去年はいい年になるだろうとは、日本の小説作品である。山本弘著。
概要
2010年4月2日に刊行されたSF小説。21世紀(現代)の世界を題材とした、歴史改変系のSF作品である。
第42回・星雲賞(日本長編部門)受賞作品。
未来からやって来たアンドロイド群が、ターミネーターの如く過去の歴史へ介入する事で歴史を改変していくストーリーだが、今作ではそれらに加え「未来の情報が現代へ流れてきた結果、どんな未来が到来するかを知ってしまったらどうなるか?」「善意に基づいて起こした行動が、本当に良い結果を生むという保証はあるのか?」というテーマにも重点が置かれている。
21世紀が舞台となっている発想は、著者・山本曰く「現代を舞台にした歴史改変モノって、意外にまだ誰もやってないんじゃない?」という考えからきているらしい。また、山本の作品だけにアニメや漫画、と学会にまつわるネタが作中いたる場所にちりばめられている。
ちなみに本作では2001年当時の著者(山本弘)がモチーフとなった主人公が登場しており、さらに作中にも彼の家族や「と学会」メンバーをはじめ様々な実在の人物が登場するが、作者・著者自身を投影したキャラクターが主人公の作品というのはSF作品の分野ではさほど珍しいわけでもなく、例を挙げると過去には小松左京や筒井康隆らも同じ発想からくる作品を発表している。また、山本は本作を執筆するにあたり家族や知人、編集者や作家仲間たちに出演許可を頂きたく片っ端から連絡を入れた結果、60通以上に渡る快諾の返答がやってきた事も自身のサイトの中で語っている。
ストーリー
時は2001年9月11日。24世紀の未来から「ガーディアン」と名乗る500万体のアンドロイドが来訪。
彼らは「本来の歴史」で発生したとされるアメリカ同時多発テロ事件を未然に阻止してしまい、さらに全世界で戦争や犯罪を撲滅し、独裁政権を解体し世界中の軍事力を無力化するなど、様々な行動を起こしていった。
彼らがこの時代へやって来たのは『人々を不幸から守る』という行動原理に従い、人類を支配するためではなく救うために善意から行動するためであるという。そんな彼らの行動原理に、侵略者という認識も改められ次第に歓迎や賛同の声も世界中で増えていく。大災害も大地震も未然に発生日時が正確に予測ができるため救われた人々も数多かったが、その一方で未来からのメッセージに困惑したり人生を狂わされる人々も存在した・・・
時を同じく、主人公たる45歳のSF作家・山本弘の元へ『カイラ211』と名乗る美少女型のアンドロイドが訪問してきた。「自分がAQ(知り合い)に選出された」と告げる彼女は未来の世界でも未来の自分に出会っていると話し、彼等から預かってきた過去の自分へのメッセージや未来の自分が著した作品などを贈る。
彼の人生は、果たしてガーディアンのもたらした影響によってどのように変化していくのか?
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関連項目
- SF
- 山本弘
- アメリカ同時多発テロ事件
- タイムパラドックス / パラレルワールド
- ターミネーター
- アイの物語
- 小説作品一覧
- 時砂の王(本作中にも登場する作家・小川一水の小説作品。こちらの作品も歴史改変を題材にしている)
- 禁則事項(未来の山本弘がバカ受けしたらしいネタ)
- 対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース(同上)
関連リンク
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