山中慎介とは、日本のプロボクサーである。
通称は「神の左(ゴッドレフト)」
概要
1982年10月11日生まれ。滋賀県湖南市(旧甲賀郡甲西町)出身。帝拳ボクシングジム所属。
日本バンタム級第65代王者。WBC世界バンタム級第29代王者。
小中学校時代は野球をしていたが、辰吉丈一郎に憧れ南京都高校時代にボクシングを始める。
神の左と呼ばれる左ストレートで世界戦でも5連続のKO勝利を収めていて、右の威力も高い。元は左利きであったが母親に矯正され、字を書くのは左で、箸と野球は右。ボクシングも野球と同じくオーソドックスであったが、高校ボクシング部の監督にサウスポーに直された。
日本バンタム級王座防衛戦の岩佐亮祐戦は、歴代の日本タイトル戦の中でも名勝負と名高い。
WBC世界バンタム級王座は、ノニト・ドネアの王座剥奪に伴う世界王者決定戦で獲得したが、防衛初戦に2階級制覇王者のビック・ダルチニアンを3-0(117-111、2者が116-112)判定を下し、評価を上げる。その後も、マルコム・ツニャカオ、スリヤン・ソー・ルービンサイ、アンセルノ・モレノ、リボリオ・ソリスなどの元世界王者に勝ち、防衛12度の成功は日本人ボクサーでは具志堅用高に次いで歴代2位の記録である。
特に11度目の防衛戦では、9度目の防衛戦において薄氷の2-1の判定で退けたアンセルノ・モレノとの再戦となり、ダウンを奪い合う激戦の末、山中が7回TKOにて勝利した。この試合は年間最高試合候補にもあがるほどの名勝負との声が高い。同時にこの試合にかけられていたリングマガジン王座も獲得した。
2017年3月2日にWBC9位でNABF北米バンタム級王者のカルロス・カールソンと対戦し、7RTKOで降し12度目の防衛に成功した。
2017年8月15日に指名挑戦者でWBC1位のルイス・ネリと対戦したが、生命線の右のリードが全く通用せず、2R以降はそのタイミングを完全につかんだネリの一方的なペースとなり、4回中盤には滅多打ちにされてタオル投入による棄権、TKO負けとなりキャリア初黒星、13度目のWBC王座と2度目のリングマガジン王座の防衛に失敗したが、その後ネリから禁止薬物が検出される事態となり、リングマガジン王座に関しては山中に返還されることとなったが、これに関しては帝拳や山中側が返上する可能性もある。WBC王座に関しては敗者に王座が戻ったケースはあまり無いため、慣例からすれば空位になると思われる。
ネリとの試合に敗れた後、再戦が出来ないならば引退と帝拳の本田会長が明言。ネリが王座を失う公算が高いため、仮に再戦となれば通常はノンタイトル戦になるが、両者の実績からすると何らかの王座を争う形で行われる公算が高い。
(可能性が高いと思われるのはWBCバンタム級シルバー王座決定戦の開催である。現在のWBCバンタム級シルバー王者は同級4位のノルディ・ウーバーリだが、WBCバンタム級の指名挑戦者決定戦か王座決定戦に出場する可能性が高く、その場合はシルバー王座を返上する必要があるため必然的に空位となる。ただしWBCシルバー王座は保持をJBCが認めていないはずなので、山中は仮に獲得しても即返上しなければならない可能性が高い)
結局WBCがメキシコと深い繋がりがあることからか、大甘の裁定の結果、スター候補とも言うべきネリはそのままWBC王座を保持。そのまま再戦指令が出され、結局山中とのリマッチが2018/3/1に両国国技館で行われることが決定した。なお同日・同会場ではダブル世界戦となっており、もう一方の試合はかつて山中に接戦の末に敗れた岩佐がIBF・Sバンタム級王座の初防衛戦に挑む。
ネリとの再戦は2Rまでに4度もダウンを奪われる一方的な展開で2R1分3秒で凄絶なTKO負けとなり、試合後に引退を表明、そのキャリアに終止符を打った。なおネリは前日計量をクリアできず失格となり、試合前にWBC王座を剥奪されており、山中が勝った場合のみ王座を獲得できるという条件で行われた。
なおもう一方の世界戦では、岩佐が終始相手をコントロールして大差判定勝ちで初防衛に成功している。
ネリとの試合とその蛇足
ネリの2度にわたる手段を選ばないルール違反に日本国内では特に非難の声が大きく、また興行優先で体重差マッチを強行した帝拳の本田会長にも怒りの声が向けられる事態となっている。なおさすがにボクシングが盛んなネリの母国であるメキシコでも再戦での計量失格には「王者が計量をクリア出来ないようでは恥」との声も一部では上がっているとのこと。
とはいえバンタム級は世界的に見ても穴階級といわれており、この階級で闘っていてもビッグマッチが出来ないという事情もネリ側にはある。事実ノニト・ドネアやレオ・サンタ・クルス、ジョニー・ゴンザレスといった強豪王者は元々バンタム級がベスト階級だったが、最終的にはSバンタム級やフェザー級まで上げて王座を取るという結果を残しており、転級後に好条件の試合を組むことには、ともかくわかりやすい実績が求められるのはある意味当然といえ、プロボクシング界の歴史もそれを物語っている。(ドーピング違反や計量失格の経験があるボクサーでも、その後に実績を残した有名ボクサーはいくらでもいる)
またこの試合が引退試合と明言していた山中と違い、ネリはまだ若く、複数階級制覇を狙うことを視野に入れればモチベーションも違い、ルールを守って負ける可能性を取るよりは、手段を選ばずに100%勝てるやり方をとらせるのは、卑怯といわれようともネリ側の戦略としては正しい。特に山中はWBC王座の12回防衛というわかりやすい実績があり、連勝(しかも続けて圧勝というオマケ付きを)すれば反則という汚名よりも、後々に得られるリターンの方が大きい。
そういう前提で考えれば、ネリよりも山中にこの圧倒的な不利な条件で試合をメンツ優先で危険な試合を強行させた帝拳の本田会長の方がむしろ責は重く、ある意味ではこの条件下で計量失格しようとも、日本なら興行優先で試合を中止させないとネリ側に読まれていたともいえよう。
ちなみに2017年4月に山中と同じバンタム級の大森がタパレスとの再戦でも初戦と同じく歯が立たずにKO負けしたが、このときもタパレスは計量失格でWBO王座を剥奪されている。そもそもタパレスは正規ウェイトだった指名挑戦者決定戦でも大森に圧勝していたにもかかわらず、再戦では計量を放棄していたのは、やはり負けることのリスク回避と複数階級制覇を優先したためともいえる。
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