十日戎とは、1月10日前後にえびす神社で行われる祭礼である。「えべっさん」と呼ばれることも。
ここでは、特に有名な西宮神社および今宮戎神社における十日戎について解説する。
西宮神社
1月9日の宵えびす、10日の本えびす、11日の残り福の3日間にわたって行われる。
神社境内および付近には数多くの屋台が並び、100万人を超える参拝者で賑わう阪神間最大の祭典と言われている。
大鮪奉納
本マグロは十日戎の3日間、「招福大まぐろ」として拝殿に飾られており、参拝者が商売繁盛や豊漁を願って貨幣をマグロの体に貼りつけるのが通例とされている。
なお、十日戎終了後マグロは解体され、刺身の形で関係者にふるまわれている。その数なんと1,600人分だとか。
有馬温泉献湯式
9日に有馬温泉の金泉が奉納され、有馬温泉の繁栄と商売繁盛を祈願する。
湯女(ゆな)に扮した芸妓さんが神前で「湯もみ」を行い奉納する。奉納された金泉に1円玉を浮かべられると縁起がいいとされている。
開門神事福男選び
西宮神社における十日戎のメインイベント。数千人が境内を走り抜けるその熱気が全国ニュースで報道されているのを見た人も多いのでは。
もともと9日夜からは「えべっさん」が西宮市中をお廻りになるため、その間は外出してはいけないという「忌籠(いごもり)」という慣習があった。そして忌籠が終わった翌10日朝6時の開門と同時に、清められた体で参拝するというのが発端とされている。
かつては一週間以上前からの場所とり、開門前のフライング、徒党を組んでの妨害など何でもありの無法状態であったが、2005年以降は事前のくじ引きで参加者にスタート位置を指定させるようになり、ある程度の秩序が保たれるようになった。
一番奥の本殿に早くたどり着いた上位三名を「一番福」「二番福」「三番福」とし、その年の福男として認定され賞品が授与される。福男と名前がついているものの実際には男女関係なく行われる(ただし過去に女性が上位三名に入ったことはない)。
福男になるためには、1月の深夜の寒空の下で待機できる防寒対策、事前の入念なコースチェック、約230mを走り抜くスプリント力とカーブを転倒せずに曲がるテクニック、そして何より当たりくじを勝ち取るための信仰心が必要とされる。興味のある方は是非チャレンジしてほしい。福男に選ばれなくても、先着5,000名には「開門神事参拝之証」が授与されているため、まさに参加することに意義があると言える。
今宮戎神社
1月9日の宵宮祭、10日の大祭、11日の後宴の3日間にわたって行われる。期間中は24時間オープンとなっているのが特徴。
こちらも総本山である西宮神社に負けず劣らずの熱気を誇り、3日間で100万人以上が参拝する一大イベントとなっている。
福笹
「商売繁盛、笹もってこい!」のかけ声でおなじみの、あの笹である。
商売繁盛の象徴として笹が使われるようになったのには諸説あるが、「根強くまっすぐ成長する」「折れにくい強さを持つ」「冬でも青々とした葉をつける生命力がある」といったあたりが由来であると考えられている。
福笹は無料で配布されており、参拝者はこれに縁起物のセットである「吉兆」を購入して笹につけるのが通例となっている。
福むすめ
西宮神社の福男に対抗した十日戎で奉仕する18~23歳の女性。
毎年約3,000人が応募するが、厳しい審査を経て40人(このほかに留学生枠が別に5人)に絞られる。余談だが福むすめ経験者でテレビ局のアナウンサーになる事例が何故か多い。
このほかに、福笹授与を行う「えびす娘」が福むすめ候補の中から25人ほど選ばれる。
献鯛行事
雌雄2尾の大鯛を奉献し、大漁と商売繁盛を祈願する。
西宮神社と違ってマグロこそないものの、そこは商人の町大阪。10日には朝市を開いて鯛の初競りなんかも境内でやっていたりする。
宝恵駕行列(ほえかごぎょうれつ)
10日に道頓堀川から今宮戎神社に向けて町中を練り歩く、宝恵駕の行列。
宝恵駕には芸能人が乗るのが通例となっている。道中で人数が増えていき、「ホエカゴホエカゴ、エライヤッチャエライヤッチャ」のかけ声とともに進んでいく賑やかな行列となっている。
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