概要
大回り乗車とは、大都市近郊区間の特例やICカード乗車券使用時の運賃計算方法を利用して目的地の駅まで遠回りして行く行為である。
根拠
紙の乗車券を使用する場合
JR各社では、原則として、旅客は乗車券で指定された経路のみを乗車できる。ただし、特例として全区間が大都市近郊区間(東京、大阪、福岡、新潟、仙台)内の普通乗車券または普通回数乗車券を使用する場合に限り、乗車券で指定された経路以外も乗車することが許容されている。→選択乗車
参考:JR各社の旅客営業規則第157条第2項
大都市近郊区間内相互発着の普通乗車券及び普通回数乗車券(併用となるものを含む。)を所持する旅客は、その区間内においては、その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、同区間内の他の経路を選択して乗車することができる。
JR以外では、事業者ごとに取り扱いが異なっている。詳細はここを参照。
ICカード乗車券を使用する場合
ICカード乗車券で定期券区間外を乗車する場合、一部の例外を除いて、発着駅間の最安となる経路の運賃を適用すると定められている。
そのため、大都市近郊区間の設定されていない名古屋等の場所でも、ICカード乗車券取り扱い区間の範囲内であればICカード利用時に限り大回り乗車が可能なケースも存在する。
参考:東日本旅客鉄道株式会社ICカード乗車券取扱規則第38条(他の事業者も同様の規定あり)
Suica乗車券を(中略)使用する場合、出場駅において、入場駅から同一の取扱区間内を経由して最も低廉となる運賃計算経路で算出したIC運賃をSF残額から減算します。(以下略)
また、ICカード乗車券で定期券区間外を乗車する場合、途中で他社線を経由して乗車することが許容されている(改札を通らずに乗り換えまたは直通できる場合に限る)。
参考:東日本旅客鉄道株式会社ICカード乗車券取扱規則第24条第10項(他の事業者も同様の規定あり)
(前略)取扱区間内にある駅相互発着となる場合で、当該発着区間内に他の鉄道会社線を含むときであっても、当社が特に認めた場合を除き、全乗車区間について当社線を利用したものとみなして、運賃を収受します。
実行時の注意点
大回り乗車が許容される条件として下記のものが挙げられる。
- ICカード乗車券以外を使用する場合、使用する乗車券が定期乗車券でないこと。
- ICカード定期乗車券を使用する場合、発着駅の片方または両方が定期乗車券の区間外であること。
- 紙の乗車券を使用する場合、乗車券の区間および乗車経路が大都市近郊区間の範囲内であること。
- ICカード乗車券を使用する場合、乗車する区間および乗車経路がICカード乗車券取り扱い区間の範囲内であること。
- 乗車経路が折り返しにならないこと。
- 乗車経路が環状線一周を越えないこと。
※約款に環状線一周を越える経路の片道乗車券の発売禁止規定および運賃計算打ち切り規定がない鉄道事業者(東京メトロ)を除く。 - 途中で改札を出ないこと。
※例外その1として、下記の同一事業者間で改札外乗換が可能な駅においては、ICカード乗車券(当該乗換駅までの運賃と着駅までの運賃を比較して高い方を適用)または当該乗換駅までの運賃以上の金額の普通乗車券・普通回数乗車券を使用している場合、同一事業者間の改札外乗換が何回でも可能である。
東京メトロ(制限時間60分):池袋、淡路町、新御茶ノ水、上野、上野広小路、仲御徒町、大手町、日比谷、有楽町、渋谷、三越前、飯田橋、新宿三丁目、人形町、水天宮前、築地、新富町、虎ノ門、虎ノ門ヒルズ、銀座、銀座一丁目
都営地下鉄(ICカード乗車券は制限時間60分、普通乗車券・普通回数乗車券は制限時間なし):東日本橋、馬喰横山、蔵前
※例外その2として、下記の異なる事業者間で改札外乗換が可能な駅においては、ICカード乗車券(当該乗換駅までの運賃と着駅までの運賃を比較して高い方を適用)または当該乗換駅までの運賃以上の金額の連絡普通乗車券を使用している場合、異なる事業者間の改札外乗換が1回のみ可能である。
東京メトロ~都営地下鉄(ICカード乗車券は制限時間60分、連絡普通乗車券は制限時間なし):浅草、日本橋、新橋、新宿三丁目、大手町、淡路町/新御茶ノ水~小川町、人形町/水天宮前~人形町、東銀座、日比谷/有楽町~日比谷、神保町、市ヶ谷、中野坂上、青山一丁目、六本木、麻布十番、月島、門前仲町、上野広小路/仲御徒町~上野御徒町、本郷三丁目、後楽園~春日、飯田橋、新宿~新宿西口、清澄白河、住吉、押上、東新宿、秋葉原~岩本町
実行してみた例
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大回り乗車はキセル行為(不正乗車)なのか?
JR旅客営業規則等の特例に則った行為なので、ルール違反(上記の実行時の注意点を参照)をしない限りは合法的な乗車手段である。ただし、紙の乗車券・ICカード乗車券いずれの場合も車掌や駅員に対し大回り乗車が許容される条件を全て満たしていることを説明する必要があり、もし説明が完璧でなく納得が得られなかった場合は不正乗車扱いとなり実際経路分の運賃を支払わなければならない場合もあるので注意されたし。
各区間の最長経路
関連サイトを参照のこと。なお、最長大回り乗車のうち、「140円最長経路」など、距離が長い経路については実質的に継続乗車が可能となる大晦日~元日のみ乗車可能である。
関連動画
↓東京近郊大回り乗車
↓大阪近郊大回り乗車
関連項目
関連サイト
- 各鉄道事業者の約款へのリンク集
- 東京近郊区間大回りWiki FrontPage
- 東京近郊区間大回りWiki 最長大回り経路
- 最長大回り経路を計算する
- 140円のきっぷで2日かけて1,035km移動してみたら普通に地獄だった【年越し最長大回り】
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