匕は、右向きの人、さじ、小刀を表す漢字である。ヒ、七、𠤎とは別の字。
漢字として
- 意味
- さじ、小刀、矢じり。
- 字形
- いくつかの異なるもの(人、さじ、小刀)を象った字が、一つの字として扱われるようになった。
- 〔説文解字・巻八〕には「相ひ與(とも)に比敘するなり。反人に从ふ」とある。左右反転した人の字(=右向きの人の形の象形)で、並ぶというような意味があると解説する。また「匕、亦た比を用(もつ)て飯を取る所以なり。一名、柶」ともあり、さじ・しゃもじの象形による意味を紹介する。ほかに匕首の意味があって、さらに妣の初文であり「亡きなり」という意味がある。ほかにも牝の匕は女性器とする説もある。
- 音訓
- 音読みはヒ(漢音)、訓読みは、ならぶ、さじ、あいくち。
- 規格・区分
- 常用漢字ではない。JIS X 0213第二水準。
- 部首
- 匕は部首匕部を作る。匕のほかに𠤎を持つ字を含む。匕、𠤎は、〔説文〕では独立した部首であったが、現在は同じ部首とされている。
- 𠤎(カ)は〔説文〕に「變ずるなり。到人に從ふ」とあり人を逆さまにした字で、化の初文。人の死を表す。
- 意符
- 匕を意符に持つ漢字には比、北、㫐、頃、𠨐などがある。
- 声符
- 匕を声符とする漢字に牝、旨、尼(会意説もある)、疕、㠲、𩵏などがある。
- 語彙
- 匕首
互換文字
- 2
- 0pt