概要
本名は一緒であり、「森」の部分は本来は「審」となる予定であった。この部分は後に脚本を書く際にペンネームにて使用されることになる。元妻は樹木希林である。
叔父に岸田國士戯曲賞で知られる劇作家の岸田國士、従姉妹は岸田今日子と言う芸能一族である。
俳優以外にも脚本や演出、ナレーターなどを務めて、その才能をいかんなく発揮する。主役を張る機会こそ多くはないがその存在感は際立っており、演技力も勝新太郎ら大物俳優からもお墨付きを貰っている。とにかく演技の幅が広いので一癖も二癖もある役だろうが悪役だろうが善役であろうが難なく器用にこなしていた。
元々舞台畑からの出身という俳優の王道を進んできたが、円谷プロ作品「怪奇大作戦」を機に映像を主軸に移す。彼を代表するのは「血を吸うシリーズ」であり、ドラキュラ役として確固たる地位を得た。
「帰ってきたウルトラマン」における坂田健のように善役では物静かな役であったり、悪役などでは陰気な役柄が印象にあるが、本人は真逆ともいえる人柄であり、後輩への面倒見も良かったので彼を慕う者が多かった。今ではビッグネームとなった松田優作や水谷豊、萩原健一らもその中の一人であり、「傷だらけの天使」や「探偵物語」などでたびたび共演していた。
1981年に放映開始された「太陽戦隊サンバルカン」では嵐山長官と言うこれまで彼が演じてきたキャラクターの集大成と言うべき存在として時には主役以上の強烈な存在感を放った。結果的にこの作品がレギュラー番組における遺作となってしまった。
代表作として「怪奇大作戦」、「帰ってきたウルトラマン」、「傷だらけの天使」、「太陽戦隊サンバルカン」等多数である。
円谷プロと岸田
彼は事あるごとに「自分は円谷育ち」と言って憚らなかった。
それまで舞台中心だった岸田の一大転換となった「怪奇大作戦」は岸田自身も相当入れ込んで撮影に臨んでおり、またこれ以降、映像メインとなり彼の飛躍へとつながった事も大きいと思われる。その後は「帰ってきたウルトラマン」で主人公の郷秀樹を陰に日向に支える元レーサーで修理工の坂田健役を務め、「ウルトラマンA」ではナレーションを務めた。
また、俳優としてだけではなく脚本も書きあげ「朱川審」の名前で「残酷!プリズ魔」を作り上げたと言われているが、実際は山元清多が岸田のアイディアを基に脚本を書き上げたというのが最近の定説である[1]。怪獣の既成概念を打ち破るその姿と映像美は衝撃を与え、今持って人気の回である。他にも「ファイヤーマン」においても脚本を担当した。これにおいては本人出演でセリフを出来るだけ排除し、身振り手振りでその感情を伝える斬新な手法を用いた。
時には主役に勝るとも劣らない存在感を示し、その作品の印象に大きく作用する程の希有な才能を持った俳優である事は間違いない。円谷プロにおけるキャリアがなければ、彼の飛躍どころか世にある名作が生まれていなかったかもしれないと考えるのは過言であろうか。
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関連項目
脚注
- *この頃の山元は経済難であった時期であり、岸田が山元を助ける形で「岸田がプリズ魔のアイディアを出す」→「山元がそのアイディアを基に脚本を書き上げる」→「会議の際には朱川(岸田)名義にして、採用率アップと岸田森脚本ということで高額な原稿料を狙う」→「採用された際には岸田が受け取った原稿料を山元に贈与する」という作戦を取り、採用されて原稿料を受け取った時には全額山元に渡したとのこと。
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