完全走破!日本縦断2002キロ高速道路の旅とは、フジテレビが1987年に放送した旅番組である。いわゆる「走ってみた」「車載動画」の原点とも言える番組である。
概要
当時のフジテレビの深夜枠「JOCX-TV2」の単発番組として放送されたものであり、後にフジテレビNEXT(CS放送)でも再放送された(初回放送当時は原則として関東ローカル)。
タイトルの通り、高速道路を延々と走り続けるという少し特殊な旅番組。撮影が行われたこの年は首都高速道路川口線と東北自動車道が直通し、一部で別の有料道路を挟みつつも、青森県青森市~熊本県八代市まで連続走行が出来るようになった(本州~九州を高速道路だけで行き来できるようになった)。この事を記念して、主要縦貫道を通じて北は東北道・青森IC、南は九州道・八代ICまで、車のダッシュボードにカメラを固定して走行する映像を放送した。
今となっては高速道路における交通状況が異なる場面も多いため、高速道路ファンにとってみれば大変貴重な番組である。
走行区間
- 東北自動車道(青森IC~川口JCT) ※1
- 首都高速道路(川口線→中央環状線→向島線→都心環状線→渋谷線) ※2
- 東名高速道路
- 名神高速道路
- 中国自動車道
- 関門自動車道(関門橋)
- 北九州直方道路・北九州道路 ※3
- 九州自動車道(八幡IC~八代IC) ※4
※1:当時は東京外環道と接続しておらず、川口JCTを過ぎるとそのまま首都高に乗り継ぐ。
※2:中央環状線・江北JCTとはまだ接続しておらず、自動的に中央環状線へ乗り継ぐ。
※3:現在の北九州高速4号線。
※4:1987年当時は八代IC~えびのICが未開通であったため、番組としてはここを「終点」と見なした。ちなみに、えびのIC~鹿児島北ICはそれよりも早い段階から開通していた。
番組の製作にあたって
カメラ
映画で使われる16ミリカメラを使い、ダッシュボードにカメラを2台取り付ける。どちらか一方を録画し、フィルムが途切れた所で次のカメラで録画を始める。これを交互に繰り返していくため、非常に手間をとる(今はデジタルカメラなどを使って撮影するのが主流だが、当時はこの方法は非常に斬新なものだった)。そのため、一部ではカメラの切り替えを行ったと思わしき場面が幾つかある。
もとから16ミリカメラを使用しているため、通常に比べて映像がやや速いが、2時間半という枠内で収めるため、撮影した映像に対してさらに2~3倍ほど速くしている(渋滞区間などではさらに倍速になっており、東京都心などは殆ど周囲を可視できない)。また、尺をさらに短くするため、秋田県~青森県(小坂IC~岩手山SA付近)と福島県全域、栃木県(上河内SA手前)はバッサリと削除されている。特に「福島県」というテロップが出るにも関わらず、その直後でCMとなり、一気に栃木県にワープしてしまうため、この当時の福島県内の高速道路事情は映像だけでは全く把握出来ない。
都府県境、あるいは主要インターを通過するときは約2~3秒の間でその自治体の観光名所が画面いっぱいに表示される(例:東京の場合は「新宿の高層ビル、国会議事堂」、愛知の場合は「名古屋城」、大阪の場合は「大阪城」など)。
使用した車
トヨタ・ハイエースのスーパーロングを使用している(OPでエンジンをかけるシーン、さらには朝日に向かって走っていくシーンでその姿がチラッと見える)。
通行料金
1987年当時の通行料(普通車)は下記の通り。この映像は八代ICの料金所シーンで見る事が出来る。
現在の通行料金は上記経由の場合(普通車・ETCを使わない正規料金での通行を行った場合)は下記の通り。
現在は磐越道・北陸道経由で迂回できるため、必ずしも首都高・東名高速を経由する必要性は無くなっている。ちなみにその場合の通行料は36,200円(普通車・ETCを使わない正規料金の場合)。
音声
背景で流れるBGMは1960年代に流行した曲が流れる。主音声(CS放送では「第1音声」)では洋楽が、副音声(CS放送では「第2音声」)では邦楽(日本の歌謡曲)が流れるため、音声多重放送に対応したテレビでは「主音声でまず日本縦断をした後、次に副音声でもう一度走りなおす」という事が出来た。これは視聴者を飽きさせないための工夫である。副音声では邦楽を流していることを促すテロップが流れる(初回放送時はCM明け後に、CS放送では随時上部に表示される)。
実際に流れた曲の一覧はWikipediaに細かく記載されているため、そちらを参照のこと。
撮影期間
約2002kmという、とてつもなく長い高速道路をひたすら走るため、合計3日間に渡って撮影されている。
テロップ
路線ごとにテロップのカラーが決まっている。これは当時のサービスエリアにて配布されていた、財団法人道路施設協会(後のJ-sapa/Hallo-Square)が発行していた高速道路地図のカラーリングと同じである。
原則として、インターチェンジ・ジャンクションの部分ではルビを振って右下に名称が書かれている(鳥栖JCTを除く)。また、サービスエリア・パーキングエリアは右上にSAPAの標識に描かれているアイコンと共に表示される(トイレのみの場合は休憩施設の名前のみ表示される)。
みどころ・今との違い
東北自動車道
- 青森ICを過ぎるとそのまま本線となるが、今は青森自動車道と繋がっている為、料金所を過ぎるといったんランプウェイを通過してから本線と合流する。
- 古川IC~大和ICの間は工事のため、走行方向を塞いで無理やり反対側に乗り移らせ、その後で再び走行方向に戻させる工事手法が使われている。今では片側車線のみを塞いで工事をすることが多いため、走行当時の手法は殆ど見受けられなくなった。
- 前述の通り、秋田県~岩手県の一部、福島県全域、栃木県の一部はバッサリとカット。
- 長者原SAでガソリンスタンドに立ち寄っている。
- 現在は全線がNEXCO東日本の管轄。
首都高速道路
- 川口本線料金所の先にあるパーキングエリアに一度立ち寄っている。
- 前述の通りに江北JCTが未開通であるため、自動的に川口線から中央環状線に乗り換える。
- 向島線に乗り換えると、途端に猛烈な勢いで倍速となり、都心の風景は殆ど把握できない。
- 渋滞区間ではガソリンタンクの運転手が下りてタンクのチェックを行うシーンがチラッと出てくる。当然、こんな事をしたら、即刻捕まるので絶対にマネをしないように。
- 現在は全線が首都高速道路株式会社の管轄になっている。
東名高速道路
- 横浜ICというテロップが出るが、横浜ICは後に「横浜町田IC」と改題された。
- 厚木ICで片側2車線に縮まってしまうが、現在は御殿場JCTまで片側3~4車線に拡幅されている。
- 秦野中井IC~大井松田ICの途中でひどい渋滞に巻き込まれる。そのためか、この付近から静岡県の県境付近まで猛烈な勢いで倍速になる。
- 大井松田IC~御殿場ICまでの部分は4車線のままである。現在は当時の上り線だった部分が「右ルート」に分離され、上り線が別に作られているため、分離前の走行映像としては大変貴重なシーンである(もとからこの区間は渋滞が酷かった)。また、御殿場JCT~三ヶ日JCTの部分は並行して新東名高速道路が開通した。
- 1日目の撮影では時折、雨が降っている。
- 中央道とつながる小牧JCT付近で割り込み運転を行うシーンがある。危険なので真似しないように。
- 名神高速との切り替わり地点である小牧ICでは「小牧」とは表示されず、「名神高速道路(愛知・小牧~兵庫・西宮)」と書かれたテロップが表示される。
- 現在は全域がNEXCO中日本の管轄になっている。
名神高速道路
- 養老SAでガソリンスタンドに立ち寄っている。
- 旧・上石津PAは特別に「上石津PA(下り)・トイレなし」と表示された(上石津PAは後に廃止されてNEXCO中日本の管理用施設に転用されている)。また、大津SA・ICに関しては右上に「大津IC・大津SA」+アイコンが書かれた特別仕様になっている。
- 草津IC~瀬田東JCT付近(当時は工事中)は片側2車線のまま。また、京都南IC~吹田JCTも片側2車線のままで、天王山トンネル手前の橋は白色である(今は赤色)。
- 京都南IC~天王山トンネル付近で目の前の車両を猛烈に煽るシーンがある。おいおい。
- 高槻BS付近は防音壁が設置されていなかったため、現在では殆ど見れない高槻周辺の住宅街が見られる。
- 廃止されたPAがとても多く、前述の上石津PAに加え、甲良PA・桜井PAも無くなっている(桜井PAは天王山トンネル付近の拡幅工事で桂川PAに移動している)。
- 現在は八日市ICを境に東側をNEXCO中日本が、西側をNEXCO西日本が管理している。余談だが、主音声の場合は八日市ICでちょうど次の音楽に切り替わるため、今ではここが企業境界線であることを実感できるはず。
- 並行して新名神高速道路が建設・供用されている。
中国自動車道
- 宝塚東・宝塚西トンネルでの大渋滞に巻き込まれてしまう(今でもここは屈指の渋滞ポイント)。運転手が焦りを覚えたのか、宝塚ICのオンランプを利用して強引に追い抜く(いわゆる「割り込み運転」)。今ではこんな事をしたら当然のごとく捕まるので真似してはいけない。
- 当時は西宮北ICで片側2車線に戻っていたが、現在は交通量の増大や山陽自動車道との接続などによって吉川JCTまで片側3車線で通行できる。なお、吉川JCTも当時はまだ工事中。
- 山崎ICを過ぎると「山崎本線料金所」が設置されており、当時はそこで通行券のチェックを行っていた(不正通行対策のため)。キセル通行の減少やETCの普及などを理由に2004年に廃止された。なお、山崎本線料金所である事を促すテロップは表示されない。
- 広島北JCT~鹿野ICの長距離トンネル区間は暫定2車線の対面通行であったが、この当時は今のように中央線に凹凸やセンターポールを設置していなかった。また、広島北JCT~戸河内IC(加計SIC)の途中にある「加計東トンネル」においてはメンテナンスのために片側交互通行に遭遇する。
- 鹿野SAでガソリンスタンドに立ち寄っているが、現在では廃止されている。
- 小月IC~下関ICでは走行車線・追越車線ともに舗装工事を実施している区間があり、そこは登坂車線で代替している。
- 基本的に西に進むにつれて交通量が減少する構図は今も昔も変わらないが、当時は山陽自動車道が殆ど開通していなかった事もあり、今では極端に閑散としている区間も若干ながら車の行き来がある。
- 現在は全域がNEXCO西日本の管轄。
北九州道路・北九州直方道路
- 北九州道路とつながる門司ICでは「門司IC」と表示されず、路線名が表示される。
- 当時は全国高速道路網の一部であったため、門司IC・八幡ICで通行料金を一旦払いなおす必要がなく、ゲートをそのまま通過する事が出来た。
- 現在の小嶺ランプ付近で「八幡」→「九州自動車道」と表示されるが、これは誤りで、実際は北九州直方道路の一部である。
- 2つの路線は1991年に福岡北九州高速道路公社に譲渡され、北九州高速4号線に変更された。
九州自動車道
- 鳥栖JCTではルビが振られていない。また、当時は「サガンクロス橋」が架かっていなかった(それ以前に今よりも交通量が少ない)。
- 鳥栖JCT~久留米ICは暫定4車線での供用であったため、中央分離帯に不自然な樹木がある。
- 前述の通りに鹿央BSで真っ暗になってしまっため、翌日、改めてその近くから再スタートしている。
- 八代ICで「終点」となり、料金所で画面がストップして2002キロの旅が終わったことを告げるテロップが表示される。最後は首都高速川口線の上空飛行映像が流れて番組が終了する。
- 現在は全線がNEXCO西日本の管轄にある。
関連動画
少なくともニコニコ動画内には映像がアップロードされていない(そもそも無理である)ため、もしも青森→八代までの走行風景が見たい場合は「走ってみた」などで状況を把握していくしかない。
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 走ってみた
- 車載動画
- ドライブ
- 新・完全走破!高速道路の旅(リメイク作品)
- ドォーモ(KBCの番組内で九州エリアに限定して「走ってみた」が流れた)
- 完全走破!上野~札幌寝台特急北斗星の旅(1年後に放送された鉄道番組)
- 高速道路
- 日本国:高速道路一覧
- 道路関連項目一覧
外部リンク
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