天空戦記シュラトとは、1989年に放送開始されたテレビアニメである。
概要
天空戦記シュラトは、タツノコプロの製作したテレビアニメである。1989年4月6日から1990年1月25日まで、テレビ東京系で毎週木曜19:00~19:30に全38話(総集編を含めると全40話)が放送された。
異世界を舞台にしたファンタジーアクション作品。80年代は機甲創世記モスピーダや赤い光弾ジリオンなど、バトルものにSF色が強かったタツノコプロが一転、東洋系のモチーフ、スポ根、美少年アニメの要素を取り入れた作品である。
前年放送開始の鎧伝サムライトルーパーが女性ファンの人気を獲得するなど、聖闘士星矢に始まる集団美少年装着アニメは一大ムーブメントを巻き起こしていた。そこにタツノコプロも加わった形ではあるが、シュラトと星矢のスポンサーは同じバンダイであり、しかも星矢はシュラト放送開始の前週に最終回を迎えていた。つまり、バンダイの意向も相当大きかったとみるのが妥当であろう。
キャスト陣は、1987年放送の赤い光弾ジリオンの主役三人(関俊彦・井上和彦・水谷優子)がそのままメインキャラに起用されている。特に井上和彦は初のヲネエキャラとあって、大変な話題を集めた(実は結構男らしいキャラなのだが)。
他にも、ブレイク直前の林原めぐみが起用されていたり(本編ではあまり扱いは良くなかったが、キャラ人気は高かった)、ド新人の子安武人が準主役級キャラに抜擢されたりしている(本人曰く、あまりにも下手過ぎていい思い出がないそうだが)。
インド神話をモデルにしているが、原典では男性であるヴィシュヌ神が女性になっていたり(当時「実は男」という噂もファンの間では流れていた。ヲカマも居るしね)、原典ではヴィシュヌ神の妻であるラクシュミーが、ヒロインのラクシュとマスコットキャラのミーに分割されてたりする(合体してラクシュミー・・・にはならない)。
清水咲斗子の歌うOP/ED(前期後期共に)はロックテイストで熱く、名曲揃いである。隠れた名曲になっているきらいがあるので、まずは前記OP「SHINING SOUL」から聴いてみよう。
挿入歌「オン・シュラ・ソワカ」(石原慎一)正直なところ本編からはちょっと浮いていたが(笑)、無駄な熱さが楽しい一曲である。
ラクシュが自己犠牲(未遂)した回で流れた挿入歌「言わない”Good bye Dear"」(木村真紀)は、いい曲ではあるけど・・・、う~ん完全に浮いてたなあ。
また、番組後半における作画崩壊についても話題に挙げられることが多い作品でもあり、詳細は後述するが、前半についてだけはこの時代にあってはかなりのハイクオリティであることを声を大にして言っておきたい。逆に言うと、全体的に酷かったら後半の作画崩壊が後世に語り継がれることもなかったのではなかろうか?
神甲冑(シャクティ)
今作は聖闘士星矢の二番煎じであるがゆえに、当然、敵も味方も聖衣的な鎧を身にまとって戦う。
それこそが神甲冑(シャクティ)である。
携帯時は護符(ヴェーダ)と呼ばれる黄金の守護像であるが、神将が光流( ソーマ)を注ぎ込むことにより巨大化して神甲機(バルダ)という高速移動形態になる。大きなスケートボードみたいなものである(タツノコ的には、ペガスに乗るテッカマンか)。そして、これは分割して装着することも出来る(すなわちシャクティ)。
バンダイから発売されたプラモデルでも、神甲冑から神甲機への変形機構が再現されている。可動域は狭い(というかほとんど動かない)が、この時代にしてはプロポーションは悪くはない(というか、個人的にはむしろ良い方だと思う)。
さらに、当時バンダイがミニ四駆のパ○リ商品として発売していたハイパーレーサー4WDのシャーシに装着出来るというギミックも売りであった(ただし、パーツのかみ合わせが悪いので、盛大にパーツを撒き散らせながら……ではあるが)。
発売されたプラモデルは、修羅王シュラト、夜叉王ガイ、天王ヒュウガ、龍王リョウマの4種類(八部衆全員とまでは言わないが、せめて迦楼羅王レイガくらいは出して欲しかった)。今からでも遅くないんで、アーマープラスとかで発売してくれませんかね?バンダイさん。
あらすじ
人間界で普通の高校生として生活していたシュラトとその親友ガイは、突如、天空界へと召喚されてしまう。
シュラトは、そこで天空界を統べる調和神ヴィシュヌと対面し、シュラトは天空界のために戦う宿命を負った戦士であることを告げられる。
しかし、その夜、調和神ヴィシュヌは側近であった雷帝インドラにより石化させられ、その濡れ衣をシュラトに着せられてしまう。こうしてシュラトと仲間たちは、雷帝インドラを倒し、ヴィシュヌを救い出す旅に出るのであった。
天空界用語
- 天空界
- 人間界の上位にある世界、今作の舞台である。人間界とは表裏の関係にあるので、天空界の危機は人間界にも影響する。
- 神将
- 天空界にいる戦士達の総称。
- デーヴァ神軍
- 調和心ヴィシュヌを筆頭にして、天空界の調和を司る神将たちの総称。
- 八部衆
- デーヴァ神軍のなかでも特別な8人の神将に与えられる称号。作中ではシュラト、ガイ、 レイガ、ヒュウガ、リョウマ、レンゲ、ダン、クウヤを指す。
- アスラ神軍
- いわゆる悪の軍団、破壊神シヴァに率いられ、天空界の調和を乱す者達。
- 先の大戦で敗北し封印されていたのだが、物語中盤以降に本格的に復活しデーヴァ神軍と全面戦争に突入することとなる。
- 異動宮
- アスラ神軍の本拠地。モチーフはリンガ。つまりチ○コ。
- 光流
- 星矢で言うところの小宇宙に相応する。
- 小説版によると天空界の物質は光流を基本として構成されており、それはちょうど人間界の物質の最小単位が原子で構成されるようなもの。
- ちなみに光流とかいてソーマと読む。聖乳とは関係ない。
- 曼荼羅陣
- 八部衆が協力して繰り出す合体技。最低3人から繰り出すことができる。
- 3人では「紫風曼荼羅陣」、4人では「獣王曼荼羅陣」、5人では「宝珠曼荼羅陣」、6人では「智慧曼荼羅陣」、7人では「金剛曼荼羅陣」、8人では「天空曼荼羅陣」と名称が変わる。
- ただしアニメ本編では「獣王曼荼羅陣」しか使わないので、それ以外は覚えておく必要なし。
登場人物
- 修羅王シュラト(CV 関俊彦)
- 本名 日高秋亜人(小説の新装版では日高修羅人)
- 本作の主人公。 前世は赤い光弾ジリオンのJJ。 性格は明るく直情的な熱血漢、ついでにお調子者で美人に弱い。しかし責任感は人一倍強い。
- とまぁ、性格の長所も短所もJJと重なる部分が多い。
- なお、彼の必殺技は「修羅体当たり」(笑)。
- 夜叉王ガイ(CV 子安武人)
- 本名 黒木凱
- 人間界にいた頃は穏やかで優しい性格で、シュラトとは親友だった。
- 天空界に召喚されてからは、冷酷で残忍な性格となり執拗にシュラトを付け狙う最大の敵となる。
- 来世では双子の兄に対して、愛憎複雑な思いを抱いて戦う宿命を背負うこととなる。
- ラクシュ(CV 水谷優子)
- 本作のヒロイン。シュラトに一目惚れして以降、シュラトと行動を共にする。前世は赤い光弾ジリオンのアップルなのだが、こちらは性格が全然違う。本作での性格は天真爛漫でブリっ子。
- 余談だが、当初は彼女も神甲冑を纏って戦うという案もあり、専用神甲冑(一角獣モチーフ)のデザインもあったんだが。神甲冑を纏ったら性格が変わりそうという理由でボツ。
- 残念。戦うヒロインもアリだと思うんだがなぁ。
- 迦楼羅王レイガ(CV 井上和彦)
- オカマ。
- 脳筋の多い八部衆には珍しく沈着冷静。インドラの謀反にもいち早く気付いた。だがオカマだ。
- 彼の必殺技「迦楼羅火翼陣」はチート技。おそらく彼こそが真の八部衆最強の男だろう。だがオカマだ。
- 彼の前世は赤い光弾ジリオンのチャンプなのだが、表面的な態度はチャンプとは全くの別物(本質的な部分の仲間思いな所などは一緒だが)。
- 裏話として、元々はレイガのキャラクターはオカマ口調ではなかったのだが、井上和彦が冗談でオカマ口調で演じてみた結果、公式に採用されたという経緯がある。もし井上和彦の冗談がなかったら、ジリオンのチャンプみたいな感じのキャラクターになっていたのかもしれない。
- 裏話その2、彼の技の1つ。「迦楼羅翼紫嵐(カルラよくしらん)」の由来は、レイガの技っていろいろ種類あってよくわからないから→よくしらない→よく知らんというタツノコスタッフの会話から生まれたらしい。
- 筆者のお気に入りであり、それはこの項目だけやたら気合が入っていることからも察することができよう。
- 天王ヒュウガ(CV 堀内賢雄)
- 性格は生真面目。インドラの謀反の現場に居合わせたせいで、ヴィシュヌ石化の罪を着せられてしまうことになる。
- なお、来世は「キャッ党忍伝てやんでぇ」のナレーション(「てやんでぇ」のCDドラマにシュラトパロがある)。
- 龍王リョウマ(CV 山寺宏一)
- 天王ヒュウガの親友、性格もヒュウガ同様の堅物。そして八部衆最強の男(笑)。
- その割に結構いろんなヤツにボコられてるような印象があるが、これは倒されても立ち上がるそのタフさが最強という意味だろう。
- 天空界で唯一、ヒュウガと「熱血しりとり」ができる。
- レンゲ・ダン・クウヤ(CV 林原めぐみ・飛田展男・中田和宏)
- 八部衆の残り。
- 十把一絡げで申し訳ない。
- 何しろこいつら、前半はシュラトと敵対するし、後半の戦いには置いてけ堀だわ。挙句、コピー怪人だったとはいえ、レイガの「迦楼羅火翼陣」で三人まとめて消し炭になるわで、非常に印象が薄い。
- 一応、3人掛りとは言え、アカラナータに勝ち星あげたのは見事。
- 不動明王アカラナータ(CV 松本保典)
- インドラ配下のアスラ神軍神将。
- 強い。絶対に強い。
- そして残忍。
- 必殺技は「アカラナータビーム」もとい「獣牙裂光弾」。
- 雷帝インドラ(CV 鈴置洋孝)
- ヴィシュヌの側近にして、天空界のNO2。配下のデーヴァ神軍の神将たちからも信望厚い。
- ヴィシュヌを石化した張本人だが、その罪をシュラトとヒュウガに擦り付ける。
- なお、ヴィシュヌを石化した際「これからはオレ様がデーヴァ神軍のニューリーダーだ!!」と言ったとか言わないとか。
- ちなみに、小説版では敵ながら優遇されたキャラで、あかほり曰く「インドラにはめちゃくちゃ思い入れがあります」とのこと。
- 破壊神シヴァ(CV 若本規夫)
- アスラ神軍の首領。
- 見た目は女性しかし声優は若本、従って声は非常に野太い。
- 余談だが、彼(彼女?)の座っている玉座こそが神甲冑であり、そのデザインは複雑にして巨大でありまさにラスボスに相応しい威容がある……という設定はあったのだが、作画が大変になるのでボツになったらしい。
- 番組後半の作画状況から考えると当然の結果である。
- 調和神ヴィシュヌ(CV 島本須美)
- 天空界のトップ。文字通りに天空界の守護神でもあり、彼女がいなくなると天空界は非常にマズイことになるが、物語冒頭でインドラに石に変えられてしまう。
- ぶっちゃけ星矢でいうとこの沙織さんポジションの人であり、レイアースで言うとこのエメロード姫。
本作の影響
聖闘士星矢の影響をモロに受けた作品であるが、パクリアニメと切り捨てるには惜しい独自要素もあり、後に与えた影響も少なくない。
例えば、シュラトの同人誌からCLAMPが登場したこと、あかほりさとるの小説家デビュー作がシュラトだったり(あかほりの小説版シュラト7巻はいつ出るんだろ?)、水谷優子にとって天然ボケキャラを演じることになったハシリであり、子安武人の出世作でもある。
本作の翌々年に放送されたタツノコ作品テッカマンブレードへの影響も強く、同作の視聴者であれば、シュラトとテッカマンブレードの共通点や類似点を見出して楽しむこともできるだろう。
作画について
先述のとおり、シュラト(後半)は超絶な作画崩壊アニメであるが、何しろもう20年以上前のアニメなので許してもらいたい。特にシュラトファンがシュラトを作画崩壊アニメとして語るときというのは、シュラトの作画崩壊を含めて面白いもの。として語っている場合がある(というか筆者のこと)ので注意が必要。
作画崩壊は、アスラ神軍の復活が迫り、天空界の調和が乱れている状態をアニメーション的に表現した高度な演出技法くらいに思ってもらえるとちょうど良いかも知れない。実際、物語前半の作画は高品質で、中盤以降に徐々に悪化、異動宮でのシヴァとの最終決戦で最高潮を迎え、天空界に平和が訪れた最終回とその1つ前で劇的に回復している(これは見事に天空界の危機をなぞっているではないか)。
ただ、最終回の作画監督を菊池通隆(麻宮騎亜)が務めており、それまでと全く顔が似てないキャラで話が展開するため、ある種の「作画崩壊」と感じる人も居るかも知れない。
また、本編終了後に発売されたOVA(全6話)はキャラクターデザインの奥田万つ里に近づけた作画になっているが、むしろテレビアニメ本編からキャラ絵が離れるという珍現象が生じていた。
関連静画
関連項目
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読み:テンクウセンキシュラト
初版作成日: 13/04/06 19:47 ◆ 最終更新日: 15/11/19 17:04
編集内容についての説明/コメント: 昨日の編集でガイの本名が本文の方に入ってしまったので修正(もうしわけないです)
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