弱体化とは、組織・体制などの力が弱まる事。
あるいは、物語において登場人物を意図的に弱くすることや、ゲームなどで高性能なキャラクターや技、魔法などを次回作やアップデートによって弱めることである。この記事ではこちらについて扱う。
物語における弱体化
小説・マンガ・アニメその他の創作物において、様々な形で弱体化は現れる。この項ではそのような弱体化の分類と分析を行う。
最強キャラへの弱体化
物語において圧倒的な強さを持ったキャラクターと言うのはよく描かれる。それらのキャラクターは主人公として大活躍するか、あるいは主人公の倒すべき敵としての役割を振られることが多い。
そして、圧倒的な強さを持った最強キャラを倒すことが物語の最終目標として設定される。しかし、その強さゆえにまともに戦っては絶対に倒せず、物語の目的を達成できないという問題を抱えることになる。
最強キャラに敵対する側が打倒できるだけの力を得れば話は早いのだが、そうでない場合、まともに戦うのではなく、何らかの手段(呪い・毒・酩酊・裏切り・ハニートラップ・武器を奪うetc)によって最強キャラの力をそぎ、弱体化させることによって打倒する事になる。その際、味方側の弱体化工作は知的な作戦、敵側の弱体化工作は卑劣な策略とされることが多い。
怪我などによる弱体化
最強キャラとは関係なしに加齢・怪我・病気による弱体化や、戦闘から長期間離れていたことによる弱体化などが起こることがある。この場合、かつての強さを知る人物によって弱体化が嘆かれることが多い。
また、前シーズンにおいて無理に体を酷使して筋を痛めたり、魔法を使いすぎて魔力が枯渇してしまったりと言う弱体化パターンもある。こちらの場合、大人しく休養して回復を待つか、あるいはこれまでとは別の能力を身につける流れになるといった新展開のきっかけともなる。
味方になった際の弱体化
中ボスクラス以上の敵が味方となった場合、敵側だった時に使っていた能力をそのまま使用されてしまうと、その他のキャラクターの見せ場がなくなってしまう。
それを防ぐために、元敵が味方に加入する際には何らかの理由で敵側で使っていた能力の一部の威力を弱めたり、放棄させることがある。
相対的弱体化
長期連載作品などではそのキャラ自身の強さは変わっていない、あるいはより強くなっているのに周りがそれ以上の速さで強化された結果、相対的に見て弱体化した、と言われることもある。
こうなってしまった場合、物語上次々現れる強敵のかませ犬の役割を押しつけられることもある。
弱体化の方法
ステータスダウンの魔法使用、呪いをかける、毒の使用などの直接的な弱体化は除く。
連戦による疲労の蓄積、および、装備などの損耗
複数人で連続した戦闘を仕掛けることによって、徐々にその体力を減らし、あるいは装備を損耗させ、なおかつ回復・補給・休息させない事によって、相手の戦闘力をそぐ方法。一人一人はわずかなダメージしか与えられずとも、確実に敵戦力を減らして、最後にとどめを刺す真打のキャラクターを投入するのがセオリー。
問題点として、この方法を取ると多大な被害が出ることがある。また、弱体化を仕掛ける側が弱すぎたり、弱体化対象が複数人対象や広範囲への攻撃手段を持っていた場合、相手を披露・損耗させ弱体化するという目標を達成できない事がある。
武器破壊・部位破壊
相手の強さの源である武器や部位を集中的に狙い、それらを破壊する事によって相手を弱体化させることもある。
もっとも、そんな狙いが見え見えの攻撃を繰り返していては敵側もすぐに気がつくため、これはどちらかと言えば怪獣やモンスターといった知能が低い相手に行う方法となる。ウルトラマンが敵怪獣のトレードマークを破壊して戦意を喪失させるのを想像してもらえればわかりやすいだろうか。近年の分かりやすい例としては(ゲームになってしまうが)『モンスターハンター』シリーズなどである。
人間相手にこの方法を取ろうとした場合、弱体化を仕掛ける側の方が高い技量が求められる。ついでに筆者の技量も求められる。見事に決まれば読者も含めてアッと言わせることもできるだろうが、その難易度は高い。
強敵の打破に使われるよりも、むしろ、格下の相手を確実にしとめるために強者が使うイメージもあるかもしれない。『キン肉マン』の悪魔将軍が放つ「地獄の九所封じ」もこの系統の技である。
神話・古典の中の弱体化
世界中の神話・古典において登場する英雄や怪物は、比類なき力を振るい、戦場を縦横無尽に駆け巡る。しかし、そんな彼らも策略によって弱体化され、本来の力を振るえないまま最後は取るに足らない相手に殺されることがある。
代表例
- カルナ(インド神話) - 太陽神の力が込められた無敵の鎧を持っていたが、敵対する神の策略によってそれを奪われてしまう。
- クー・フーリン(ケルト神話) - 禁忌を誓ったゲッシュを破らざるを得ない状況に追い込まれ、その度に弱体化し、さらに吟遊詩人たちの要求に応じて必殺の武器なども手放してしまう。
- サムソン(旧約聖書) - 彼は怪力無双であったが、力の源である髪を切られて捕えられてしまう。
- 典韋(三国志演義) - 猛将であったが、酒に酔った隙に武器を奪われてしまう。
近年の作品での弱体化したキャラ
- 一方通行(アクセラレータ) - ベクトル操作の能力を持つ学園都市最強の能力者だったが、脳にダメージをうけ、能力使用に必要な計算能力を失った。ミサカネットワークを使い、計算能力を取り戻したが、能力使用に時間制限がついた。
- 黒崎一護(BLEACH) - 一時、死神の力を失って弱体化していた。その穴を埋めるため完現術を身につける。
- ジール・ボーイ(マテリアル・パズル) - 魔法拳を操り、両手の拳同士を殴りつけ合成拳を使用していたが、利き手を破壊され合成拳の使用が不可能になった。
- 孫悟飯(ドラゴンボール) - 高校生悟飯は修行をしていなかったため、少年期悟飯よりも弱体化している。
- 脳噛ネウロ(魔人探偵脳噛ネウロ) - 魔界出身の魔人のため、現世の空気に体がなじめず作中を通して弱体化し続けた。
ゲームにおける弱体化
RPGに代表されるゲームにおいては作中に弱体化の手段がシステムとして最初から存在していることが多い。代表的なのが魔法による敵ステータスのダウンであり、これはデバフと呼ばれる。詳細は該当記事参照。
上記の物語における弱体化の項でも書いたが、ボスクラスのエネミーを仲間にする場合、弱体化からはまず逃げられない。
その他、一定の条件を満たせばボスが弱体化するなどのギミックを持った作品も多い。RPGでは『ドラゴンクエストⅢ』のゾーマと光の玉や『ロマンシング サ・ガ3』の真・破壊するものと四魔貴族などのギミックは有名である。
一作品で終わらないシリーズものの中で、主人公が続投した場合、時系列的に後の物語でも以前の活躍や冒険で培った経験その他をすっかり忘れた上に装備もなくして弱体化するのも定番である。例:アドル・クリスティン
それとは別に、プレイヤー同士の対人戦の要素を持つシリーズものの作品などにおいて「これは強すぎた」「設定をミスった」「このキャラが圧倒的な一強になってしまった」「バランスブレイカーになってしまった」というキャラや技に対して次回作やアップデートで弱体化調整が入ることがある。また、そのキャラクターを狙い撃ちするのではなく、システム全体の見直しをした結果、相対的に強キャラだったものが弱くなるということも起こる。この事象については「Nerf」の記事も参照。
次回作、アップデートで弱体化したキャラクター、技
- ガイル(ストリートファイターシリーズ) - 初代『ストⅡ』において、待ちガイル戦法にて無敵の強さを誇ったキャラクター。シリーズを重ねると弱体化した。Ⅳ以降でも強キャラに入ることはあったが、全盛期ほどの強さではない。
- ケンタロス(ポケモンシリーズ) - 初代『赤』『緑』では「はかいこうせん」をはじめとした多彩な技で強ポケモンだったが、技の弱体化や仕様の変更その他で弱体化した。
- フリーダムガンダム(ガンダムvsガンダムnext) - 当初はゲーセンそのものを潰しかねないほどの破壊力を秘めたキャラ。移動性能全般が高いうえに、キャンセル技をもっていた。どちらかというとバランスブレイカー系のキャラ。次回作で全キャラキャンセル技ができるようになり能力も弱体化。next以降も出続けたvsガンダムシリーズではフリーダムガンダムは常連としてでているが、当時ほどの強さはない。
関連動画
関連静画
関連項目
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