平林(ひらばやし)とは、
いずれも本項で解説する。
苗字
苗字としては全国的に分布しているが、特に長野県に非常に多く分布している。北信から中信、諏訪地方にかけて多く、北安曇郡松川村で1番目、東筑摩郡生坂村で2番目、大町市で3番目、安曇野市で6番目、諏訪市で8番目に多い苗字となっている。
信濃国では武家の平林氏が存在した。信濃国埴科郡英多荘平林(現長野県長野市)発祥とされる。
人名
実在の人物
- 平林佐和子(脚本家)
- 平林たい子(小説家)
- 平林岳(プロ野球審判)
- 平林直哉(音楽評論家)
- 平林初之輔(作家)
- 平林久和(株式会社インターラクト代表取締役社長)
- 平林盛人(陸軍軍人、政治家)
- 平林正恒(戦国武将、江戸時代の奉行)
地名
- 新潟県新潟市北区平林
- 新潟県村上市平林
- 山梨県南巨摩郡富士川町平林
- 長野県長野市平林
- 長野県佐久市平林
- 長野県南佐久郡佐久穂町平林
- 長野県下高井郡野沢温泉村平林
- 福井県越前市平林町
- 滋賀県東近江市平林町
- 大阪府大阪市住之江区平林
- 愛媛県松山市平林
平林(落語)
平林(ひらばやし・たいらばやし)は落語の演目。一種の言葉遊びであり、また覚えやすい噺であることから前座や駆け出しの噺家が演じることが多い。また、TV番組を通して、例の言葉遊びの部分が子供の間で流行ったことがある。
歴史の古い噺であり、江戸初期の歴史書『醒睡笑』を原点としている。
あらすじ
丁稚の定吉は旦那から医者の平林(ひらばやし)さんの家を訪ねて、手紙を届けてほしいとお使いを頼まれる。しかし、彼は家がわからないと返すと、「平林さんはそんなに多くないから、その家をあたれ」と言われる。
かくして外に出た定吉だがきょろきょろしているうちに名前を忘れてしまった。そこでふと手紙を見ると、「平林」とあるので、道先の大人に訪ねてみた。彼は「これは”たいらばやし”だ」と言うので、「たいらばやし」さんを訪ねるが見つからない。本当に”たいらばやし”なのかと訝りつつ、また別の人に家の場所をあたると、「これは”ひらりん”と読む」と教わる。変わった名前と思いつつも、また家の場所を訪ねてみた。すると「これは”いちはちじゅうのもくもく”と呼ぶんだ」と教わる(平を崩すと一+八+十になることから。また林は木+木である)。
定吉はなんだか面白くなってきて、もう一度訪ねてみた。すると今度は「それは”ひとつとやっつでとっきっき”と読むんだ」と教わったので、もう訳が分からなくなってしまい、全部をつなげて町を練り歩くことに。
「たいらばやしかひらりんか、いちはちじゅうのもーくもく、ひとつとやっつでとっきっき!」、だんだん愉快になってきて声色も高くなってくるが、当然周りは変な目で見る。そして「あんな騒がしい奴の気が知れん」って言葉が聴こえてくると、
「いえ、字が知れないです」
※本来の下げは「気でも違ったか?」→「いえ、字が違ったみたいです」だったのだが、落語も例外なく言葉狩りの対象にされ、差別的だとこの下げが忌避されることになった。また、色々な下げのバリエーションがあり、
- 「坊や、どこ行くんだい?」「はい、”ひらばやし”さんところです!」とちゃっかり答えてしまう。
- 平林さんが出てきて、「何してるんだい?」「あのお名前は?」「私は平林だが」「ああ、平林(ひらばやし)さんには用はない」(上方落語で多い)
などがある。
関連項目
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