愛の戦士レインボーマンとは、東宝製作で1972年10月6日~1973年9月28日までNET(現・テレビ朝日)系列で放送された川内康範原作の特撮番組である。全52話。
のちにアニメ版も作られているが、ここでは元祖の特撮版のみを記載する。
概要
妹の足を治すため、そして有名になるための資金稼ぎとしてプロレスラーになるべくインドへ修業へ渡った私利私欲の塊だった日本人青年・ヤマトタケシは、ダイバダッタの力を見て人類愛に目覚め、人々のために役立てようと考え方を改める。
厳しい修行を終え、ダイバの魂を宿したタケシはレインボーマンとなり日本に帰国。その頃、日本では「死ね死ね団」と名乗る集団が怪しい行動を開始していた。
人類のために力を役立てようとしたタケシだったが、死ね死ね団との戦いに巻き込まれる羽目となり、ここに日本壊滅を狙う死ね死ね団とレインボーマンとの戦いが始まったのであった。
特筆すべき事として、敵組織『死ね死ね団』の作戦が(非現実なのが大半ではあるが)妙にリアルなものがある。例えば新興宗教を利用して偽札を大量にばらまき、貨幣価値を崩壊させハイパーインフレを引き起こして日本経済を大混乱に陥れるといったものである。
当然、円の価値はボロボロになり民衆は暴動に発展し略奪行為に走る結果となるのだが、特撮作品とはいえ現実にそれが起きたらどうなるのかを描いた事もまたこの作品の魅力である。
登場人物
主人公
- ヤマトタケシ(演:水谷邦久)
- 「下町の黒豹」という異名を持つ青年で、登場当初はやたら荒々しかった。
妹・みゆきの足を治すためだけではなく金や名声ほしさに印パ戦争中であったインドへ向った。
いつまでたっても基礎だけの修業に嫌気がさしていて反発していたが、ダイバダッタの偉大な力を見てからは考え方を改め、真面目に修業を行うようになる。
レインボーマンとなってからは、死ね死ね団との陰謀に立ち向かっていくことになる。
レインボーマン
タケシにダイバダッタの魂が宿して生まれた超人。
ダッシュ7をはじめとする7つの化身に変わることで、それぞれの超能力が使えるようになる。
変身のキーワードは「あのくた らさんみゃく さんぼだい(阿耨多羅三藐三菩提。サンスクリット語で究極の完全な悟りという意味。)×2~4回(1回のときもある)、レインボー・ダッシュ◯◯!」。
また、解毒の時には「オンタタギャトードハンパヤソワカ」という呪文を数回唱える。
レインボーマン最大の弱点は、激しい戦いなどで力や体力を消耗した場合に激しい睡魔に襲われ、座禅を組んだような形で眠る「ヨガの眠り」で5時間を要する。タケシは粉を吹いたように真っ白になり、ある程度堅くなるが、石や鉄になったわけではないので、刃物・銃器類で襲われたらひとたまりもない。
のちに番組後半で一対幹部多数の戦いが多くなり、次第に劣勢となったレインボーマンは、新たにダッシュ7に1~6までの化身を2体合体させる合体の術(レインボークロス)を会得する。なお、ダイバが見せた合体の術は、ダッシュ7に1~6全ての化身を合体させるものであった。
ダッシュ7
いわゆるレインボーマンの基本フォームで、ダッシュ7から他の化身にチェンジする(第2話などのようにタケシから直接他の化身にチェンジすることもある)。
飛行能力 | 球体となって飛ぶこともある。 |
遠当ての術 | 両手を振り下ろして、遠くを爆発させる術。 |
レインボーフラッシュ | 両手から発射される光線。 |
不動金縛りの術 | 文字通り敵を金縛りにする。 |
バリヤー | 銃弾などを防ぐ。 |
念力バリヤー | 自分もしくは対象物を丸ごと守るバリヤーの強化版。 |
サンランプ | 額の太陽(みたいなもの)から光線を発射する。 |
太陽の剣 | 頭部のサンランプから引き抜かれた剣で攻撃する。 |
太陽フラッシュ | 太陽の剣をサンランプの前で交差させて発射させる、中盤以降の必殺技。 |
真空竜巻の術 | 莫大なエネルギーと引き替えに津波を押し返す術。 |
ダッシュ1
月の化身。初登場は第9話
見た目はど派手な色眼鏡をかけた、色違いのダッシュ7といった感じで、頭部の装飾はサンランプではなく月。
登場回数は少ない方だが、合体の術の登場後も単独で登場することがある。
キャッツアイの毒に冒されてしまったヒロイン・淑江とキスシーンを演じた化身でもある(実際は人工呼吸で相手の体内の毒素を抜くという荒技だが)。
解毒の術 | 毒を対象相手から自分の体内を通して外へと放出する術。 |
天地稲妻落とし | 稲妻を呼び寄せて攻撃する。 |
脳天稲妻落とし | 稲妻を呼び寄せて直接敵の頭上に落とす。 |
蛇変化の術 | 体中の関節を外して、狭い通路を通り抜ける術。 |
ダッシュ2
火の化身。初登場はダイバが化身したものは第2話で、タケシがダッシュ7を経て化身したものは第4話。
火を操る化身だが、単独ではあんまり役に立っていない。しかし、合体の術ではその力は役に立っているので、いらない子というわけではない。
火炎の術 | 両手を合わせて火炎を発射する。 |
ダッシュ3
水の化身で、タケシが初めて化身したのがこのダッシュ3。
水を操ることが出き、第2話の修業ではダイバのダッシュ2の炎を消し、第3話ではタケシを襲うがレインボーマンに反撃され炎上した外国人軍団の車を水を操って消化した。
水中戦も出来るが水中のレーダーの役割までは担っていない模様。
水冷砲の術 | 両手を合わせて水を発射する。水を操って対象物にぶつけることも。 |
ダッシュ4
草木の化身。初登場は第6話。
草木を操り敵を攻撃する化身だが、登場回数は最も少ない。しかし、ダッシュ2や3に比べると攻撃方法は多い。
松葉手裏剣 | 松葉を操り、手裏剣のように飛ばして攻撃する術。 |
木の葉嵐 | 葉っぱを相手の目に貼り付ける、目くらましのような術。 |
木霊叩き | 木を叩いて、その音を数倍にして相手の耳に響かせ、鼓膜を破壊する術。 |
ダッシュ5
黄金の化身。初登場は第5話で空中戦を得意としている。
子供達の人気が大きかったのか、出番は最も多く、合体の術の登場後も単独で登場することがある。
飛行能力 | ダッシュ7のものと同様の術で、手を水平に伸ばして飛行する。捜索や空中戦に用いられた。 |
レインボーフラッシュ | ダッシュ7のものと同様の術。 |
天地稲妻落とし | ダッシュ1のものと同様の術。 |
ゴールドフラッシュ | 強烈な光を発し、敵の目をくらます術。 |
ダッシュ6
土の化身。初登場は第8話。
ダッシュ1~5および7のような頭部に装飾があるデザインではなく、茶色ベースの黒まだら模様がある不気味なデザインとなっている。退却用というイメージが強いが、格闘能力も高く殺人プロフェッショナル(敵の怪人)を倒したこともある。
ダッシュ5に次いで登場回数が多く、合体の術の登場後も単独で登場することがある。
疾風土煙火の術 | 高速回転して地中に潜る術。 |
地雷震の術 | 両手から光線を発射して地割れを起こす術。 |
足引っ張り(?) | 地雷震の術からの派生で(?)、土の中から手を出して敵を地中に引きずり込む技。 |
解毒の術 | 手を患部に当てて解毒する術。 |
タケシの味方関係
- ダイバダッタ(演:井上昭文)
タケシの師匠で150歳を超える聖人。没後も何度かタケシの手助けをしている。 - たみ(演:本山可久子)
タケシの母親。死ね死ね団との戦いに身を投じるタケシを心配している。 - みゆき(演:石川えり子)
タケシの妹。幼い頃に遊んでいて事故に遭い、足が不自由となっている。 - 淑江(演:伊藤めぐみ)
タケシの恋人。「どんぐり園」という保育園で保母をしている。
- ヤッパの鉄(演:山崎純資)
第3話より登場した青年。元は淑江の父・正造(演:村田正雄)に借金の取り立てに来た「任侠一家」のヤクザだったが、借金を返したタケシの男気に惚れ込み足を洗い、その後は色んな職を転々としながらタケシの協力者となる。
- ヤマト一郎(演:小泉博)
第22~26話に登場したタケシの父。死ね死ね団に囚われの身となっており、レインボーマンをおびき寄せるための餌としてアフリカから連れてこられた。第26話でミスターKと相撃ちになり死亡する(ただしKは生き残る)。
死ね死ね団
日本人を抹殺しようとする集団で、キャッツアイ作戦、M作戦、モグラート作戦、サイボーグ作戦という作戦を労して日本を壊滅に追い込もうと企んでいる。
第14話より、作戦遂行の邪魔となるレインボーマン抹殺作戦を同時に行い、アフリカの奥地から魔女イグアナ以下7人の殺人プロフェッショナルを呼び寄せたり、DAC(悪魔武装部隊)を結成したりしている。
構成員は以下の通り。
- ミスターK(演:平田昭彦)
見た目は紳士な死ね死ね団のリーダー。第二次世界大戦中に家族が日本軍に殺されており、自分も虐待されたという過去があるため、日本人を憎んでいる。第27話より左手は義手となる。変装の名人。
- ダイアナ(演:山吹まゆみ)
古参の女性幹部。のちにサイボーグとなる。サイボーグ後の主武器は両手から発射される光線。
第45話で一旦黒こげにされるものの、キャシーに収容されて復活。第46話でサイボーグ部隊を率いてレインボーマンを襲うものの、ゴッドイグアナの横やりやサイボーグのタイムリミットが来て単独で戦うことに。最期は太陽の剣を首筋に受けて爆死した。 - ミッチー(演:三枝美恵子)
古参の女性幹部で連絡係が主な仕事。第26話で退場する。 - キャシー(演:高樹蓉子)
第12話より登場した女性幹部。見た目は美人だがヒステリックであり、古参(特にダイアナ)への対抗意識が強く何かと張り合うことが多い。ちなみに髪の毛はカツラで、本当はスキンヘッドである。
第40話でサイボーグとなって登場。人間でなくなったことに対して目からオイルの涙を流して悲しんだことも。
サイボーグ後の主な武器は目から発射する「アイビーム」と足のつま先から発射する機関銃。
第45話でのレインボーマンと戦いで、両目をナイフ(太陽の剣)で潰された挙げ句に、アイビームを両目に跳ね返されて爆死した。一番最初にサイボーグとなったということもあり、サイボーグ化以後の幹部の中ではレインボーマンとの戦闘回数が最も多い。 - ロリータ(演:皆川妙子)
第32話より登場の女性幹部。のちにダイアナ、キャシーともどもサイボーグとなる。
第47話ではゴッドイグアナの分身・バッドシスターの勘違いで彼女と戦う事になったが、相対した際には、事もあろうに「これがあのかっこいいレインボーマンの姿か」とつぶやいていた。普段レインボーマンをかっこいいと思っていたのか…。なお、同話でバッドシスターを倒すものの、怒ったゴッドイグアナが放った悪魔の矢を受けて爆死した。 - オルガ(演:藤山律子)
第28話より登場の女性幹部で、同話では変装したミスターKが話し相手をしていたタケシに娘と偽って紹介していた。
活動する際にはオートバイを乗り回している。
仲間思いなところがあり、第48話では先に死んだキャシー、ダイアナ、ロリータの仇討ちの為にレインボーマンに挑戦し、さらに自らボーグαを撃って鬼女の顔をしたサイボーグとなって戦い善戦するも、太陽フラッシュに敗れ去った。
ちなみにサイボーグになった後にタケシと相対した際、タケシからは「またゴッドイグアナの化け物か」、「仮面を取って正体を見せろ!」とひどい言われようだった。
なお、他の3人の幹部と違い、死後はレインボーマンに弔われている(直後に爆発したが)。
- 男性幹部
初期はメイジャー◯◯というリーダーがいてレインボーマン相手に戦っていたが、後期はDACにその役割を取って代わられる。女性幹部よりも格下の模様。 - DAC
第28話より登場した悪魔武装部隊。レインボーマンと戦うことが目的の部隊で、地上戦だけではなく戦闘機を駆使して空中戦も行う。 - ドクロマン
第49~50話に登場した、アフリカ基地からやってきたブードゥの魔術の流れをくむ妖術師。Kに刃向かうゴッドイグアナ討伐の命を受けて戦う(ゴッドイグアナからは「三流」「若僧」と言われていたが実力は互角)。その戦いの最中にレインボーマンに乱入されたことで襲いかかるが、最期は雷光の剣を受けて死亡する。
殺人プロフェッショナル
死ね死ね団がレインボーマンの7つの超能力に対抗するために呼び寄せた、魔女イグアナをリーダーとするチーム。
腕は確かだが、イグアナ以外は間抜けな印象がある。見た目はグロテスク(特にフドラ、アイスリー、ジェノバード)。
- 魔女イグアナ(演:塩沢とき)
絶大な魔力を持ったアマゾンの魔女。好物は人間の生き血。呪文を使うときは「アブサダラ・ヒドラ・ムーラム(×数回)カムト(トムカの場合もある)」と唱える。 - フドラ
レインボーマンへの刺客第1号。ありとあらゆる毒を使ってレインボーマンを攻撃する毒殺のプロ。ダッシュ6に化身したレインボーマンに地中に引きずり込まれて死ぬという悲劇的な最期を遂げる。 - ガルマ
「人間ポンプ」の異名を持つ、レインボーマンへの刺客第2号。口からガルマファイヤー、ガルマブルーといった炎、溶解液を吐く。第14話からの新EDに登場する骨はこいつの骨。 - ヘロデニア3世(演:江見俊太郎)
見た目はどこかの怪盗のような、レインボーマンへの刺客第3号。「ヘドロン」というエネルギーを吸い取る強力な怪物を操るが、ヘロデニア3世自体は弱い。 - アイスリー
三つの目を持っている、レインボーマンへの刺客第4号。頭部の角から冷気を使った攻撃をする。星っ子という口の聞けない少女に変装している。 - ジェノバード
空を滑空するレインボーマンへの刺客第5号。麻酔ガス弾やナイフを使った攻撃をする。他にも分身攻撃をする。 - エルバンダ(演:大月ウルフ)
「電流人間(スパークマン)」の異名を持つ、レインボーマンの刺客第6号にしてイグアナの実子で電流攻撃をする。マザコンで、「ママ」が口癖。
ゴッドイグアナ
第40話より登場するイグアナの母親にて魔女の帝王。演:曽我町子。
娘・イグアナを倒したレインボーマンを殺すべく暗躍すると同時に、当初はその原因ともなった死ね死ね団(というよりもミスターK)とも敵対していた。自分の血を使って分身を呼び出すことができる。
第40話のセリフによると、イグアナの死(第25話)から第40話まで444日と4時間が経過している。
ちなみにゴッドイグアナを演じた曽我町子は、娘・イグアナ役の塩沢ときよりも10歳ほど年下である。
主題歌・挿入歌
- 行けレインボーマン
- 作詞:川内康範 作曲:北原じゅん 編曲:池多孝春 歌唱:安永憲自、ヤングフレッシュ
OP主題歌。安永憲自とは現在の水島裕のことで、水島裕はアニメ版の主題歌も歌っている。
また、この曲の替え歌も多数ある。
- ヤマトタケシの歌
- 作詞:川内康範 作曲:北原じゅん 編曲:池多孝春 歌唱:安永憲自
第13話まで使用されたED主題歌。タケシの心情を歌詞にしたような歌となっている。 - あいつの名前はレインボーマン
- 作詞:川内康範 作曲:北原じゅん 編曲:池多孝春 歌唱:キャッツアイズ、ヤングフレッシュ
第14話から最終回まで使用されたED主題歌。アニメ版のEDもこれである。
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関連項目
- 2
- 0pt