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慢性活動性EBウイルス感染症(Chronic Active Epstein-Barr Virus infection : CAEBV)とは、EBウィルスが慢性的・反復的に増殖する疾患である。
概要
EBウィルス(別名:ヒトヘルペスウィルス4型)は成人の9割以上が感染しており、主にBリンパ球に潜伏する。通常この状態で人体への影響はほとんどなくウィルスの増殖もなく母体と共に一生を終えるが、稀に周囲のTリンパ球やNK細胞へ感染、増殖が発生すると発熱や肝機能異常、リンパ節膨張などの初期症状を引き起こす。感染症という病名だが他人への接触感染はなく正確には増殖症の一種である。
日本をはじめ東アジア諸国にのみ症例が集中しており欧米では症例がないため研究が進まない要因となっている。発症率は数百万分の一と言われているが、2018年現在はまだ難病指定はされておらず世界的に認知度が低い。日本では声優の松来未祐が罹患し、その死後遺族を通じて病名を公表したことから認知度が高まった。
2018年度の診療報酬改定により、CAEBVの診断の際に必要となるEBV-DNA定量検査が保険適用となった。
症状
リンパ節膨張や38度以上の発熱、倦怠感、悪寒が数週間にわたって繰り返す。風邪の諸症状に酷似している部分が多く病名の認知度も低いことから発見が遅れやすい。蚊刺後に強いアレルギー反応を示してリンパ節膨張や発熱を発症する患者もいる。完全な治癒が難しく数年から十数年後経過後に臓器不全や悪性リンパ腫など死に至る病を発症するケースが多い。
検査と治療法
血液中のEBウィルス量増加で証明可能だが、EBウィルス抗体検査では特異性が低く発症のメカニズムは解明されていないため根治的な治療法は見つかっていない。現在、抗がん剤治療や骨髄移植がもっとも有効とされているが成功率は70%前後と低く数年の間に半数の患者が死亡している。
関連動画
関連項目
関連リンク
- 慢性活動性EBウイルス感染症患者の情報サイト (CAEBV患者会 -SHAKE(シェイク)-)
- 厚生労働科学研究 難治性疾患克服研究事業 「慢性活動性EBウイルス感染症の診断法及び治療法確立に関する研究」 研究班ホームページ
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