反ミーム(英:Antimeme)とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』で登場する語句で、『自己検閲特性を持つアイディア』を意味する。噛み砕いて言えば、「自分の見た目、行動その他の情報を伝達できない」特性である。
なお、SCP Foundation以外の文脈では英単語『Antimeme』は「対抗ミーム[1]」を意味するため注意。対抗ミームはあくまでもそれ自体はミームだが、反ミームはミームとは性質がちょうど逆になる。
概要
反ミームとは、「そのアイテムそれ自体についての特性や動き、場合によってはそれが齎す影響」を他者に伝えることができない特性を意味する。反ミーム系オブジェクトの始祖にして代表的なSCP-055について言えば、「SCP-055は何であるか」(What)を記載することは不可能。サイト-19に収容されているが、なぜサイト-19に収容されることになったか(Why)、誰が(Who)、いつ(When)、どのように収容したのか(How)、もともとどこにあったのか(Where)が一切不明という「5W1H」のいずれもわからないという特性を持つのである。
このため、報告書においてもそれに言及することがしばしば不可能になるのだが、アノマリーである以上は財団がそれを収容しなくてはならない。といって、収容するために特徴を書こうにもかけない。このため、「オブジェクトを間接的に理解する方法」や「オブジェクトの影響で起きた影響」等を詳述することで収容の助けにしている。
余談だが、要注意団体のひとつ『第五協会』のオブジェクトは揃いも揃って反ミーム性を有する。
反ミーム部門
この反ミームを扱う財団の部署、それが反ミーム部門である。反ミーム部門はこの反ミーム系オブジェクトを理解するために、「逆に何の情報なら書けるのか」を洗い出したり、記憶しておけないオブジェクトに対して、記憶補強剤(記憶処理剤の真逆で、本来すぐ忘れるはずの記憶を長時間覚えておけるようになる。反ミーム系オブジェクト以外でも使われるケースが有る。)を使用するなどして対抗している。
だが、この反ミーム部門自体、「そんな部署あったっけ?」と言われることもある。ミイラ取りがミイラになる
代表的なオブジェクト
SCP-055 - [unknown] ([正体不明])
反ミームオブジェクトの始祖にして代表といえるオブジェクト。なぜサイト-19にあるのか、いつどこで誰がどのように収容したのかわからず、そしてその結果時に忘れられ、時に再発見される筋物入りの反ミーム。
ただし、「こいつは何では『ない』か」は記述できることを発見したため、「何ではないか」を繰り返し反復することで財団は少なくともこいつの存在を覚えておけるようにはなっている。
SCP-2938 - Unpredictably Reactive Substance (予期せぬ反応性物質)
反ミーム性を持った無色透明の物体。ビーカー内で分かれることができ(液体)、0.5mlの放射性染料を入れても放射線が検出されず、-25℃まで冷却する実験では、0℃で水の結晶個体になり、マウスが摂取すると体内の液体がすべてSCP-2938に置換され、10mlの水に5mlのSCP-2938を入れると15mlのDHMO(一酸化二水素)になったあと、15mlのSCP-2938に戻った。
普通に考えると、SCP-2938は「水」でしかないはずなのだが、財団の研究員たちがよってたかってこれに気付けない。「反ミーム性と認識災害特性を持ったただの水」という、単純だが漏出するとかなり危険な液体である。
UNDEFINED - Containment Chamber #3942 (未定義 - 収容チャンバー #3942)
それそのものを言及できない、SCP-055以上にわけのわからないもの。財団は収容チャンバーの記録のみをとっているが、中の異常物それ自体には一切言及できない。財団が確保した当初も、その回収箇所で住民たちがパニックになっていたことから発見したのだが、住民たちがなぜ、何に怯えていたのかの質問には何の返答もなかった。故にアイテム番号もオブジェクトクラスも「未定義」で、オブジェクトの説明は「保留中」。財団は収容したチャンバー(小部屋)についてのみ記述することができているのである。
SCP-4773-2 - and a stuffed bear ( とクマのぬいぐるみ)
SCP-4773-2は浮遊しているように見えるクマのぬいぐるみである。周期的に地上10-70cmあたりを動き、不規則で動く。この付近の物体、SCP-4773-2の実体・表皮は全体、あるいは部分的に知覚できなくなることがある。
これだけなら浮いているだけのテディベアなのだが、本報告書はアイテム番号もオブジェクトクラスも空欄になっている。本オブジェクトの管理者は反ミーム部門ではなく誤伝達部門[2]だったのだが、「SCP-4773-2」と表記することにより「SCP-4773-1」の存在を暗に言及し、これが反ミームオブジェクトであると示している。
SCP-1377-JP - ただいま。
とあるアパートの一室に対する入出力の過程。入力(アパートの一室に入る)と出力(アパートの一室から出る)が示される。男性が入ると絶叫が出力され、女性が入るとその腹部に涙が出力される。
本オブジェクトはシンプルだが、反ミーム初学者には理解しやすいオブジェクトと言えよう。反ミーム系オブジェクトの読み方を理解したいならまずこのオブジェクトから読むと良いだろう。ただし心に大きな傷を負うが。
SCP-2943-JP - それならなぜ殺された。
サワガニのみが知覚することができる、『クラムボン』なる存在。この『クラムボン』に接触したサワガニは4歳児程度の知能を得てしゃべることができるようになる。PoI-1933(宮沢賢治)は人間でありながらこの『クラムボン』を知覚することができた唯一の存在であり、そしてその交流を元に童話『やまなし』を書いたとされる。
ただしこのクラムボン、どうやらサワガニたち曰く「財団に殺された」らしく、サワガニたちに糾弾された財団職員はクラムボンを財団が殺したことを認めるようになり、知能がやはり4歳児程度まで退行してしまう。
関連動画
関連リンク
- 反ミーム部門ハブ - SCP財団
- SCP-055 - SCP財団
- SCP-2938 - SCP財団
- 未定義 - SCP財団
- SCP-4773-2 - SCP財団
- SCP-1377-JP - SCP財団
- SCP-2943-JP - SCP財団
関連項目
脚注
- *あるミームに対して、そのミームを上書きするように意図的に広められた別のミームのことを指す。
- *正確な描写が不可能なオブジェクトについて、それを間接的に伝えるために何らかの方法を考える部署。反ミーム部門と被るようで意外にも結構違う。
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