忍城 続日本100名城 118 |
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別名 | 浮き城、亀城 |
城郭構造 | 平城 |
天守構造 | 御三階櫓(非現存) 層塔型3重3階(1988年再建) |
築城主 | 成田氏 |
築城年 | 遅くとも1479年(文明11年) |
廃城年 | 1871年(明治4年) |
概要
室町時代中期から江戸時代末期まで使われた城。荒川の自然堤防やその泥湿地を利用して築城された天然の要塞であり、その堅牢な造りから関東七名城の一つにあげられる。攻撃を凌いだものとしては、石田三成による水攻めを耐えきった「忍城の戦い」が特に有名であり、2012年にはそれを題材にした映画『のぼうの城』が公開されている。
築城当初は天守がなかったものの、江戸時代中頃には天守に相当する御三階櫓が建てられた。その後明治時代初めの廃城令により破却されたが、1988年(昭和63年)に行田市郷土博物館に併設される形で再建されている。
往時の城を伝える遺構は本丸土塁・堀・移築門などわずかであるが、忍城址付近にある水城公園からは当時の泥湿地の様子を偲ばせる。
2017年(平成29年)には、日本城郭協会により「続日本100名城」に指定された。
歴史
室町時代(戦国時代)
長尾景春の乱により関東管領宗家・山内上杉氏と分家・扇谷上杉氏との間で対立が生じるなか、山内方の成田氏は扇谷方の忍一族を攻め滅ぼし、領内を統一した。この際成田氏によって築城されたのが忍城である。
1546年(天文15年)の河越夜戦で山内・扇谷上杉氏の両氏が衰退すると、今度は勢いそのままに関東の覇権を握ろうとする北条氏康と、関東管領を受け継いだ上杉謙信との間で争いが生じた。謙信は毎年のように関東に侵攻してきたが、その都度成田氏は北条氏についたり上杉氏についたりと臨機応変に対応している。しかし1572年(元亀3年)の越相同盟破棄後になると、一貫して北条氏に恭順するようになる。これは謙信が関東よりも越中国(今の富山県)の平定に力を注ぎ始めたことが原因とみられる。
1590年(天正18年)、豊臣秀吉の小田原征伐に伴い、石田三成ら2万強の軍勢が忍城まで攻め寄せてきた。対する忍城の軍勢は2千強と圧倒的不利に立たされたが、城の周囲が泥湿地であることを活かし数的不利をカバーした。力攻めが困難と判断した秀吉の命を受け、石田三成は続いて水攻めを敢行するも、それを逆手に取った守将の成田長親・甲斐姫に堤を破壊され、逆に石田方の軍勢に溺死者が出てしまう有様だった。結局忍城は主君・北条氏が降伏するまで持ちこたえてみせ、世の人々からは水攻めを受けても沈まない「浮き城」「亀城」と称されるようになった。
江戸時代~現代
江戸時代になると、忍藩の藩庁として機能する。徳川将軍家の居城である江戸城の間近であり、軍事的に重要な拠点であることから、藩主(城主)には松平信綱や阿部忠秋などの老中が任じられた。その中でも阿部忠秋は、老中にふさわしい居城にしようと忍城・城下町の整備に取り組み、孫の正武のときには御三階櫓が完成している。ちなみに忍藩が足袋の生産で栄え始めたのもこの頃で、最盛期には日本全国の8割の足袋を作り出していたという。後にこのことが評価され、2017年(平成29年)には「和装文化の足元を支え続ける足袋蔵のまち行田」として埼玉県初の日本遺産に認定されている。
1871年(明治4年)の廃城令を期に、御三階櫓含め忍城はその大部分が破却されたが、本丸から諏訪曲輪のあたりにあった本丸土塁と堀の一部は現代でも残されている。また御三階櫓についても、1988年(昭和63年)の行田市郷土博物館開館に伴い再建されている。これは稲荷山古墳出土の鉄剣の印字(「獲加多支鹵大王」)が世間から大きな注目を集め、行田市民の間に文化財保護の機運が高まったことが大きく関係している。
御三階櫓再建後も城址の整備は続き、5年後の1993年(平成5年)に事業が完了した。同年にはさいたま景観大賞、1995年(平成7年)には都市景観大賞を受賞するなど、周辺との景観調和を重視して整備された忍城址は高い評価を受けている。
ギャラリー
忍城 御本丸跡 |
忍城 本丸土塁 |
忍城 時の鐘 |
忍城 御三階櫓跡 |
忍城 二の丸跡 |
忍城 太鼓門跡 |
忍城 成田御門跡 |
忍城 沼橋御門跡 |
忍城 隠居所跡 |
忍城 勘定所跡 |
浮き城の径・冠木門 |
石田堤 |
アクセス
- 東北自動車道「羽生インターチェンジ」「加須インターチェンジ」より、車で約30分。
- JR高崎線「吹上駅」北口より、朝日バス(前谷経由行田折り返し場行き)「忍城」で下車。徒歩1分。
- JR高崎線「行田駅」東口より、市内循環バス(西循環コース右回り)「忍城址郷土博物館」で下車。徒歩1分。
- JR高崎線「行田駅」東口より、市内循環バス(西循環コース左回り、観光拠点循環コース右回り)「行田市バスターミナル」で下車。徒歩5分。
- 秩父鉄道「行田市駅」南口より、徒歩15分。
開館時間・休館日・入館料
午前9時~16時30分まで開館(入館は16時まで)。休館日は月曜日(祝日除く)、祝日の翌日(土日除く)、毎月第4金曜日(テーマ展・企画展中を除く)、年末年始。
入館料は大人200円、高校・大学生100円、小・中学生50円。また団体客(20名以上)の場合、上記料金から2割引となる。
関連動画
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外部リンク
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