考えるとなお、ポケモンの人気がいかに大きなものであったかがわかる。
作風
黒い任天堂と名高いポケモンシリーズ第1世代の要素の中でも、クローン技術によって生み出されたという特に重い背景を持つミュウツーを題材にしているため、同シリーズの以降の映画作品と比べても、その作風はかなりハードである。
ポケモン・人間に関わらず、明確に殺人を犯す場面が描かれた数少ない映画。
脚本を担当した首藤も、「ポケモンショック事件がなければ、上層部からクレームが噴出したはずの内容だった」「2作目からは、少年の冒険活劇を爽やかに作ろうと決めていた」と回顧しており、「暗くて重く、爽やかではなかった」と自ら認めている。
首藤曰く、この作品のテーマは「自己存在への問いかけ」である。しかし、それだけでは宗教が大きな力を持つ海外の人達にはピンと来ない(自分とは何か?←あなたは神の子よ、と言われるのがオチだから)から、世界に通用する隠れたテーマとして「差別」も取り扱った。
また、「ミュウツーの逆襲」という題名には、存在している自分への「自分とは何か?」という問いかけが、自分への復讐である、という首藤の考えが含まれている。(もしこれが自己否定であれば、それは復讐ではなく敗北である、とも)
終盤のサトシが石になり、それをピカチュウが必死に電撃を浴びせるシーンは、感動の泣きシーンとして有名だが、実際は「泣かせるつもりで書いた訳ではない」としており、その真意は首藤のコラム「第179回『ミュウツーの逆襲』クライマックス」で明かされている。
テレビのCMでは勇気、友情、命の大切さを描いた~との宣伝もあり(お偉いさんがそれを望んでいた)、実際に首藤の掲げたテーマが子供達に伝わったかどうかは不明である。ただ、大人の人達はそれに気付き、指摘されたという話がある。また、首藤はこのようなテーマは忘れて、意識せずに見てほしい、とも語っていた。
ミュウツー役には市村正親を起用し、対するミュウには山寺宏一を起用している。
山寺のシリーズへの連続客演は、ここから始まっている。
後に、ミュウツーの誕生直後を描いたドラマCD『ミュウツーの誕生』、ドラマCDの内容を追加して劇場公開版の所々をCGに差し替えたビデオ『ミュウツーの逆襲 完全版』が発売され、続編『ポケットモンスター ミュウツー! 我ハココニ在リ』がTVスペシャルとして放送された。
あらすじ
『最強のポケモントレーナー』を名乗る謎の存在から、ポケモン城という巨城に招待されたサトシ一行。
そこには、ウミオ・ソラオ・スイートという3人のトレーナーが集められていた。
サトシを含め、彼らは、いずれも将来有望と城の主に認められた、実力あるトレーナー達だった。
ロケット団の手により、ミュウの睫毛からクローン培養によって純粋な戦闘用ポケモンとして造られたミュウツー。
彼は自分の存在意義を見出せず、いたずらに自分を作り上げた人類を憎んでいた。
生まれた研究所を脱走した彼は、人類への逆襲を企てていた。サトシ達有望なトレーナーのポケモンを集め、そのクローンを作り上げて、人類へ復讐しようというのだ。
ミュウツーと、その配下のクローンポケモン達に歯が立たず、手持ちのポケモンを奪われるサトシ達。
しかし、ミュウツーの前に、ミュウが現れて……?
キャッチコピー
コピーポケモン
ミュウツーによって生み出されたモンスターボールによって捕まえたポケモンのDNAデータに基づき誕生したポケモンのコピー。
こちらではその元となったポケモンとのギャップが強いコピーポケモンのみ記載する。
- ピカチュウ
元はサトシのピカチュウ。耳の模様が異なっている。性格はサトシとピカチュウが出会った当初に基づいた少々荒っぽい性格だが、物語の佳境では真っ向からの攻撃を躊躇う元のピカチュウに叩きながら涙していた。
「我ハココニ在リ」ではミュウツーの理解者となり、住みかとしている泉に自分達(コピー)は閉じ込められているに過ぎないと自由を提案していた。サカキ襲撃後のエンディングではコピーニャースと共にミュウツーに同行している。 - ニャース
元はロケット団所属のしゃべるニャース。本物とは違いしゃべることは出来ず四足で歩いている。ムサシが(偶然)押した(ニューアイランドに残っていた)コピーマシンのスイッチが作動し、元のニャースの尻尾の毛を抜き取り誕生した。ビジョンに映し出されたシルエットのニャースに、コジロウが思わず「だーれだ?」と訊きムサシは「ニャース!」と答えた(当時の本編アニメのアイキャッチの本社パロディ)。
元ニャースが通訳して言うように、物事を丸い月に見立てて表現するなど風流と見せて実は哲学的な面を見せ、「我ハココニ在リ」では、ミュウツーの理解者となっていた。サカキ襲撃後のエンディングではコピーピカチュウと共にミュウツーに同行している。 - リザードン
あらかじめミュウツーが用意していたコピー。本物には全くない模様が体中にある。
本物リザードンは普段サトシの言うことを全く聞かないでいたが、強い相手と察し進んでスピード勝負に挑むも、それ以上のコピーリザードンのスピードから繰り出された「ちきゅうなげ」に敗れた。 - カメックス
あらかじめミュウツーが用意していたコピー。本物には全くない模様が甲羅ににあり、肩の噴射口の形状も異なっている。
スイートのカメックスの「ハイドロポンプ」で技勝負に挑むも、(言及されていないが)「こうそくスピン」で弾かれそのまま体当たりで敗れた。ちなみにサトシのゼニガメも捕まりコピーされたが、完全版の「ゼニガメツー」とは違い元と同じ姿だった。 - フシギバナ
あらかじめミュウツーが用意していたコピー。本物には全くない模様が体中にあり、目の形状や花の模様も違う。
ソラオのフシギバナで力勝負に持ち込むも、巨体のフシギバナを「つるのムチ」で軽々と持ち上げられそのまま叩き付けられ敗れた。ちなみにサトシのフシギダネも捕まりコピーされたが、完全版の「フシギダネツー」とは違い元と同じ姿だった。 - サイホーン
元はソラオのサイホーン。特に変わった所は無いが、「我ハココニ在リ」では拠点の泉で子供を育てていた。 - ニドクイン
元はウミオのニドクイン。サイホーン同様変わったところは無いが、「我ハココニ在リ」では拠点の泉で子供を育てていた。コピーポケモンであるためなのか、子供が進化前の「ニドラン♀」ではなく全て小さい「ニドクイン」のままである非常に珍しい光景を見せた。
バージョン違い
劇場公開版
75分。1998年7月18日公開。初期のVHSやレーザーディスクでのリリースに収録
完全版
85分。「幻のポケモンミュウ、神秘の力を持ち大洪水を引き起こしたとか」から始まる。
1997年07月08日に地上波初放送。
劇場公開版と完全版の違い
いくつかのカットが作画からCGに差し替えになっている。作画を楽しみたい人は劇場公開版もチェック。
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/pan2marumie3/status/1105081853667467264
海外の比較サイトも参照。
旅立ち編込み
90分。「果てしなく続く宇宙」から始まる。2000年03月31日地上波初放送
ミュウツーの逆襲 EVOLUTION
劇場版ポケットモンスターシリーズの第22作目として2019年7月12日に公開。21作目『みんなの物語』のラストでタイトルが発表された。大筋のシナリオは変わらず全編フル3DCGでリメイクされる。
脚本に故・首藤剛志がクレジットされているほか、プレスコ収録により石塚運昇も新録で出演している。
ゲスト声優としてミュウツー役の市村正親、ボイジャー役の小林幸子がリメイク元と同じく出演。
主題歌もEVOLUTIONしており、「風といっしょに」が小林幸子&中川翔子のコンビで蘇る。
関連動画
関連静画
関連項目
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