概要
東京・渋谷の繁華街で、男子中学生に「おしりにガムが付いている」などと声をかけ、下半身を触るなどしたとして、32歳の会社員の男が警視庁に逮捕された事件の時、男子中学生に言ったとされる言葉である。
注意
今回の事件において最大の被害者となったのは、性犯罪被害を受けることになってしまった少年であることを、まず念頭に置こう。
その彼も私達と同じく、インターネットを活用していることも、また今後もインターネットを楽しんでいくことも、どちらも十分にあるだろう。
しかしインターネット上で広く自分の被害事件について笑いネタになってる状態を彼が目撃しなければならないのは、二次被害でしかない。
自分の事件について語られるその様子が、インターネットから目を背けるようなほどのレベルやありさまであり続けてる事態は、彼にとっては「インターネットは見ていたくないもの」となってしまう可能性も強いだろう。その時、彼は生きるための大きな道具を一つ奪われているのである。
また「動くな」という脅迫の文脈から切り離しても、「誰かがゲイであること」それ自体のみで脅威や恐怖として機能すると感じるとすれば、それはゲイに対する偏見である。
報道のなされ方、言葉のインパクトから流行してるのが今の現状である。今回の件をネタにして遊んでる場合、その辺のことも少し考えてみよう。
TVと新聞での報道の違い
このセリフとされる文言は、テレビで報道がなされた事により、ツイッターと2ちゃんねるスレッドまとめブログの二つにより、一気に広まったところが事件当時、大きかった。そのため、容疑者がこのセリフを言ったとして、ネットユーザーに広く共有されることへつながった。
ニコニコ動画にもアップロードされているJNN(TBS)のニュース映像の編集では、アナウンサーの原稿読み上げとともに、ニュース映像に字幕が表示されるのだが、「動くな、俺はゲイだ」の部分については特別に赤い色で強調されてあった。
しかし、毎日新聞の記事になると、犯人が言ったとされるセリフの文言については触れておらず、「動くな」の部分が威圧であったとして、次のような表現にとどまっている。
渋谷署によると、前田容疑者は、嫌がる生徒を「動くな」と威圧し、下半身の写真を撮るなどしたという。生徒は約30分後に解放され、母親と一緒に同署へ被害を届け出た。
強制わいせつ:男子中学生に 容疑者逮捕−−渋谷署 /東京 毎日新聞 2013年03月24日 地方版
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20130324ddlk13040150000c.html
JNNでの報道では赤文字で強調されて伝えられ、毎日新聞での報道ではその文言は書かれなかったことから、報道側において何らかの意図があっただろう事が推測できる。
また、FNN(フジテレビ)のTV報道となると、今度はこの文言を容疑者が言ったとは報道されておらず、
前田容疑者は容疑を認めていて、男子生徒に対し、「俺はゲイなんだ」などと話していたという。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00242731.html(リンク切れ)
という報道の仕方にとどまっていた。
報道各社の各報道において、容疑者が言ったとされるセリフの文言が違った、ということに注意が必要である。
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